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監視カメラが怖い

俺は大手の薬局で働いてるんだが、そこは万引きが絶えない。


店舗としては小規模な店だから防犯カメラで確認すれば犯人はすぐに分かるんだが。


で、この前も商品の在庫数がおかしかったから、社員さん立会いのもとカメラの確認をすることになった。


このカメラの確認は基本二人でやる。じゃないと犯人を目で追いきれなかったりする。


その日は最近来たばかりの社員さんと一緒に確認することになったんだが、社員さんが「悪いけど俺さん一人でお願いできる?」って言ってきた。


基本面倒な仕事は全部引き受けてくれるような人のいい社員さんだから、なんか手の離せない仕事でもあるのかなと思って了承した。


ただ、本来二人でやる仕事だから時間が普段の倍以上かかった。


ようやく犯人が特定できて、証拠になる映像の時間帯とカメラの番号をメモって、ふと後ろを見ると社員さんはタバコ吸いながらぼーっとしてた。


「ちょっと、暇だったんなら手伝ってくださいよw」って言ったら、普段は明るい社員さんがやけにテンション低い。返事も帰ってこなかった。


ちょっとイラっとした俺は社員さんを無視してそのまま閉店作業に入った。


店のシャッターを閉めて事務所に戻ってきたら、社員さんはまだタバコをふかしてた。


打刻だけして帰ろうとしたら社員さんが止めてきた。


「ちょっと社員の思い出話を聞くって業務受けてくれ。」


社員さんがこの店の二つ前に勤めていた店舗の話だった。要約するとこうなる。


その店は特に曰くのある土地に建てたとかでもないのに、店舗の二階、トイレの近くの角が昼間でも暗くてジメっとしていたらしい。


霊感のない従業員たちでもなんとなく嫌だなって思う場所だったらしく、よく休憩中とかに話題になっていたらしい。あそこ嫌な感じするよね、みたいな。


そんな店に移って3か月たったころ、社員さんを悩ませていたのはある親子客だった。


その親子客は、月に一度のペースで閉店間際にやってくる。もう閉店作業を始めてる頃だから、帰るようにお声がけさせてもらわなければならなくて、いつもその社員さんがその役を買って出ていたらしい。


入り口から入ってきた客に「申し訳ありません、もう間もなく閉店の時間となるため、また後日ご来店いただけますか」と丁寧に謝罪する社員さん。


でも、親子は何も聞こえていないように、まっすぐ2階へと向かう。


最初は丁寧に帰宅をお願いする社員さんだが、何度も無視されてくうちに声が大きくなっていく。最終的には怒鳴るようにお願いしながら、その親子を追いかけ二階へ向かうことになった。


二階につくと最初の売り場を曲がるのが見えた。追いかけてそこを曲がるとさらに別の売り場を曲がる姿が。どうも奥の方、トイレに向かっているようだった。


トイレを貸してほしかったならたしかに言いにくいかもしれないなと社員さんは思ったそうだが、そんなことは関係なく店は閉めなければならない。


親子を全力でトイレまで追いかける。


母親と息子の客だったので、とりあえず女子トイレを開けながら「お客様!」と声をかける。が、トイレには誰もいない。電気も消えて真っ暗だったらしい。


息子のトイレについて行くために男子トイレに入ったのかと考えてそっちのトイレを開けると、バイトの子が掃除をしていたところだった。


「今親子のお客様こちらに来なかった?」と聞くと、「え?社員さんの追いかけてた客こっちに来てたんですか?足音とかは何もしなかったですけど。」と言われたらしい。


厄介な客が来たと、イラつきだした社員さん。その時急激に嫌な気配がしたらしい。


慌てて振り返るとそこには例の嫌な気のする角。ただ、その時の角は、夜ってことを考えてもおかしな程真っ暗だったらしい。


バイトと雑談をしてから事務所に戻ろうと男子トイレに目を向けると、バイトさんはえずいていた。その日は急に体調をおかしくしたそのバイトにつきっきりで、その親子客のことは忘れていたらしい。


その一月後の閉店間際、またその親子客が。


前の月のこともあっていらだっていた社員さんは、若干走りながら親子を追いかけたらしい。でも、不自然なほど早いスピードで店内を歩く親子に追いつけず、結局トイレ前でまた見失ったらしい。


その時もまた、ありえないほど嫌な気配。振り返ると尋常じゃないほど暗い角。


トイレ掃除をしているバイトもいなかったので、いやな気はしながらも親子がいないかそこら一帯を探して回ったが、見つからずに閉店したらしい。


そんなことがあっての三か月目。周期的にはそろそろ来る日だなと思った社員さんは、親子客を追いかけるのをバイトに任せて、自分は監視カメラでの確認にまわったそうだ。


閉店3分前、入り口から入ってくる親子。止めに入るバイトに、無視してトイレに向かう親子。


社員さんは見失わないように食い入るようにカメラの映像を見続けた。


トイレ前に来た客はトイレには向かわず、その嫌な気のする角に向かう。


そこまで話した社員さんは、一度お茶を飲んだ。


「そこでどうなったんですか。クソ客のしっぽをつかめたんですよね?」


俺は話の続きを急かした。


「映ったよ。その客が一見分かりにくく設置してある監視カメラを見つめて、にやっと笑いながら消えていく親子が。」


その映像を見た社員さんは今まで嫌な気で済んでたその角が本当にやばいって思って、本部に移動願を出して無理やり移動したそうだ。


無理な移動のお願いをしたそうでいまみたいな小さな店舗に配属になってしまったらしいが、後悔はないらしい。


「今でもカメラが怖くて見れないんだよ。特に角の部分がさ。」

これは曰く付き物件とトラウマ話ってジャンルですね。

作中では曰くがないとは言ってるものの、こんなん曰くないはずがないじゃないですか。

その曰く付きの店舗で体験したことを語りながら、今もそれがトラウマで何々ができないっていうオチ。よくあるやつですね。

これ系で有名な奴みたいなのは今回ないです。なぜならこれは僕の友人の体験談をもとに作った話なので、参考にしたネット怪談がないのです。

わりとこういう話あるもんなんですね。びっくり。

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