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前編

センター終了記念作品。

一週間位で完結させる予定。

「ミリアっ!!お前の悪行にはあきれ果てた!!もう我慢できん!!お前との婚約は破棄する!!」



 ある日のこと。この日王城で行われていた夜会も終盤に差し掛かっていたところであった。

 この国の王子であるアレクは、目の前で料理を見て、食べて、文字どおり思うぞんぶんに料理を楽しんでいる二人組に言い放った。

 いや、正確には二人のうちの一人。

 腰の長さまである綺麗な銀髪が特徴の、誰が見ても美少女と断定するであろう公爵令嬢。

 その少女に向かって叫んでいた。



「ねぇ、マリー。そっちのも取ってちょうだい?」


「仕方ないわねぇ………………はい、どうぞ。」


「ありがとうっ」




「聞いているのかっ!!ミリアっ!!」





 その銀髪の少女は、ようやく気づいたかのようにアレクへと顔を向ける。その顔からは、困惑の感情がありありと見てとれた。



「ねえ、マリー話すのはいいけど手を離してよ。せっかく取ってきてくれたのがたべられないじゃない。」


「え、あぁ、ごめんね、クロエ。アレク王子が私とお話したいことがあるそうだから、ちょっと待ってね?」



 そうして、銀髪の少女はアレクに話しかける。



「失礼しました。それで?私になんのようでしょうか、アレク様。」



「だからっ!!先程から言っているように!ミリア!お前との婚約を破棄すると言っているんだっ!!」



 その言葉を受けて銀髪の少女は、またしても困惑の表情を浮かべた。



「失礼ですがアレク様。相手をお間違えになっておりませんか?」


 その返答を受けて、アレクは激怒する。


「っ!、きっさま!!間違っているわけないだろうっ!!お前との婚約を破棄すると言っているんだっ!!ミリア!もう一度いう!!お前との(・・・・)婚約を(・・・)破棄する(・・・・)!!」

 


 やはり銀髪の少女は怪訝な顔する。



「えぇと、何故私に言うのか、理由を伺っても?」


「貴様、まだしらばっくれるかっ!!いい加減罪を認めろっ!アリカが可愛そうだと思わないのかっ!」



 そうアレクが言うと、後ろから、可愛らしい、何とも保護欲のそそられそうな雰囲気を醸し出している少女が出てくる。


 銀髪の少女は公爵家であるため、貴族の人とは一通りの面識があるが、この少女の顔は頭の中にはなかったため、平民であると断定する。



「それで、その平民の少女がどうしたのでしょう」



 アレクに向かって銀髪の少女が話しかけると、何故か分からないが、アレクの隣にいる少女、アリカが話しだした。



「ミリア様!もうやめてください!確かに、あなたの婚約者であるアレク王子と、私は毎日のように話しているのは、悪いと思っていたのです。しかし、嫉妬で嫌がらせをするのはもうやめてくださいっ!!」



 銀髪の少女は、今度こそ本当に困惑しだした。何故私なのか?何故いきなり泣き始めるのか?何故クロエは空気を読まずに食べ物を物色しているのか?


 この頃になると、周りにいる人々も何事かと思い、ほとんどが手を止めて此方を見ている。そのなかでクロエは、ただ一人動き回って料理を物色していた。



「えぇと、それで、何故、()なのでしょうか?」


「この期に及んでまだとぼけるかっ!!お前は、アリカが平民の身分で俺と一緒にいるのを嫉妬して、学園で階段から突き落としたり、アリカの持ち物を隠したり、他にも色々しているだろう!!アリカから全てきいているんだぞ!」



 先程から望んだとおりの答えが返ってこないので、仕方なく銀髪の少女はアレクにキチンと質問した。



「ですから。なぜ、そのミリア(・・・)嬢ではなく、私、マリー(・・・)にその話をするのですか?」





『は?』





 アレクとアリカが間抜けな声を発した。



「な、とぼけるのも大概にしろっ!」


「私は一切とぼけているつもりはありませんが。」


「それをとぼけるというんだ!!その顔に、その長い銀髪。どう見てもミリアではないかっ!!」




「………あぁ、やっとわかりました。つまり、アレク様は姉の『ミリアリア』のことを言っておられるのですね。ミリア、ミリア、とおっしゃられていたので誰のことかわかりませんでした」

 は

 銀髪の少女、マリーは納得したようであるが、アレクはそれによってこれまで以上に憤慨した。


「なっ!貴様まだとぼけ」

「殿下は、私たちの家族構成をご存じないのですか。まぁ、周りの人たちは知っていると思いますが。」


 そういって回りを見渡すようマリーはアレクに促した。怒りを納める様子もないまま、憤怒の表情でまわりをみわたす。


 すると、アレクは気づいた。周りの人々は、皆が一様に同じ表情を浮かべているのだ。あきれ果てた顔をこちらに向けているのだ。それも、ミリアではなく、自分達に…………



「まさか、本当に、君はミリアではないのか?」

「ですから、言っているでしょう。私はミリアリアではなく、マリーである、と」



「そうだったのか…………すまなかった……」


「いえ、別に謝られるほどのことではありませんので。」



「では…………ミリアはどこにいるんだ?」


「えぇと、大変申し上げにくいのですが、ミリアリアは今いません」


「なんだと!?」


 アレクはマリーの言葉をきいて、納めた怒りをまた解き放った。


「王主催の夜会に公爵令嬢が欠席するのかっ!!これはもう問答無用で父と母に婚約破棄をしてもらうぞ!!」





「この騒ぎは何事だ」



 周り貴族たちと、その騒ぎの当事者である彼らはその声に振り向いた。




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