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二つの魂  作者: kuu
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帝国2

 護衛の女騎士やメイドは居ない。

 孝介だけで来るように言われていたからだ。

 孝介はいつもと違う服装で女帝の城に裏門から入った。

 男である孝介は正門から入れなかった。


 孝介は女帝と対面した。

 孝介の目の前まで迫り女帝は仁王立ちで。

「こうすけ殿。まずは予と決闘をしてもらう」

 城内はざわついた。

 女帝は家臣を睨み大声を上げた。

「静まれい!」

 ざわつきが止んだ。

 女帝は口を開く。

「予が決闘で勝てばこうすけ殿は帰るがよい。こうすけ殿が勝てば予の娘と結婚してもらう」

 孝介は疑問が浮かぶ。

 勝ったら結婚? 負けたらどうなる?

 女帝はにやりと笑い。

「そうそう、こうすけ殿が期待外れだった場合リアル王国と戦争になるかもしれんな」

 一点の曇りない目を見て孝介は女帝が嘘を言ってないと確信した。

 つまり本気だという事だ。

 

 戦争?

 ふざけるなと言いたい気持ちを孝介は抑える。

 孝介は思う。

{断れば戦争。負けても戦争。勝つしかない}

 

 女帝は鋭い眼光で。

「決闘受けるな」

 孝介は力強く言った。

「受けます」

 決闘は今日の午後四時になった。 

 

 中庭で孝介は花を見ていた。

「あのー。お花好きなの?」

 孝介は振り向いた。

 声を掛けたのは超絶美少女だった。

「どちらでもない」

 孝介は答えた後、疑問が浮かび聞いた。

「男がここにいるのおかしいと思わないの?」

 超絶美少女は笑顔で。

「お母様から聞いてるの」

 孝介は思った。

{誰がお母様なんだろう?}

 風が抜け超絶美少女の青い髪がふわっとゆれた。

 超絶美少女は名乗った。

「そういえば言ってなかったね。あたしの名前はサファイアなの」

 孝介も名乗る。

「僕は孝介」

「知ってるよ」

 サファイアは聖剣に視線を向け。

「剣舞見たいの」

 できないと答えるとサファイアは悲しそうな表情になった。

 それを見た孝介は。

「剣技なら」

 サファイアは笑顔になった。

 

 孝介は動き易い場所に移動して。

 孝介は鞘から聖剣を抜き剣技を披露する。

 離れた場所から見たサファイアは見惚れた。

 

 披露が終わるとサファイアは笑顔で手を振り。

「またね、こうすけ」

 孝介に背を向け歩き出した。

 

 午後四時。

 女帝の娘と家臣達が見守る中、決闘が始まった。

 剣を持ちお互いに構えジリジリと間合いを詰める。

 女帝は剣を振った。

 孝介は聖剣で防ぎ。

 キンっと金属音が鳴る。

 女帝は剣の速度を上げた。

 見事に孝介は対応してゆく。

「やるではないか」

 と言うと女帝は速度を更に上げた。

 孝介は全て受け流す。

 女帝は笑っていた。

 孝介が仕掛ける。

 普通ではない速度だった。

 女帝は簡単にさばき声を出す。

「本気を出さぬか」


 孝介は一太刀をくり出した。



 女帝は負けた。

 孝介が本気を出したかどうか女帝には分からない。

 負けはしたが悔しさは無かった。

 女帝は倒れたまま笑っていた。

 孝介が想像以上に強く嬉しく思った。


 決闘後。

 女帝は立ち上がり娘を呼んだ。

 孝介は少し離れた場所から娘を見た。

 何所か見覚えがあると思ったらサファイアだった。

 驚きは少ない。

 そんな予感はあった。

 女帝とサファイアは孝介に近づき。

「娘のサファイアじゃ」

 女帝に紹介されサファイアはにっこりと笑う。

 女帝は口を開き。

「こうすけ殿。予は決闘に負けた。娘を頼む」

 孝介は返事ができなかった。

「では行こうか。サファイア」

 二人は去った。


 客室間で孝介は待っていた。

 空間から魔王ディア、エレナ、アリシナが出て来た。

「こうすけ、どうなった?」

 アリシナに聞かれ孝介は魔王ディア達に決闘の事などを教えた。

 ・・・

「こうすけさん」

 エレナは笑顔だ。

 ただ目が怖かった。

「勝ったんですよね?」

 孝介は頷く。

 エレナは声を荒げ。

「結婚するんですか?」

 ・・・

 孝介は答えられない。

 エレナは顔を真っ赤にして。

「どうしてこうすけさんはちょっと目を離しているすきに…」

「こうすけさん。床に座りなさい」

 孝介はエレナに言われた通り床に座る。

 エレナの怒りが収まるまで孝介はじっと耐えるのだった。


 

 

 

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