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雨のち鬼  作者: 灯
3/4

迷い込む

「ここは【裏】だよ、お兄さん」


後ろからの突然の人の声に吃驚して、身体が跳ねる。振り向くと、少女が1人、出を向いて立っていた。


「お兄さん、ちょっと」


そう言うと、少女は出の左手を掴んだ。しかしそのまま、右手へ目をやる。


「お兄さん、左利きか」


左手を離し、右手を凝視し始める。そして、少女の華奢な掌を重ね、


「解除」


その瞬間、ぶわっと出の周りを煙が包んだ。発現元は勿論出である。


「!?」


出は慌てて手で口を覆おうとする。しかし、少女がそれを制す。少女は出の両手を掴んだまま、共に煙に包まれた。



しばらくして出は閉じていた目を開ける。両手には温もり、煙は辺りへ散って、視界は戻っていた。



否、戻ってはいなかった。


「なんじゃこりゃああっ!!?」

「五月蝿いよ、お兄さん」


ベシンッと少女は出の頭をを叩く。出は興奮気味に少女を睨みつける。


「いや、こんな非人間が溢れかえってる現場見て驚かねぇやついるかよ!?」

「ふむふむ?」


はぁぁ、と大きくため息をつき、出は改めて倒れ込んだ。少女も合わせて屈む。


「説明してくれ、そもそもあんた誰なんだ、ここは何処だ、裏ってなんだ…」


質問する出の声に生気は無い。


「んー、答えたいところなんだけど」

「あ?」


出は少女の顔を見る。少女は辺りをキョロキョロしていた。

そこで、出はとても重要なことに気づく。


(え?めっちゃ可愛くない?この子……)


「お兄さんっ!!!伏せ!!!!!!!」


突如の大声に驚きつつ、指示に従う。地面に伏せた瞬間、爆音が鳴り響いた。



「よおぉ、新人かい?いいねぇ、若いもんは大好きだ」

「急に攻撃してくんじゃねぇ、ぶっ殺すぞ」


少女の荒い言葉と、もう1人、ハスキーな低音の声が聞こえる。どちらも穏やかでない会話をしている。出はただ、伏せている他無かった。


「ぶっ殺すだぁ、オンナノコが使っていい言葉じゃねぇな。花火ちゃん?」

「出会い頭に爆破してくんのが紳士の振る舞いかよ。山風のおじき?」


「あ、あのぅ」

「お兄さん、説明は後で。死にたいなら今話しますけど」

「あ、あとでお願いします」


承知、


そう言ったのも束の間、少女“花火“は2メートル近い巨漢の男性へ突っ込んだ。



少女の両手にはそれぞれ刀が握られていた。

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