救出5
暗闇の中、男二人船の側で孝介達を待っていた。
気配を完全に消した者は男二人に近づき、背後から心臓を刃物で刺した。
刃物を抜き刃先から血が垂れた。
男二人はそのままうつ伏せに倒れた。
一時間後。
毒から回復した孝介はアリシナ達と共に獣人の子供達を連れてバンデーズに指定された場所に来た。
「血の臭いがしますわ」
ミシェルが言い孝介達は警戒を強める。
「これは驚きです」
と言いながら不気味な仮面を付けた男が孝介達に近づいて来る。
不気味な仮面を付けた男は両手を上げ。
「私はあなた方と戦う気はありません」
不気味な仮面を付けた男は続けて言った。
「子供達を渡していただければ」
ゆっくり両手を下げた。
眼光が鋭くなる。
ゾク。
孝介は今までにないプレシャーを感じた。
返答によっては戦闘が始まるのは確実だった。
子供達を見ると恐怖で震えていた。
孝介は正面を向き不気味な仮面を付けた男を睨む。
「子供達を渡すことはできない」
孝介は不気味な仮面を付けた男がニタッと笑った様に見えた。
突如、不気味な仮面を付けた男は消えた孝介達の前から。
・・・
孝介は殺気を感じ聖剣を下から斜め上へ振った。
ビュッ。
不気味な仮面を付けた男が姿を現した。
頬に傷を負っていた。
「やりますね」
不気味な仮面を付けた男は余裕があった。
「では私の真の姿を見せるとしよう」
空気がガラッと変わった。
孝介は直観した危険だと。
「ディア! 子供達を魔界へ」
孝介は叫んでいた。
魔王ディアは頷くと子供達を魔界に連れて行った。
ブク。
ブクブク。
と音が聞こえる度に不気味な仮面を付けた男の筋肉が膨れ上がってゆく。
何故? 今、攻撃しないの? と声が聞こえてきそうな場面ではあったが。
孝介はじっと待った。
ミシェルとアリシナは不気味で動けなかっただけだが。
不気味な仮面を付けた男は二回り程、大きくなったところで筋肉の膨らみが止んだ。
不気味な仮面を付けた男は独り言の様に言った。
「ここまでが第一段階。次が最終段階楽しみに待っていてください」
全身に力を入れ始めた。
不気味な仮面を付けた男は筋肉が収縮され小さくなっていく。
子供位の大きさになり、ゴブリンの様な姿になった。
ゴブリンの様な姿になっても相変わらず仮面を付けたままだった。
不気味な仮面を付けた男は楽しそうに話し出す。
「どうですか、この姿。パワーと素早さ両方を兼ね備えた姿。美しいと思いません?」
孝介達は美しいとは思えなかったが黙っていると。
不気味な仮面を付けた男はため息を吐き。
「はあ、反応なしですか。残念です。子供達も何所か行ってしまいましたし。それでは貴方達を殺す事にします」
孝介達は構えた。
タタっと地面を蹴り不気味な仮面を付けた男は高速移動した。
ピューっと風を切る音と共に不気味な仮面を付けた男は孝介を襲う。
孝介は聖剣で攻撃をさばいた。
アリシナは孝介に強化魔法を使う。
すると孝介の動きが良くなり相手をおし出した。
それを見たミシェルは魔法の演唱を始めた。
ミシェルは黄金色に輝き始め叫んだ。
「こう! 離れて」
孝介は力を入れ相手を押し強引に距離を取った。
ミシェルは魔法を発動した。
不気味な仮面を付けた男は黄金色に包まれ。
「なんだこれは。うっとうしい」
触れようとしたが触れる事が出来なかった。
無視して戦いを再開しようと思ったその時。
痛みが走った。
自分の体を見ると、あちらこちらに傷ができ緑色の血が出ていた。
不気味な仮面を付けた男はミシェルを見た。
力の正体が何か解った。
なぜか解った。
理屈などなく。
不気味な仮面を付けた男は奮えた。
(ああ、この力が。あの方が欲する力の一つ。素晴らしい)
不気味な仮面を付けた男は消滅した。
ミシェルは二人に言った。
「こう、アリシナ。帰りましょう」
孝介とアリシナは頷いた。
次回番外編




