表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二つの魂  作者: kuu
3/31

焼き鳥とパフェ

 なんでも屋を開業したその日の夜。

 孝介は昼間の食事の事を思い出していた。

 和やかな時間は久しぶりだった。

 できるだけ長く続いてほしいと思いと、

 続かないという思いが交錯した。

 孝介はようやく本題の目的である元の世界へ帰る為と、

 アキト、カイトを瀕死に追いやった奴の

 情報収集を本格的に開始した訳だが、

 仲間たちと過ごしているうちに

 孝介はこの世界が楽しいと思える時が増え、

 迷いが生じ始めた。

 孝介は元の世界へ帰る手懸かりがないか遺跡探索したかった。

 ループする前 孝介は東の大陸にある入れる遺跡は

 あらかた入った。

 その為、国の管理下にある遺跡に入りたかった。

 入るには認可が必要になる。

 認可が下りるには国からの信頼か繋がりが必要。

 信頼も繋がりもない孝介では認可は下りない。

 ではどうするか考えた結果、

 なんでも屋で依頼を受け遺跡に入れば良いと結論に至った。

 

 翌日。

 孝介はぶらぶらと歩いていた。

{僕は本当に元の世界へ帰りたいのだろうか}

 と孝介が思っていると何所からともなく香ばしい匂いが漂ってきた。

 匂いを辿たどると肉を吊るして焼いていた。

 モンスター肉なのは確かだが

 孝介には何のモンスター肉か判らない。

 この世界に牛や豚はいなかった。

 鳥肉はあるが鶏ではない。

 隣の店では甘い垂れを浸けて鳥肉を焼いていた。

(こうすけ。私 焼き鳥食べたいのですが)

 ほぼ精神体なのにどうやって食べるの?

 とは孝介はカイトに聞かない。

(僕がカイトの代わりに食べろという事だよね)

 カイトはにこにこして言う。

(はい)

 良い笑顔だと孝介は思う。

(買うよ)

 と呟くと孝介は店員に向けて言う。

「すみません。これ一本下さい」

「一〇〇ギニーになります」

 孝介は店員に一〇〇ギニーを渡した。

 

 孝介は広場のベンチに座り焼き鳥を食べる。

 カリっとした皮の感触、身はもちっとして歯ごたえがある。

 噛めば噛むほど旨みが脳に伝わる。

 それに加えタレも合っていた。

(うまい)

 と孝介が思う事でカイトやアキトにもより一層

 焼き鳥の美味しさが伝わった。

 孝介が焼き鳥を食べ終りカイトを見ると。

(はー)

 とため息を吐いていた。

 カイトは満足していなかった。

 カイトがガッカリしている所に。

「ご主人様」

 と声が聞こえた。

 孝介が顔を上げると

 ルイは頭を下げ近づいてきた。

 孝介は未だに「ご主人様」と呼ばれる事に慣れず恥ずかしかった。

 孝介は照れ隠して言う。

「こんな所で会うとは思わなかったよ」

 ルイはにこやかに言った。

「私もです。ご主人様 ご主人様は何故ここに?」

「ここで焼き鳥を食べていたんだよ。ルイは」

「私は晩御飯の買い物に」

「そうか」

 と言うと孝介は立ち上がり焼き鳥の串をゴミ箱に捨てた。

 孝介はルイが居る方に振り向き。

「夕飯 焼き鳥が良いかな」

 ルイは聞き返す。

「焼き鳥ですか?」

「うん。ここで食べていたらまた食べたくなった」

「かしこまりました」

「じゃ。僕行くね」

 ルイは頭を下げた。

 孝介は広場から離れた。

 孝介がカイトを見ると嬉しそうだった。


 アキトが孝介に声を掛けた。

(おい、俺も食べたい物があるのだが)

(分かった。明日で良い)

(良い)

 アキトにしては珍しく口元が緩んでいた。

 

 翌日。

 昨日とは違い孝介とすれ違う人は女性が多かった。

 お菓子を販売している店が多い。

「こうー」

 と聞こえ振り向くとミシェルが手を振って呼んでいた。

 ミシェルの他にアリシナとクロスが居た。

 ミシェル達と同じ席に孝介は座った。

「こうすけも甘いもの食べに?」

 アリシナに聞かれ孝介は答えた。

「うん。そうだよ」

「失礼致します」

 と言いウエイトレスが孝介の目の前にお冷を静かに置いた。

「ご注文が決まりましたらお呼び下さい」

 ウエイトレスは去った。

「皆はもう注文したの?」

 孝介の問いにアリシナが答えた。

「もう注文したわ」

「そっか」

 と言った孝介はメニューを見た。

(アキトどれが良い?)

 アキトは孝介に聞かれ答えた。

(パフェが良い)

「すみません」

 と孝介が言うとウエイトレスが近づき

「ご注文を伺います」

 孝介はメニューを指差して言った。

「このパフェ一つお願いします」

「畏まりました。他にご注文御座いませんか?」

「ありません」

 と孝介が言うとウエイトレスは去った。

 

 孝介は水を飲む。

 ミシェル達が注文した品をウエイトレスが運んで来た。

「お待たせしました。ご注文の品は

プリン、チーズケーキ、スライムゼリーで間違い御座いませんか?」

 ウエイトレスの言葉聞いて孝介は思わず

 水を吹き出しそうになったが飲み込む。

 孝介はむせた

「げほっげほ」

「こうすけ、大丈夫?」

 と心配そうに声を掛けたのはアリシナだった。

「大丈夫」

 ウエイトレスが去るのを見て孝介は聞いた。

「スライムゼリーって本当にスライム入っているの」

「本当にスライム入っていますわ。食用ですけど」

 と答えたのはミシェルだった。

 スライムゼリーもプリンも ぷるんと揺れていた。

 ミシェルは美味しそうにスライムゼリーをスプーンで食べた。

「こうすけ様。先に食べますね」

「どうぞ」

 と孝介が言うとクロスはプリンを食べ始めた。

 孝介はチーズケーキを見た。

 美味しそうだった。

 孝介は思わず。

 

 じゅる 

 

 唾が出た。

 アリシナはニヤニヤして。

「こうすけ。食べたい?」

「食べたい」

 と孝介が言うとアリシナはチーズケーキを一口サイズに切り、

 フォークで孝介の口元まで運ぶ。

「私が食べさせてあげる。あーん」

 正直孝介は恥かしかったが口を開けた。

 パク。

 孝介がチーズケーキを噛むと、

 チーズの香りと甘みが口にひろがった。

「うまい」

 と孝介が言うとアリシナは微笑んだ。

 

「うらやましいですわ」

 と言ったのはミシェルだった。

「こう。私のスライムゼリーも食べて下さい}

 ミシェルは身を乗り出して。

「あーん」

 正直、孝介はスライムゼリー食べたいと

 思わなかったが口を開けた。

 パク。

 スライムゼリーが口に入る。

 何とも言えない癖になる味だった。

 噛めば噛むほど歯にネバーとくっつく。

 孝介は水を飲んだ。

 ゴクゴク。

「美味しいよ」

 と孝介は言った。

 ミシェルは笑顔で言った。

「良かったですわ」

 クロスは言う。

「あの宜しければこうすけ様プリンも食べて下さい」

 クロスは孝介を見つめて。

 孝介は一瞬ドキッとしたが元に戻った。

「あーん」

 孝介は口を開けた。

 パク。

 プリンはこっちの世界のプリンの方が元の世界より濃厚だった。

「美味しい」

 と孝介が言うとクロスは嬉しそうだった。

 

 ウエイトレスは言った。

「お待たせしました。ご注文のパフェをお持ちしました」

 パフェを孝介の目の前に置いた。

「ご注文の品は以上で宜しいでしょうか?」

「はい」

 と孝介はウエイトレスに向けて言った。

 ウエイトレスは去った。

 孝介はスプーンを使いアイスと生クリームを食べた

 アイスは舌の上で溶ける。

(甘くておいしい)

 孝介は自然と笑顔になった。

 孝介は視線を感じた。

 視線はアリシナだった。

 孝介はアリシナに声を掛けた。

「アリシナ。パフェ食べる?」

「頂くわ」

「あーん」

 どきどき。

 アリシナは口を開ける。

 アイスがアリシナの口に入ると、

 アリシナは美味しそうに食べていた。

 

 孝介は次に果物を食べた。

 口内に香りと果汁が広がった。

(果物もおいしい)

 ミシェルはじーと孝介を見た。

 視線に孝介は気付き。

「ミシェル。食べる?」

 ミシェルの瞳はきらきらしていた。

「あーん」

 ミシェルが口を開けると

 孝介が果物を食べさせた。

 ミシェルは幸せそうだった。


 孝介はパフェを再び食べ始めた。

 焼き菓子を食べた。

 サクサク

 サクサク

 として美味しかった。

(またか)

 と思い視線の方を見るとクロスだった。

「クロス。食べる?」

「頂きます」

「美味しいです」

 とクロスがにこにこして言った。


 孝介はパフェを食べ終わった。

 アキトを見ると満足していた。

「ごちそう様」

 アリシナが孝介に聞いた。

「こうすけ。これからどうするの?」

「帰るよ」

 と孝介が言うとミシェルが。

「こう。皆でまた来ません?」

「良いよ」

 と孝介が答えると三人の表情が明るくなった。



 夜になり孝介は寝るのであった。


 

 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ