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二つの魂  作者: kuu
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救出3

 南の大陸で孝介達は探索を再開していた。

 孝介は気配を感じた。

 気配を辿って行くと。

 獣人の子供を見つけ後を付ける事に。

 

 獣人の子供はキョロキョロと見渡した。

(居ないな)

 地面の砂を手で掃った。

 すると鉄板が現れた。

 獣人の子供は取っ手を掴み鉄板を持ち上げずらした。

 地下へ下りて行った。

 

 孝介は一度アリシナ達と合流した後、地下へ。

 地下はカビ臭かった。

 孝介達は無言で歩き続き広い空間に出た。

 中央辺りで孝介達は囲まれた。

 壁と同化していた扉から武器を持った獣人の子供達がゾロゾロと出て来た。

 武器を持った獣人の子供は孝介達を睨み。

「武器を捨て手を上げろ!」

 孝介達は言われた通り武器を地面に置き、手を上げた。

 

 孝介は手足をロープで縛られアリシナ達と同じ牢屋に入れられた。

 入れられた理由は魔王の手下では? という疑いだった。

孝介は横向きに寝かされ、動けない状態だった。

 正面を向くと。

 チラチラとアリシナの太ももが目に入り。

 上を向けばミシェルの素足が見え。

 目のやり場に困った。

{あっ! そうだ}

 思い付き孝介は目をつぶった。

「これからどうするの?」

 とアリシナの声が聞こえ孝介は答えた。

「様子を見る。今、何を言っても信じてもらえそうにないし」

「そうね」


 揺れた。

 揺れが収まると。

「うあああああ。」

「こっちくるな」

 と叫び声が聞こえてきた。

 ギイイと鉄の扉の音が聞こえ。

「お前達が呼んだんだろ?」

 と男の子の声が聞こえ孝介は否定した。

「違う」

「嘘だー」

 男の子は怒鳴り、槍の刃先を孝介に向けた。

 孝介は平然とした態度で。

「今、化け物に襲われて大変な時じゃないのか?」

 男の子はイラッとして声を荒げ。

「何でお前はそんなに平然としているんだ! 化け物の仲間だから平然としてられるんだー」

 孝介は物静かな声で。

「違う。強いからだ」

 アリシナ達は心の中で頷いた。

 ただ、孝介の強さを知らない男の子は孝介の言葉を信じていなかった。

「ならお前独りで倒して来い」

「解った」

 男の子はアリシナ達に視線を送り。

「言っておくけど、もしお前が逃げたらお姉ちゃん達を殺すからな」

 男の子は孝介の縄を槍で斬った。

 孝介は立ち上がり。

「アリシナ、ミシェル、ディア。行って来る」

 男の子は孝介に聞いた。

「武器は?」

 首を横に振り孝介は悲鳴が聞こえる方へ走り出した。


 男の子は孝介の後を追いヒッソリと物陰から見た。

 孝介は数体の巨大モグラと戦闘中だった。

 男の子は目を疑った。

 孝介が一方的に数体の巨大モグラ殴り倒していたからだ。

 男の子は孝介に近づき。

「すごい」

 孝介は殺気を感じ辺りを見た。

 蜂が男の子に襲い掛かろうとしていた。

 孝介はとっさに男の子をかばい、蜂の毒針が刺さった。

 痛みは我慢できる程度だった。

 孝介は痛みを無視して蜂を追い払った。

「ほっほっほ」

 振り向くと。

 老人が居た。

 どうやら巨大モグラが掘った穴を通って来たみたいだった。

 老人は倒れている巨大モグラを見て。

「巨大モグラをお主が倒したみたいじゃな。なさせない」

 クラッと揺れた。

 激痛が走り。

 孝介の顔色は明らかに悪くなった。

 男の子は孝介の顔色を見て。

「おい、お前大丈夫な…訳ないよな。俺にできる事ないか?」

「じゃあ、アリシナ達を呼んできて」

「わかった」

 男の子は走り出した。

 

 老人はニヤニヤ笑い。

「毒が効いておるのじゃろ。安心せい。直ぐに息の根を止めてやる」

 老人は全身に力を入れた。

「ぐおおおおお」

 皮膚がぱかっと割れ虫が出て来た。

 気持ち悪い光景だった。

 孝介は思わず目をそらした。

 その間もぱかぱかと割れ虫が次々に出て来た。

 気持ち悪さを通り越しておぞましく、なって行く。

 老人は原形をとどめていなかった。

 完全な化け物になった老人は。

「ガーガーガー」

 人間の言語を話せなくなっていた。

 

 孝介は高熱で大量に汗を掻き朦朧もうろうとしていた。

 そんな孝介に化け物となった老人と虫は襲い掛かる。

 孝介は魔法で薄い膜の様なものを張り、身を守る事しかできなかった。

 

 アリシナ達は武器を持って孝介の下へ駆けつけた。

 孝介が一方的にやられている姿を見て。

「エレナ! 孝介に防御結界お願い」

 アリシナはエレナに指示を出し。

「これでも、くらいなさい」

 化け物となった老人と虫の真下から炎が出現し直撃した。

「ガァーー」

 奇声を上げ、そのまま焼き炭になった。

 それを見た孝介はその場に倒れた。


 

 

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