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そして、始まるーA面ー②

 何人目の彼女の時だっただろう?初めて『この子は妹みたいな存在なんだよ』って紹介された。嬉しさ半分、悲しさ半分。なんというか、幼いながらに女性として見てもらいたかったというか。ああ、恥ずかしい!昔の自分に戻れたら身のほどを知れ、と説教したいぐらいだ。

 この記憶ーーー、


「消すとしますか」



 初恋と同時に失恋も経験したのか。ん?

 

 ーー殺しのシュミレーションをしている、とか。

 ーー新任がターゲットなのね、とか。

 

 何だか、ザワザワとしている。ま、いっか。彼とは、『妹』と紹介されたその日を最後にパッタリと会わなくなった。引っ越しをしたのだと知らされたのは、何ヵ月も過ぎたあとだった。

 わたしの生きる世界にヒビが入ったように感じるようになった。少しでも意識を『考えたくないもの(・・・・・・・・)』から逸らさないと、足元から崩れてしまいそうな危うさがついてまわる。


 それは、その日から?それとも、もっと前から危うかったの?お母さんもつけている仮面。わたしも探さなきゃ。そう思って、わたしは仮面を探した。赤い…赤い仮面を。仮面がないと。仮面がないから、と。早く…早くしないと。じゃないと、わたしはー…。



 「アズサ?アズサってば!」

 肩を揺さぶられて、ハッとなる。

 「……え、委員長?何でわたしのクラスにいるのですか?」

 「もう始業式も新任式も終わったからだよ」

 周りを見渡せば、生徒たちはほぼ体育館から出てしまっている。

 「あんたね…はあ。また、ホラーの世界に入り込んでいたの?」

 「あ、いえ。あ、いや、それも考えてはいました」

 わたしはボンヤリと残っている人たちを数えていく。複数の妙に甘ったるく高い声がする。そちらを見れば、彼が女子たちに囲まれている。

 「アズサのクラスの担任になるんだよね。早速、モテているね。はー、スゴいスゴい」

 「見事なまでの棒読みですね。委員長には彼氏さんがいますものね。興味なくて当然ですね」

 「は?!いや……それは今は関係ないから。…。そんなことよりも!!あたしはあんたの独り言の方が気になるよ」

 「う。気をつけます」


 チラリと彼を見る。柔らかな笑顔だな。ふと、彼がこちらを見た。ドクン、と大きく心臓が鳴る。彼がゆっくりとわたしたちのところにまで歩いてくる。意味もなく逃げ出したい気持ちになる。わたしのことを覚えているわけないよね?もう、昔のことだし。結婚の話をしたことは時効だよね。時効は撤廃されたのだっけ?いや、そんなことよりも落ち着かなくては!

 仮面に触れながらの深呼吸。これで、大丈夫。

 「アズサ。メガネがガチャガチャうるさいよ。あと、鼻息が荒い」

 あれ?!


 「きみたちも教室に戻るように!」

 「はっ、仰せのままに」

 「アズサ、あのね」

 彼は笑顔だ。ソレが、わたしたちに向けられている。そう気づくのに数秒かかった。

 「…あ」

 彼の左手首の腕時計。

 「どうしました?」

 「い、いえ」

 昔、好きな人にプレゼントされたものだと言っていたものだ。虹色のバンドが珍しかったから、覚えている。一気に距離が遠のいていくのを感じた。

 「大丈夫ですか?」

 「は、はい」

 「夕崎先生!またあとで話そうね!」

 少し離れた場所から声をかける女子。それにも、彼は笑顔で答える。

 「ほら、きみたちも早く」

 「はーい。アズサ、ほら行こ」

 「はい」

 彼に頭を下げると委員長に続いて体育館を出た。

 

 あの頃にできた、心のヒビはまだ修復されていない。状態が悪化しているわけでもないと思うけど。何気なく、顔をあげてみる。渡り廊下から見える空が音を立て始めた。空がヒビ割れていく。

 「っ?!」

 わかっている。これは、幻覚。本当は何も起こらない。雨なんて降らない。だって、今日の天気予報は晴れだもの。空が二つに割れて見えるのは、気のせい。わたしは、仮面に触れて深呼吸を繰り返す。

 まぶたを強く閉じてからまた、空を見上げた。どこまでも続きそうな青が広がっている。そのことに安心する。きっと、ホラー映画の世界を引きずり過ぎたせいでおかしくなったんだ。わたしはまだ大丈夫。


 「アズサ、前髪が邪魔そうだね。また、カットしようか?」

 わたしは視線を慌てて委員長へと向けた。

 「お願いしてもいいですか?仮面があっても関係なく目玉を攻撃してきて痛かったのです」

 「じゃあ、部活が終わったらアズサの家に行くよ。その時でいい?都合悪い?」

 「お母さんたちが帰ってくる前までなら大丈夫ですよ」

 「…わかった。今日は授業がないのが良いよね」

 「そうですね」

 「部活が終わった時に連絡いれるから」

 「わかりました」

 「じゃあ、独り言に注意すること!」

 「はい」


 自分の教室に入る。席に着くと、久しぶりに再会した彼のことを思い返した。茶色かった髪は、黒くなっていたな。私服姿は見慣れていたけど、スーツ姿は新鮮だったな。笑顔は、あの頃とかわらずに柔らかいままだったな。

 それから、腕時計…。もう何年も経っているのに、まだ使っているんだ。それだけ、大事ってことだよね。

 「……」

 って、暗くなってどうする。笑顔が見れた。それだけで、充分じゃないか。

 前触れもなくいなくなった時は、置き去りにされた寂しさや悲しさがあったけど。

 もしかして、この仮面が彼を再び引き寄せた?やるじゃないか、仮面よ!


 チャイムが鳴る少し前に、彼が教室に入ってきた。女子の殆どが、彼に好印象をもっているようだった。なんか、鏡で自分の髪型をチェックしている人が多いような?

 「では、みなさんに軽く自己紹介をしてもらいます。まずは、ぼくから」

 黒板にキレイな字でフルネームが書かれていく。

 「改めまして。ぼくの名前は、夕崎セイジです。担当教科は化学です。これからの一年間、どうぞよろしくお願いいたします」

 「しつもーん!先生には彼女いるんですか?」

 「はは、お決まりのがきましたね。残念なことにいません」

 「じゃあ、好きな人は?」

 「歳は?」

 「何歳差までなら恋愛対象ですか?」

 おお、次々と質問されている。彼は笑顔を崩さずに、テキパキと答えている。

 「あのっ」

 無意識のうちにわたしは手を挙げていた。騒がしかった教室が静まり返る。

 「はい、何ですか?プライベートなこと以外がいいですね。ぼくは底の浅い人間なので探られても何もないんですよ」

 笑いが起きる。わたしは手をグーパーさせてから、浅く息を吐く。それから、ジッと彼を見つめた。


 「死ぬことが決まっている相手だとしても手を差しのべますか?」


 「……えっと?」


 ザワザワし始める教室。委員長、ごめんなさい。わたし、明らかにやらかしました。『ホラー映画を観ますか?』とか軽く聞きたかっただけなのに、わたしは何を口走った?!

 前置きなし。説明不足。どよめく教室。終わった。Good-bye、わたしの高二の生活。泣きたい。いや、わかっている。自分が悪いことは!!

 「忘れてください。変なことを言って申しわけございませんでした」

 ああ…アリんこみたいに小さくなりたい。

 「その人が大切な人なら迷わずに手を差しのべます」

 「え」

 「教師だったら、『どんな人であろうと』って言わないといけませんでしたか?」

 「い、いえ!」

 「せ、先生!!わたしたちのことも聞いてぇ」

 「では、出席番号順に名前とみんなへの一言をお願いします」

 今のわたしへのフォローだよね?それが嬉しくて胸がいっぱいになった。

 自分の順番がくるまで、彼の答えを反芻していた。『大切な人なら』。偽善的ではない、正直な答えだ。

 「ふふ」

 わたしの周りの生徒だけ、少しビクッとなる気配を感じた。

 「明日から普通授業になります。みなさん、気持ちを切り替えて頑張りましょうね」

 彼はそう締めくくった。クラスメイトたちの自己紹介は、ノートにまとめた。あとで読み返そう。挽回の機会はやってくるはずだ。


 リュックを背負うと席を立った。視界の端に女子たちに囲まれている彼が映る。わたしも声をかけようかと迷ったけど、そのまま帰ることにした。

 ん?背中に視線を感じる?いつものような、好奇と恐怖の混ざったものではないような?さりげなく振り返る。誰も見ていない。気のせいだったみたい。自意識過剰だ。恥ずかしい!

 んん?やっぱり、気のせいじゃない!わたしは、勢いよく振り返る。誰も見ていない。彼はというと、窓の外を見ていた。つられるように女子たちもそちらを見ている。

 「夕崎先生?急にどうしたの?」

 「何がですか?」

 「えー、だってぇ。さっきは廊下の方を見ていたじゃないですかぁ」

 「首を動かしたい気分だったんですよ」

 「何それー」

 彼の周りで笑いが起きる。いいな。わたしには、あの輪に入る資格はない。



 委員長の彼氏さんはバスケ部だ。そして、委員長はマネージャーをやっている。わたしは華道部だけど、わたしが参加すると周りの空気が気まずい感じになる。だから、今では幽霊部員と化している。やることのないわたしは帰宅するぐらいしかない。


 夕方六時過ぎに委員長がやってきた。部屋に入ると、彼女はいつもの場所に座る。そして、積み重なったDVDの一枚を手に取ると、パッケージの裏を見る。眉間のシワがスゴいです!

 「そういえば、あんたまた変なことを口にしたでしょう?」

 「心当たりが多過ぎて…、えっと、どれのことでしょうか」

 委員長はカットを中断する。広げた新聞紙の上には、黒い毛がパラパラと落ちている。

 「新任の先生に不気味な質問をしたって話を聞いたよ。『死ぬこと』に関してだとか?」

 「ちょっと違いますが。え、もうウワサになっているのですか?!」

 委員長は、うなずくとまたカットを再開した。

 「アズサさ、何を言ったわけ?」

 「普通にホラー映画のことを聞きたかったのですが、おかしな発言になってしまったと言いますか、なんと言いますか……ごめんなさい」

 「あたしに謝っても仕方ないでしょうが」

 「でも、近くにいる委員長にもまた迷惑をかけてしまうと思うので」

 「周りにぶちまけちゃえば?『わたしはホラー映画をよく観るんです』とか?」

 「ホラーに嫌悪感を抱く人もいると思うのです。そう考えると、言いづらくなってしまうのです」

 「殺し屋とか言われるよりは、マシじゃない?」

 「わたしにとって、ホラー映画は特別な存在なのです」

 「うん」

 「登場人物たちを救うことは、お母さんに与えられた使命だと思っています」

 「うん」

 「大袈裟じゃなくて本気でそう思っているのです」

 「うん」

 委員長はバカにしたり引いたりすることなく、静かに聞いてくれている。わたしは膝の上のこぶしを更にギュッと握りしめた。

 「今、観ているホラー映画だって全員を救うべく頑張っています!」

 「……どんなタイトル?」

 「『脱出不可能』です!」

 「最初から生かす気ゼロなタイトルだね」

 「そうなのですよ。本編では悲しいぐらいにバッタバタと死んじゃうのです」

 わたしは仮面に触れた。

 「わたしの頭の中ではタロウだけが唯一、救えない登場人物なのです。殺人鬼に賄賂を贈ったりしているのですが…」

 「賄賂で身を引く殺人鬼ってどうなのさ」

 「謎の緑色の液体がいけないのです」

 「ほう」

 「殺人鬼がソレを飲むと巨大化しちゃうのです。人間の言葉は理解できなくなりますし、タロウは勝手に『おれならやれる』とか突っ込んでいきますし。もう、どうしたらいいのか……」

 「それさ、本当にホラーなの?コメディじゃなくて?」

 「サスペンスホラーですよ」

 「サスペンス!?」

 委員長は驚きの声をあげた。

 「ほら、できたよ」

 「ありがとうございます!」

 鏡に映る自分の前髪を見る。眉毛は適度に隠れているし、長さもちょうどいい。委員長は、本当に器用だな。

 「わたしも自分でカットできるようになりたいです。不器用なのでガタガタになってしまうのですよ。何かコツとかありますか?」

 「慣れだね」

 「なるほど」

 新聞紙に落ちた髪をそのまま、ゴミ箱に捨てる。

 「じゃあ、帰るね」

 「あ、はい」

 委員長は返り支度を始める。

 「今日もアズサが夕食を作るの?」

 「はい」

 「スゴいよね」

 「慣れです」

 「言うね」

 委員長を玄関まで見送る。帰り際、彼女が何かを言いかける。少しだけ開いた口からは、ため息がもれただけだった。わたしは、ソレを深くは追求しない。

 「じゃあね」

 「はい、気をつけて帰ってくださいね」

 静かに玄関のドアが閉まる。わたしは暫くドアを見つめていた。仮面に触れる。触れていると安心する。頬を叩くと、三人分の夕食を作りにキッチンへと向かった。


 翌朝、いつもより早くに目が覚めたわたしは、待ち合わせ場所に三十分も早く着いてしまった。今日も空は青い。眺めてから今度は地面を見つめた。深呼吸をしながら、いつものようにホラー映画の世界へと意識をもっていく。

 巨大化した殺人鬼を元の大きさに戻せれば!そうすれば、タロウにも勝ち目はあるはず。今度の今度こそ助けられるかもしれない。でも、どうすればいいのだろう?頭が良ければ科学者みたく緑色の液体に対抗できる薬を作るのにな。残念なことにわたしの脳ミソはプチトマトと同じぐらいだ。

 「いっそ、火をつけて燃やしてしまえれば」

 「物騒ですね」

 「やっぱり、そう思います?町ごと爆破してしまえればいいのに」

 「過激ですね。周囲を巻き込みたいのですか?」

 「まさか!標的は一人ですよ」

 ………?委員長でもその彼氏さんでもない声。わたしは恐る恐る顔をあげた。悲鳴をあげそうになり、慌てて口を手で塞ぐ。マウンテンバイクにまたいでいる状態の彼がいる。それも、わたしの半径一メートル以内に。

 「おはようございます。手鞠さん」

 「お、おはよう、ございます」

 マズイ。わたしはまた学習もせずにやらかした。

 「姿を見かけたのですが、何か考えごとの邪魔をしてしまったみたいですね」

 聞かれていた!?一体、いつから?冷や汗がダラダラと流れていく。どう答えればいいの!?

 彼は柔らかな笑顔を浮かべている。な、何か。何かを話さなければ!そうは思っても、気持ちばかり焦って何も浮かばない。

 「そうだ、手鞠さん!今日の放課後は時間ありますか?化学教室の片づけを手伝って欲しいのですが、いかがでしょう?」

 「え?」

 「話したいこともありますし、ね?」

 どうして、わたしなのかな。独り言の内容への注意とか?ゴクリ、と喉が鳴る。

 「わかりました」

 「本当ですか!助かります!ありがとうございます」

 彼は嬉しそうだ。わたしも胸が温かさでいっぱいになる。でもー…。わたしはわたしの世界に誰も深くは入らせる気はない。そう誓った。

 少なくとも今はダメだ。ちゃんと、線引きしなきゃ。

 「手鞠さん、では放課後に」

 「…あ」

 マウンテンバイクに乗って去っていく。その姿が昔の彼と重なる。そのまま、またいなくなってしまわないよね?掴めるわけなんかないのに、わたしは手を伸ばした。


 「おーい、アズサ?手なんか伸ばしてどうしたのさ」

 気づいたら、委員長たちが横に立っている。彼に独り言を聞かれたことといい、今日はこんなのばっかりだ。伸ばしていた手を引っ込めると、委員長たちに笑いかける。

 「その…空気って掴めるのかな、と思いまして」

 「は?」

 ああ、そんな哀れむような顔をしなくても!

 「はぁー」

 ため息まで!!タロウの存在は、すっかり薄まっていた。ごめんなさい!タロウ。

 「あはは~。じゃあ、行こうか~」

 「ソラくんの仕切り屋」

 中学生の時から続く、朝のやり取りを見てなごむ。それにしても、放課後、か。

 「アズサ?」

 「はい!行きましょう!」

 「ん?うん。なんか嬉しいことでもあった?」

 「…そう、ですね。はい!」

 彼はわたしのことなど覚えていないだろう。それでもいいのだ。いや、その方がいい。


 わたしにしては、放課後までの時間を平和に過ごせたと思う。変な風にウワサもされなかったしね。

 そして今、わたしは化学準備室にいる。この部屋には初めて入ったけど、散らかり過ぎ。外を見るフリをして、窓際に立っている彼を見た。パラパラと資料をめくっている。とても、真剣な表情だ。昔はただただ優しいイメージしかなかった。でも、改めて見てみるとカッコいい要素もプラスされている。ホラー映画に出てくるならば、最後までヒロインを守るタイプだろうか。そのまま庇って自らー…。って、勝手にバッドエンドを描くなんて最低だ!いけないな。作業に集中しなくちゃ。

 そうと決まれば、とダンボールの山と格闘し始めだ。乱雑に詰め込まれた、実験道具をテーブルに出していく。

 「あー、それはそのままで」

 「は、はい」

 丁寧に戻していく。

 「こっちにきて。この資料をあっちの棚にしまって」

 「は、はい」

 気のせいかな?何だか雰囲気がかわったような。ふと、陰ができてわたしは顔をあげた。

 「!?」

 顔ちかっ!?そのあまりの近さにビックリする。そのまま、飛び退いた。背中に何かが当たるのと彼に支えられるのは、ほぼ同時だったと思う。ドサリ、とわたしの足元に分厚い本がいくつも落ちてきた。

 「危なっかしいな。大丈夫だったか?」

 「はい、すみません」

 あれ?口調が……。

 「ねえ、おれのこと忘れちゃったの?」

 「おれ?!」

 一人称は『ぼく』じゃなかった?確かに昔は『おれ』だった気もするけど。わたしは、まじまじと彼を見つめた。

 突然、鼻をつままれる。フガフガ言いながら、何とか手を払った。

 「何をするのですか?!」

 「本当に忘れちゃったわけ?」

 「はい?」

 「薄情もん」

 「あの?」

 「はあぁぁ~」

 そんな、しみじみため息を吐かれても困ってしまう。わたしは、何度もまばたきを繰り返した。

 「天誅」

 彼はそう言ってデコピンをする。これが結構、痛い。おでこを押さえて彼を見る。もしかしたら、涙目になっているかもしれない。ヒリヒリとする。

 「はあぁぁ~」

 もう一度、深くため息を吐かれた。わたしは彼の態度にただ戸惑っていた。

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