表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/24

知ってる

大学時代、彼女と半同棲していた時の話。


合鍵も渡してあったから、週末は基本俺の家でお泊りするのが恒例だった。


その週末も彼女が来ることになっていたのだが、バイトで遅くなって、彼女には先に家に入ってるように言ってあった。


ちょうどこんな寒い夜だった。


バイト先をでて、真っ白な吐息を吐いていると、携帯に着信があった。


彼女からだったのだが、着信の数が10数件。


何があったのかと慌てて出ると、彼女は泣きながらこう言った。


「アパートの前に着いたんだけど、俺君の家のポスト漁ったり、郵便受けから部屋を覗いてる人がいる。もう30分はいる。怖いから早く来て。」


泣きじゃくった彼女の話をようやくするとそういうことだった。


原付飛ばして家の近くの交差点に出ると、彼女が走り寄ってきた。


まだいるとのこと。


俺はメットつけたまま自分の部屋の近くに行く。たしかに俺の部屋付近でガサゴソやってるおっさんがいた。


「そこ俺の家なんだけど、なんか用?てかお前誰。」


メットで顔隠しながら、怖いの隠しながら必死に言った。彼女にはちょっと遠くで待機してもらった。合図一つで通報することになっている。


おっさんは俺の声を聞くとピタッと動きを止めてゆっくり振り返った。


暗くてもわかるほどの満面の笑みでこういった。


「知ってる。」


前身の毛が逆立っていくのを感じた。俺が絶句していると、おっさんは続けた。


「小林君だよね、おかえり。今バイト終わったのかい?お疲れさまだねえ。昨日もバイトしてたからに連勤か。結構結構。ところで理央ちゃんは?今日家に来る予定だったよね?」


ニヤニヤしたまま俺の名前、予定まで当てたうえ、彼女のことまで把握している。これはやばいと思って彼女に合図を送る。


そのまま警察が来て、そいつは逮捕された。


後日、話を聞くとそのおっさんは彼女のバイト先である居酒屋の常連だったらしい。


居酒屋では無口な普通の客だったが、何がきっかけかわからないが、彼女に好意を抱き、ストーカー行為まで発展したらしい。


もっと調べていった結果、俺の家に何度か侵入していた形跡があったため、不法侵入でしょっ引いてもらった。


彼女とは大学卒業後そのまま入籍し、今も仲良く暮らしている。


しかし、今俺らの中で話題になっているのは、そのおっさんの刑期がそろそろ終わることだ。


今でも薄暗闇の中でおっさんが満面の笑みで言った言葉が忘れられない。


「知ってる。」

この話は、比較的最近作られるようになった話系ですね。

正確に言うと2000年前後、ストーカーという言葉が世に知れ渡ってから増えています。

元ネタにした話は「鈴木さん?って聞いてくる間違い電話」です。これめっちゃ不気味でいいです。

自分は知らない人なのに相手は自分を詳細に知っていることの不気味さが怖いにつながります。

話としてもっとさかのぼっていくと、妖怪に出てくる「さとり」にたどり着くと個人的には思っています。さとりとは悟りと書く場合もある、山に出てくるサル型の妖怪です。一人で山にいると出てきて、自分の考えていることをすべて当てていく妖怪。

昔から自分のプライベートを当てられるのは不気味だったんですね。

最後まで読んでくれてありがとう。感想待ってるぜ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ