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瀕死の重体で放り込まれた異世界と赤い髪の少女

作者: 霞空

ハイファンタジーの練習と言うことで1時間ぐらいで適当に書き上げたものがキリが悪くて書き足したもの。

予定ではバトルや冒険等あるのですが、続くかどうかは未定なので短編で上げました。

興が乗ったら今書いているパルシィードと並行して書いていくつもりです。



 いつまで魔法や物語の主人公の様な空想があると信じていたかなんて覚えている人はいるのだろうか?


 自分は憶えてなどいない。

 いつしか大人になるに連れてそんな子供じみた空想などありえないと自然に理解していった。

 魔法は空想上の出来事であり、物語の主人公は人々の欲望により理想の人間として描かれている。

 そんな当たり前の事実をただ認識して何時も通りに学校へ通い、つまらない授業を受け、そして何事もなく帰宅していく。

 いつか憧れたような世界はあるはずもなく、何も変わらない日常に嫌気を覚えながら空想の産物である物語に浸る。

 そして再び朝日が上り、変えたくても変えられない日常へと戻っていく。



 そんな高校生活も折り返しに差し掛かった二年の冬。






 俺は落ちてくる瓦礫の下敷きとなり、目が覚めた時には魔法使いの少女に助けられていた。






 自分でも何を言っているのか理解できない。

 これを聞かされた人の反応など容易に想像がつく。

 真面目に精神科の門を叩くことを勧められ、もはや都市伝説となっている黄色い救急車を手配されるかもしれない。

 少なくとも真面目に此方の話に耳を傾けてくれる人物などいないと思う。

 仮にそんな奇特な人物が居たとしても、それを生業にしている作家か現実と空想の区別がつかない狂人ぐらいなものだろう。





 しかし、自分の目の前で実際に起きている事実を否定した所で何も変わらない。





 今現在も俺の胸に顔を埋め、嬉しそうに頬擦りしている少女が居なくなることはない。

 なに、実際話にすればどうってことはない。



 命を救われ、命を救っただけだ。



 帰宅途中に突然崩れたビルの倒壊に巻き込まれ瓦礫の下敷きになり、目を覚ましたときにはこの赤い髪の少女に介抱されていた。

 身体中の至る所にできた裂傷は彼女の魔法により癒され、人体としてはありえない方向に曲がりくねった関節は力技で修正された。



 あれはマジで痛かった。泣くかと思った。

 いや、泣き叫んでいたな。



 それはともかくとして、命からがら壮絶な治療の末なんとか身体の自由が戻ったときには自分を取り巻く環境に別の意味で絶叫しそうになった。

 見慣れた通学路ではなく倒壊したビルなど影も形もない。




 そこは緑あふれる森の中だったのだから。




 状況についていけずに固まっている俺に少女が話しかけてきた事で現実に帰ってくることができた。


 彼女の名前はアイナ。


 人と話すのも久しぶりだったらしく楽しそうに話していたのが印象に残っている。

 だがその時の俺にはそんな少女の様子に気を配る余裕など無く、少女の髪の色や未知の技術に怯えを抱いていた。

 それはそうだ。自分が知る限りの技術では治せるような怪我では無く、仮に命を取り留めたとしても重度の後遺症は確実と言った有様だったのだから。


 目の前で笑顔を振りまく彼女の真っ赤に輝いている髪が悪魔の様に映ってしまった。




 その後は簡単だ。恥も外聞も投げ捨て逃げ出した。

 命を救ってもらった少女を置き去りにしてただ走り出した。


 背後からどことなく悲しそうな声が掛けられたのを覚えているが、それに構う余裕などなかった。

 そうして走れなくなるまで走り抜けた先には、只々木が生い茂る森の中だった。


 見知らぬ場所、それも森の中の道など知るわけがない。

 迷うのは必然といってもいい。


 徐々に暗くなっていく空にさらなる恐怖を覚えながら歩き続けた。

 そして空が完全に暗くなった頃、力尽きるように意識を失った。





 完全に昇りきった太陽に目を遣られ目を覚ましたときには、再び赤い髪の少女が隣にいた。


 叫び出しそうになるのを必死に抑えながら少女をみると、此方に対して悲しむような表情をしていたのだ。

 その事実を目にしたことで一気に冷静になることが出来た。


 恐らくまた介抱してくれていたのだろう。

 隣をみれば果実と思わしき物まで用意されている。

 食事まで準備するような少女が自分に害を与えるとは思えないと結論に至り、ようやく少女の様子を確認することができた。



 綺麗な赤い髪は光を受けて輝きを放ち、どこか不安の色を湛える顔はあどけなくかと言って幼いというわけでもない。

 年は自分よりも下に見えるが少なくとも十四歳ほどと言った所、そして紛れもなく美少女といってもいい容姿をしている。

 羽織っている黒いローブには野暮ったさはなく、かと言って派手さがあるわけでもない。

 簡単に言うならば、自分が空想と切り捨てた魔法使いの格好をしていた。



 昨日の事もありなんと声をかけていいのか判らないでいる俺に、彼女は再び逃げないことを察してたのか笑顔で話しかけきた。


「君の名前は?」


「透。志崎しざき とおる



――そうなんだ。と、どこか嬉しそうな声ではにかむアイナに少しどぎまぎするが、どうにか顔に出すことなく抑えることに成功する。

 自己紹介をしたことで気まずい考えがなくなったのか、自分から今の状況に付いてあれこれ聞くことができた。




 一番最初にここは地球ではなくオブシディアという世界らしく、自分は突如としてこの森に瀕死の状態で現れたようだ。

 たまたまこの森に住んでいた彼女が通りかからなければ近いうちに命尽きていたらしい。



 そして、この世界には魔法がある。



 目の前で実演された種も仕掛けもない炎に、状況を忘れ胸をときめかせた。

 彼女の魔法により自分は一命を取り留め、変わりなく自由に動ける身体のままでいられた。


 改めて聞いた自分の惨状と彼女の治療に驚きつつも、助けられた恩を返さないのは日本男児として恥ずかしく思い、何か自分に出来ることがないかと聞いてみると――ただ一緒に居てくれるだけでいい。と返された。



 呆然とする自分に彼女は自身がずっとこの森をでることなく過ごしていることや、久しぶりに害意のない人間と遭うことが出来て嬉しいこと、独りで何年も森で過ごして居たため寂しい想いをしていたことを教えてくれた。


 どうしてこの森から離れないのか訪ねてみると、どうやらこの森には帰ってこない師匠の言いつけにより大切なものを守っているようだった。

 守っているものは過去の遺物であり動かせるような物ではないため、森から出るに出られなかったらしい。



 最初は一年で帰ってくると伝えられていたが、一年経っても帰ってくることはなく気がついたら四年以上経過していたらしく、もう何年経ったかも覚えていないという。



 その師匠とやらがどういう人物かは知らないが、こんな少女を森に放置するとはひどい話だ。



 守り続けている理由も契約のためとしか教えてもらえず仕方なくこの話は切り上げることにした。

 とりあえずは命を救ってもらった少女に報いるため、ここがどういう世界という事も把握する兼ね合いもあり一緒に暮らすことになった。



 突然異なる世界に来てしまった混乱が無いわけではない。

 喚き散らしたい衝動が無いわけでもない。

 ただ、寂しそうな雰囲気を出す少女を目にしたことで、そんな感情が何処かへ行ってしまっただけだ。



 ほら、男の子だしな。女の子は大切にしろと近所のじいちゃんにも言われてた事だし、それに従ってみただけだ。



 そうして嬉しさあまり抱きついてきた彼女に焦りながらも奇妙な共同生活がスタートした。




 そこから約一週間は流れるように過ぎていった。

 初めて見る世界に心をときめかせ、触れるもの全てが新鮮だったのだから時間を忘れるのも仕方ないと言える。

 男女二人で過ごしているのだから適切な距離を保つ気遣いも必要となり、最初の頃は水浴びを覗いてしまうという失態を晒すが現在は過去の過ちを糧に繰り返すような真似はしてはいない。


 そうしてやたらと懐いてくる彼女と過ごす日々は、突如として崩れ去ろうとした。



 王国の騎士団が森を襲ったのだ。


 この世界にはそれぞれが制度の違う大きな三つの国がある。



 代々王位を継承しているオスラント王国。



 貴族を中心とした者たちの議論により代表を決めるキュルア帝国。



 そして民主主義の元、身分の差など無く議員制度により統治されるファイル共和国。



 アイナの話で聞くことが出来た国の情報が胸を過る。

 この森に安置されている、つまりアイナが守り続けている物に王国がご執心のようなのだ。

 その為何度も襲撃を仕掛け彼女が守り続けている遺物を手にしようとしていた。


 最初から話し合うこともなく一方的な襲撃だったようで、師匠の言いつけもあり彼女は身につけた魔法で撃退し続けて居たという。

 今回も何時も通りに退けると少し困った顔をしながら彼女は怒号が飛び交う戦場へと歩いていった。



 しかし今回は規模が違っていた。



 彼女が放つ魔法を意にも介さずに物量に任せて押し進んでくる。

 何度も閃光を放ち、色とりどりの光に薙ぎ払われ多くの被害を出しながらも目を血走らせた騎士の集団が止まることはなかった。



 遠目から確認した戦場の様子に彼女が危ないと感じ、避難させられていた茂みから飛び出して彼女が守る遺物へと向かった。




 倒れ伏している騎士たちに目を向けること無く走り続ける。

 道中此方に気づいた騎士たちが襲いかかろうとしてくるが、彼女が放った魔法と思わしき水の波に流され事なきを得ることができた。




 そして息を切らしながらもなんとかたどり着いた遺物が保管されている社の前で彼女の姿を見た。




 師匠からの贈り物と嬉しそうに語っていた魔法使いの証であるローブは所々破れて身体中に傷を負い、膝を着き苦しそうに息を乱しながらも既に半壊している社の前から動こうとしない彼女。



 そんな痛ましい姿の彼女に容赦なく襲いかかる甲冑の騎士たちに怒りが湧いてくる。

 同時に何故そんなになっても遺物を守る彼女に苛立ちを覚えた。



 彼女から聞いた師匠の話は少なくとも約束を破るような人物ではなかった。

 聞いた限りこの世界の命は安い。


 つまり何年も音沙汰がない師匠である人物は既にこの世に居ない可能性が高いということだ。

 アイナ自身もそのことを薄々感じては居たのだろう。

 時折遠い目をしながら師匠との思い出話をしていたのを覚えている。




 守っている遺物に何の価値があるのかは知らない。

 何もしらない自分がでしゃばっていい問題じゃないかも知れない。

 しかし健気に約束を守り続けるために一人寂しく森で暮らしいた彼女が苦しむ事を自分は我慢できなかった。





 気づいたときには半壊した社から見える像の様な遺物に走り出していた。


 奪われない為に彼女がその身を犠牲に守りつづけるというなら、遺物がある故に王国が魔の手を差し向けてくるとわかっているなら、それを壊してしまえばいい。


 役に立たなければ襲う価値も守る意味もないだろう。

 約束をした本人にそれをすることができない。



 なら何の関係もない自分がその役目を負えばいい。

 彼女に嫌われるかも知れない。


 当然だ。守り続けた約束を壊されるのだから。

 それでも構わなかった。

 それで寂しそうに笑う彼女が自由になれるのなら、人と話すのが大好きな彼女に再び人生を楽しむことが出来るのなら命だって掛けたって構わない。



 元々は死んでいたはずの命。

 彼女の為に使うことに躊躇いはない。

 ここで使い惜しめば一生後悔することになる。



――――男はカッコつけなきゃいきていけない生き物なんだぞ。




 今やこの世にいない近所の爺さんの言葉が胸に蘇ってくる。



 あぁ、その通りだよ。男なんて基本バカな生き物だ。



 決意と共に襲ってきた騎士たちを薙ぎ払って息を乱している彼女の横を駆け抜けた。

 横目に映った彼女の顔には驚きが見えたが自分の足は止まることは無く、呆然とする姿を背に像へと進んでいく。



「おらぁぁぁぁぁぁ――――っ!!」



 後数歩の距離まで迫った時、叫びと共に飛び上がり像に向けて蹴りを打ち込んだ。

 元々古くなっていたのだろう。

 僅かな抵抗を感じると同時に半ばから砕けて行くのを確認した。


 背後から聞こえる俺の凶行を咎める叫びや彼女の名前を呼ぶ声が聞こえるが気にしない。


 後は自由になった彼女が逃げ切ればそれで終わる。

 約束を壊し彼女に見捨てられた自分は、騎士たちに煮るなり焼くなり自由に処刑されるだろうが構わない。




 彼女に幸多からんことを。




 徐々に落ちていく身体と共に像が崩れ落ちていく中、破片に交じる水晶の様な物体から光が爆ぜた。


 同時に身体の中から何かが膨れ上がるかのような痛みを覚える。

 それは到底抑えきれるようなものではなく、近いうちに自分の身体が破裂する光景が頭に過る。


 まぁ拷問に掛けられたりしないだけマシな死に様か。

 死期を悟り、呑気な思考に浸っていると肩を支えるように添えられた手の温もりを感じた。


 すると今にも溢れ出しそうとしていた痛みが徐々に収まっていき何事もなく地面に着地することができた。




 振り返ってみるとそこには苦しそうな表情をしつつも自分に向けて笑顔を作っているアイナがいた。



「よかった……」



 心の底から安心しているような口調で口を開いた。



 理解できなかった。



 自分は大切にしていた物を壊した張本人であり助ける理由など何もないのだから。

 今までの暮らしも自分が役に立てるような事など殆どなく、彼女に助けられてなんとか生活している要は足手まといのはずだ。



 それなのに最初の頃と同じく再び助けられた。

 逃げようと思えば逃げれたはずだ。

 しかしそれはせずに俺を助けた。



 恐らく魔力を大量に使った所為だろう。

 先程見たときよりも激しく呼吸が乱れている。

 これでは逃げ切れるものも逃げ切れなくなる。



 あまつさえ呆然としている自分に向け――――にげて。と語りかけてくる。

 こんな時でも自分の身を顧みない彼女に苛立ちが募るが既に状況は最悪となっていた。




 いつの間にか全身を甲冑で固めた騎士たちに囲まれていた。

 騎士たちは怒りからなのか隠すこと無く殺意を向けてくる。

 剣を掲げているのを目に止めて、間もなく振り下ろされるだろうことは想像に難くない。

 そして彼女諸共この世を去るのだろう。




 自分は彼女を窮地に追いやっただけで何一つ役に立ってはいなかったのだ。



 自分に魔法は使えない。

 困った顔をした彼女に無理を言い教えてもらった初級魔法すら使えなかった。

 本来なら誰しも持ち得ている魔力が俺には無かったのだ。


 魔法など無い世界から来たのだから当然といえば当然。





 つまりこの状況を打開する術が自分にはないのだ。




 どうしようもない現実に悔しさが溢れ出る。

 もしかしたら彼女だけならどうにかなったのかもしれない。

 自分が余計な行動など起こさなければ遺物はともかくとして彼女の命は繋がっていたかもしれない。




 悔しさで胸が締め付けられる中、剣が振り下ろされたのと死が迫ったことで感情が爆発するのは同時だった。








――――――――ふっざけるなぁっ!!!








 それは先程まで感じていた身体の内から溢れ出るような感覚。

 しかし害になるようなことはないと本能的に理解する。

 溢れ出る感情に任せて吠えると周囲に居た騎士は為す術無く吹き飛ばされていた。



 目の前の現実に理解が追いつかず呆然としている中、自然と理解する。


 これは魔法だと。


 この世界の魔法には種類がある。


 火、水、土、風。


 そして限られた者しか使用することができない光と闇の計六種類。



 それぞれが持つ適正に応じて髪の色が違ってくる。故に色で例えられる事が覆い。

 とりわけ、強い適正を持つものは髪もそれに応じて鮮やかになっていくという。

 つまりアイナは火の属性に大きな適正を持っていると言うことだ。

 本人は曖昧な答えしか返さなかったが、それこそ国の上部にいるような程の適正と言うことになる。




 しかし例外もある。


 太古の時代。

 伝えること叶わず歴史から消えた魔法系統。

 無色の古代魔法エンシェントマジック


 ここ数百年以上適正を持つ物が現れずに半ば夢物語として語られているモノ。

 そして自分から溢れ出している魔力は無色透明。

 つまりはそういうこと。

 自分に魔法を使う適正が無かったわけではない。



 それ以外の魔法を使うことができなかっただけで自分には確かに魔法を使う能力があったのだ。




 喚き散らす集団を気にかけること無く立ち上がる。



 あぁ、女の子一人助けられずして何が男か。



 身体を駆け巡る魔力に自然と使い方を理解する。

 見えずとも伝わる魔力は意のままに操る事ができると。



 これが古色魔法。

 無色の魔法。

 純粋な魔力を操り、想像のまま自由自在に扱う事ができる自分にぴったりな魔法。




「さぁ、――――――――覚悟しろ」



 一変して何か恐れるような視線を漂わす騎士たちを見据えて口にする。

 身体を駆け巡る激情のまま、雄叫びと共に力を解き放った。




 それがこの世界に瀕死の重体で放り込まれた俺の、本当の始まりだった。






 その後、襲い掛かってきた騎士団を撃破した俺は気を失い目を覚ました時には、社とは離れた森のハズレで最初の頃と同じようにアイナに介抱されていた。


 それがどこかおかしくて二人して笑いを零した。

 騎士団は撤退していたようで、今も斥候と思わしき数人が社付近を捜索しているという。

 安堵するも束の間、覚悟していたとはいえ自分の行動への追及が来たが、あんな無茶は辞めてくれと涙ながらにお願いされてしまったため素直に謝罪するしかなかった。


 しかし、多少のお説教を頂きはしたが彼女との関係は今も変わらず、むしろ懐き方がより一層ひどくなった。




 今も自分の胸に顔を埋めて頬擦りしているのだからどうしようかと悩んでいる。

 下を向けば――んんっ。と反応に困るような声が耳に届き、鎖骨から肩にかけて少し乱れたローブから覗く素肌に過去の水浴び現場が思い返され、身体が熱くなるのを自覚できてしまう。


 浮かんでは消えていく光景に変な気を起こさないよう堪えていると、此方の気も知らぬ彼女が疑問を投げかけてくるような瞳を向けてくる。



 この上目遣いはやばい。



 位置の関係上、髪と同じく紅く綺麗な瞳は必然的に上目遣いとなる。

 どうしようかと視線を空へ向けた所で彼女は自分の衣服の乱れに気づいたのかそそくさと俺から離れていく。




「……えっち」




 恥ずかしそうに身体を抱きしめながら避難の目を向けてくる彼女の姿は余計に身体を熱くさせる事になるが、女の子には勝てないという男の性に従い素直に頭を下げた。






 そうしてしばしの間頭を下げ続けた事が功を奏したのか、仕方ないという笑顔と共に許してくれた。

 明日からは気をつけるとしよう。


 それに明日はこの森から出るというのに怒られたままだと締りが悪い。

 自分の異世界での本当の始まりなのだから少しはカッコつけたって良いだろう。



 騎士団の捜索に引っかかる前に二人で見つけた木陰で、この森での最後の休息を取るとしよう。






 これは後に【古色魔導の英雄(エンクエティ)】と【紅の魔女(スカーレット)】と呼ばれる二人の物語。




やはり、ハイファンタジーは上手く書ける気がしない。

いい練習になりました。


またどこかでお会いしましょう。

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