中編
なんか結構ブクマ来てたので早めに書きました。早めに書いたので誤字、脱字、脈絡のない文章等ありましたら感想欄で報告お願いします。
彼らが振り向いた先にいたのは圧倒的威圧感を放つ者であった。その威圧感は全く解かれる様子がない。不機嫌であることが目に見えてわかってしまう。
その男の見た目は三十代後半。筋肉質の肉体を携え、きらびやかでありながら派手すぎない衣服を着ている。
『こ、国王様…………』
そう、そこにいたのはオネスト王国第48代目現国王。歴代の中で全てにおいて一番の王であると言われている。
シューヴァルツ=オネストその人であった。
つまり━━━━━━━━
「ち、父上っ」
王子アレク、もとい、アレク=オネストの父である。
「お前の声が遠くにいた私にまで聞こえてきたぞ。一体何があった。包み隠さず答えよ。」
「は、はい」
先程までの威勢はどこへやら。
自分の父親であるというのにもかかわらず、その姿を目の前にして萎縮してしまっている。
アレクは極度の緊張状態に襲われていた。
「ミリアが、この夜会に来ていないと、そこのミリアの妹であるマリーが申したものでして………なぜ、公爵令嬢であるミリアが、王主催の夜会に来ないのだ、とそういう話をしていました……」
シューヴァルツは、それを聞いてため息をつく。
「はぁ。そんなことか。何も怒らなくてもいいだろう。」
「いや、しかし、かりにも公爵令嬢であるものが━━━━
「遅れているだけだ。もうすぐ来る。それより、お前の隣にいるその娘は誰だ。」
シューヴァルツは先程からアレクの隣にいる少女にを気にしていた。
「は、はい。同じ学園に通っている、アリカ、という平民の娘です」
「はっ、はじめまして、国王様っ!」
アリカは「国王様が来るなんてこんなの聞いてない………そんなイベント無かったのに…………」と、アレクにしか聞こえない小さな声で呟いている。
アレクも、父親がこの場で出てくるとは思わなかったので、アリカの言葉に激しく同意しているだろう。
そして、シューヴァルツは挨拶をしたアリカをみて、うっすら笑いながらアリクに話しかける。
「ほう、アレク、お前はこの娘が好きなのか?」
「えっ!?」
突然の不意打ちの質問にアレクは動揺した。
それもそうだろう。アレクは婚約者であるミリアを今まさに婚約破棄しようとしていたのだ。
その言葉は、何らかの皮肉なのか、それとも━━━
そんな思考が頭のなかを埋め尽くした。
「ち、父上、実は……」
「今度は見捨てられないようにな。っと、どうやらミリアリアが帰って来たようだ」
シューヴァルツはアレクの言葉が聞こえなかったようで、次の話題を話始めたので、アレクは遮られた自らの発言を飲み込んだ。
そして気づく。
━━━━━今度とは一体………?
━━━━━ミリアが、帰って来た?
「たっだいま~っ!」
アレクが物思いに耽っていると、夜会をしているこの会場に、女性のものらしき大声が響く。
大声に反応して振りかえると、そこには銀髪の、顔がマリーにそっくりな女性がいた。
「シューヴァルツ様、おひさ~」
「うむ、久しいな、ミリアリアよ」
アレクは、そのやり取りに驚愕する。
国王であるシューヴァルツに、敬語を使わずに話しかけ、怒るどころか、それを許容したからだ。
アレクは目の前にあるその光景を、数瞬信じることが出来なかった。
第一、ミリアはもっと静かであったはずだ。
「ミ、ミリア………なのか?」
「うんっ?」
話しかけられたミリアリアが、アレクに振り向く。
そして、こういったのだ。
「あぁっ!!アレク王子っ!なっつかしいなぁ。やっぱこんな性格不細工男でも、一年見ないだけで懐かしくなるんだねぇ~」
さらりとディスられたアレクは、もう話についていけなくなっていた。
「あ、あぁっ!そっ、そうだっ!今日は、おまえにい、言いたいことがあるっ!」
無理矢理話を転換し、ミリアリアに向かって叫ぶアレク。
「ミリアっ!お前との婚約を破棄するっ!!」
しょっぱなから他人に婚約破棄し、来ると思わなかった父親が登場し、アレクの心情はさんざんであった。
そこに登場したミリアリア。
今日の本題であった言葉をやっと本人に切り出せたことに、アレクは正直安堵した。
しかし、その安堵した心持ちも、ミリアリアの次の言葉で困惑に一転する。
「……え?私、もうアレク王子と婚約してませんよ?」
後編は、早くて明日。遅くて明々後日には投稿します。
感想欄に色々かいてもいいんですよ?待ってます。ただし、「罵詈雑言」と「学歴ハラスメント」はやめてください。死んでしまいます。