表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

みじかい話#2

作者: 夢崎倫理

とある島国の街の外れに研究所があり、そこでは一人の植物学者とアシスタントロボットが日夜、研究に暮れていた。学者は先立った妻が口癖のように語っていた、この世に一輪しか咲かない花が見てみたいと夢を叶えるべく連夜研究室に籠っては新種の発明に勤しんでいた。しかし、五年、十年経っても彼の研究室から歓声が歓声が上がることはなく、また十年、また十年と時が過ぎ、三十年程経った頃、彼はいつのまにか変わらぬ研究の日々に自分の死が近づいてきていることを感じ取った。

遂に彼が床から起き上がれなくなると、彼は枕元のロボットに、

「結局俺は花を咲かせることができなかったんだろうか」

と自嘲気味に言うとロボットは、

「貴方は一生をかけて夢を追いかけた。ご夫人もきっと満足なさるぐらいに、貴方の人生には貴方の人生にしか咲かない綺麗な華が咲いていますよ」

と、滅多に開かない口を開いて言った。

彼はそれが可笑しかったのか、気恥ずかしかったのか、ふっと頬を緩めると、お前に洒落たこと言われるとはなぁ、と最期と力でロボットを小突いた。fin.


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ