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引っ張り合いっこ

俺が小学生の時の話。


小学校のころ、友達数人とコンビニ行ったときに、友達がおにぎりを奥から取っていくことに疑問を持った。


当時純粋無垢だった俺は「どうして奥から取るの?」って聞いたんだ。そしたら「奥の方が賞味期限が長いからお得なんだぜ。知らねえの?」ってバカにされた。


小学生ってそういうの真に受けるし、むきになるもんだよな。俺はそれ以降全部の商品を奥から取るようになったんだ。


それからしばらくして、お母さんとスーパーに買い物に行ったときのこと。お母さんに好きなお菓子持ってきていいよって言われてお菓子コーナーに向かったんだ。


お菓子の棚について、俺はチョコクッキーを取ろうとした。友達に教わった通り、一番奥から。


今思えば子供の手が短いといえど、やけに奥行きがあったと思う。俺は肩まで入るくらい棚に手を突っ込んでた。


そしたら奥から引っ張られたんだ。確実に人の手が俺を引っ張ってきてた。


俺はびっくりして最初は一生懸命引っ張り返してたんだが、あっちの力が強い。顔まで棚に入りそうになったところで俺は泣いてしまった。


泣き声を聞いた店員さんが飛んできて俺の体をもって引っ張ってくれた。しばらく膠着状態が続いたが、突然手が離れて店員と一緒に後ろに吹っ飛んだ。


そのころにお母さんが駆けつけて、何してんだと説教された。俺は奥から引っ張られたんだって訴えたんだが、当然棚の奥は壁なので嘘をつくんじゃないと一蹴された。


そんな思い出があった俺が、そのスーパーで今アルバイトをしている。で、つい先週起こったことなんだが、小学校の時の俺を引っ張った正体は俺かもしれない。


というのも、バイトで品出しをしていた時に、品出しついでに前出しもするんだが、仕事は適当にやるタイプの俺はいちいち棚の奥までは見ない。


で、お菓子コーナーの品出しの時にチョコクッキーの奥に手を突っ込んだら結構奥まで手が行った。


奥の方に一個だけお菓子がありそうだったから適当にぐっとつかんで引っ張ったら、何かに引っかかってるのかなかなか前に出ない。


早く済ませたかったのと、さっき客にクレーム入れられたばっかでイライラしてた俺は思いっきり引っ張り上げた。そしたら遠くの方でガキの泣き声がする。


ガキのしつけちゃんとしろよって思いながら引っ張り続けてたら、お菓子が引っ張り返してきたことに気付いてびっくりして手を離した。


小学校の時の思い出とかがブワッと思い返して、近くにいたバイト仲間に「今どっかで子供泣いてた?」って聞いたら、特にそんなことはないって言われた。


よくよく思い返してみたらお菓子にしては暖かかったし、ガキの手首って言われたらそんな気もする。


どんだけ適当な仕事してんだよって思われるかもしれないけど、お菓子の品出ししててガキの手つかむとは思わないだろ。


あんとき引っ張ったのは俺で、引っ張られたのは俺なのかな。

この話もジャンルとしては時空のゆがみ系の話で、時空のおっさんいらずで書ける楽な話です。

この話の元ネタとして「小さいとき、夜中親にトイレに連れてってもらったと思ってたけど、どうやら俺が俺を連れてってあげてたらしい」みたいな話があったんですけど、ちょっと見つけられませんでした。URL持ってる人いたら感想で送ってください。あとがきに追加します。

みなさんも小さいときに起こった不思議な体験一つくらいはあるんじゃないでしょうか。そういう体験が思い出となり、風化したころに似たような体験があると結び付けて考えてしまうんじゃないですかね。

僕は怪談を「こんなことあったらいいな」で読む派なんですけど、こういう幼少の時空のゆがみ系は勘違いだろと思って読んでます。でも好きな話型なんですよね。

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