切ない二人の絶望の始まり
流星が流れ、人の成れの果てだと言われる星が燃焼されていく・・・・・・
あいつはもう燃焼されたのだろうか?
三年前、いつもと同じ通りの日常に飽き飽きしていた頃だった。
あいつはいつも通り家のチャイムを鳴らし母と談笑している、その風景は何度目か忘れるほど
日常の景色であり、安堵の象徴でもある事象そのもの・・・・・・のはずだが
冒頭で言った通り、飽き飽きしていた。
誰だって平凡すぎると刺激が欲しいもの、でも嫌な刺激はいらないとは思ってはいたが
そんな甘っちょろい話は無いらしく、いきなりあいつの絶望が始まった・・・・・・
余命五年という謎の奇病らしい、《貪食性食作用異常細胞食病》通称、カタストロフ、イート
どうやら自分の細胞を自分の細胞が食い荒らす病気らしい
どんだけ食いしん坊なんだよ! あいつは! と心の中で突っ込んだが真面目な話らしく
医師は真剣に疑似高タンパク質とやらを摂取するようあいつに宣告と同時に言った。
普通、宣告は慎重だがこの病はそんなこと言ってられないらしく、即入院の処置を取り
絶対、重篤な患者や深刻な患者が行くという東の病棟に入院した・・・・・・
その病棟は日が昇ると同時に一人は、天に召される。
入院している人間は最大で三十八名でカウントダウンが迫るので
医師に五年ですよねと確認した。
「心配いりませんよ・・・・・・五年はきっと、いや! 必ず生かします! 」
「治療法はあるんですよね? 」
「その話なんですが・・・・・・実のところ、ありません・・・・・・」
ショックで気が遠くなる後ろのあいつの両親が後ろを見なくても音でわかった。
「鳥嶋さん、そして友人の木頃さんすみません・・・・・・」
医師の虚しい謝罪が無力さをより際立たせてしまい
心にあいつに最強の最後をと、誓いを立て
病室に向かうとあいつ、キトカが一人きりの病室で漫画を読んでいた。
「何の漫画? お前の好きなアクションもの? 」
気さくに別になにもなかったように、いつも通りの態度で話しかけ
バカ話を二時間ほど話した。
「どうしたの? いつも、こんなに話聞いてくれないのに・・・・・・」
「ああー、なんていうかお前と話したくてかな?お前の事、嫌いじゃないしさ?」
「そう? じゃあさ、明日も来てよ? 待ってるんだからね?」
「ああ、そうだお前の好きなゲームってなんだっけ?」
「ほんとに大丈夫? いつもより親切だけど・・・・・・」
「お前がこんな状況だからであって他意はねえよ」
「そうならいいけどさ・・・・・・無理しないでよ?じゃあ、また明日ね」
「おう! 」
キトカの両親が外で聞いていたらしく、手をぎゅっと包み込むように握られ
「ありがとう・・・・・・なりふさ君・・・・・・ありがとう・・・・・・」
痛烈だった、心が凄く熱を持ったなにかで押しつぶされそうな感じがした。
感覚が麻痺しそうな本当の痛み、自然と涙が溢れだしたが家に帰って妹に心配されるまでは
気が付かなかった。
それほどの心に対する過度なストレスが掛かっていたらしい・・・・・・
それから毎日、学校が終わると病院へと通った。
ある日は一緒にゲームを
ある日は録画してやったアニメを小さいプレイヤーで一緒に見て
感想を言い合ったり、運動は出来ないものの娯楽が溢れる今の社会に退屈なんてないはずだと言わんばかりに今を謳歌する。
ちなみにキトカは女で俺の好きな人だったりするから結構、毎日が楽しいし
永久に続いてもいいかもと思い始めた頃だった。
キトカの症状のステージが上がると同時に会えなくなる。
免疫力低下に伴う無菌室への移動・・・・・・
ガラスのようなプラスティックのような透明な壁越しにキトカは笑いかけてきた。
それはもう、泣いた・・・・・・わんわん泣いた。
すると壁越しにホワイトボードで「泣くな、未来の夫! 」
意外だった・・・・・・あいつは俺の好意に気が付いていたらしい、
こちらもホワイトボードに「じゃあ、生きて盛大に結婚式やろうぜ!」と返した。
なんか笑えてきた、これが救いだった、
そして夢が出来た。
この病気を治してやれる医者になると
計算上ではあと四年六か月はあるはず・・・・・・と信じたい。
ちょうど医学部か薬剤師かという広範囲な勉強はしてきたし
ちょうど今は十二月だ。
まだ間に合う、医大は約四年だったはず研修医期間も含めて。
だが、勘の良いひとは気が付くだろう・・・・・・