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呼ばれた

タイトル、内容を数日中に修正します。

数年前まで登山にハマっていた。


名前の知れた名峰から地元でも話題にならない寂れた山まで登って、風景写真をブログにのっけて小銭を稼いでいた。


当時ブログをやっていることがばれるのがなんとなく恥ずかしくて基本的に一人で登山をしていた。ただ、お気に入りの山や近場の山は、何回か上っていると顔見知りができるもので、そういった山を登るときは数人で登山するときもあった。


ある時まとまった休みが取れたので、近場の山にキャンプに行った。分厚い雲が空を覆っていて、今にも雨の降りそうな日だった。雨のキャンプは初めてじゃなかったのでそんなに心配もなく登って行った。


しばらく上ったところで激しい雨が降り始めて、俺は近くの屋根のある休憩所を目指した。道もしっかりした山なので、濡れるのを我慢すればすぐに雨宿りができるはずだった。


しかし、すぐに自分が普段通ったことのない道を歩いていることに気付いた。草木の生えたけもの道を歩いていることに気付いた俺は元の道に戻るためにUターンしたんだが、どんどん道は険しくなり、最終的には枝をかいくぐって歩くほどになった。


どうしてそんなことになったのかは今考えてもわからない。ぼーっとしていたわけでもなく、ちゃんと道を確認しながら登っていたのだが、本当に突然知らない道に飛ばされた感覚だった。


完全に迷った俺はいったん止まってバッグから雨具を出した。もし遭難したのだとすれば、体力の消耗を抑えるのが第一だと考えたんだ。


木陰に座り込んでどうするかぼんやりと考えていたら、遠くから声が聞こえた。


最初のうちは雨の音かなんかかと思って反応しなかったんだけど、それがよくこの山を登るHさんの声だと気付いて、俺は思わず立ち上がった。


周りを見渡しても木しか見えない。しばらく耳を澄ませても声が聞こえなかった。


やっぱり気の所為だったのかと視線を下に移すとき、視界の端にHさんのバッグが見えた。


以前Hさんと雑談した時に、「娘が誕生日に贈ってくれたんだ」と自慢していた赤色の登山バッグ。見間違えるはずがない。


荷物をまとめてバッグの見えた方向に走った。なんか大声上げていた気もする。見知った山で迷ったのは思いのほか不安だったらしい。


Hさんも「おーい」だか、「こっちだ」だか返事をくれていたと思う。赤いバッグはゆらゆら揺れながらどんどん奥に向かって行った。


俺は元の道へ先導してくれているんだと思って進んでいった。しかし十分経っても二十分経ってももとの道には戻らない。それどころかどんどん深いところに進んでいる。


気付けばHさんを見失い、疲れ果てて一歩も動けなくなっていた。いよいよ麓の町に連絡を入れようとスマホを耳に当てたときに、スマホから声が聞こえた。


「ここの上」


Hさんの声だった。スマホを見ても通話中じゃない。なんなら圏外だった。上?何の話だ?


ふと上を仰ぐとHさんが気の上に引っかかっていた。服はボロボロで目は開きっぱなし。明らかに死んでいることが分かった。


そのあと、俺はどこをどう走ったのか分からないが、1時間ほどかけて山を下り、すぐさま警察に連絡。一緒にHさんの遺体の捜索に携わった。


あんだけ迷った結果見つけた遺体だったため、警察をそこまで案内するのは時間がかかると思っていたが、山道を少しそれたところですぐに見つかった。


木の上で見つかった登山者の死体は、地元の新聞の片隅に乗ることになった。状況が状況だけに、結構きつく疑いをかけられたが、Hさんの死因や司法解剖の結果、事故死として扱われたようだ。


でもいまだに娘さんにもらったという赤色のバッグが見つかっていない。次に山に登った時、今度はバッグを見つけてしまいそうで、それ以来登山をしなくなった。

期末課題とテストが重なりすぎて時間がなくて解説書いてられません。春休み中にここも更新するから許して。

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