メイドの一日
メイドであるモコ、クロス、ルイの朝は早い。
日が昇り始める頃には起床していた。
クロス、ルイは一時間程走り、護身術の稽古を一時間程やるのが朝の日課だ。
二人は担当になった人から護身術を教わる事になっていた。
担当になった人が居ない日は黙々と基礎をやる。
二人は汗だくになり風呂に入った。
風呂を沸かしたのはモコだった。
モコは起床後、自室を掃除し風呂を沸かし、一足先に浴室で汚れを落とす。
その後、アリシナが作っていた料理の手伝いをした。
風呂から上がりメイド服に着替えたクロスとルイが居間にやって来た。
モコの視界にクロスが入り。
ニコニコしながらクロスに近寄る。
「お姉ちゃん。今、料理出来たところだよ」
「分かった。食卓に運ぼうか」
モコは頷いた。
「うん」
朝食後、孝介達はなんでも屋の開業の準備をしていた。
と言っても、クロス達が商品を棚などに並べていたのでやる事は掃除位だった。
「本日、午後二時に開店します」
「開店しまーす」
と言って手書きのチラシを配っていたのはメイド服のクロスとモコだ。
少年がクロスからチラシを一枚受け取り、去った。
少年が去った後、チラシを受け取る人は少なかった。
二人の額に汗が滲む。
クロスはハンカチで自分の汗とモコの汗を拭った。
「ぐぅ~」
とモコのお腹が鳴り。
モコは恥かしそうにしていた。
クロスはモコに視線を向け。
「帰ろうか」
「うん」
クロスはモコと手を繋ぎ帰宅した。
孝介が二階に上がると。
エレナとルイは台所で料理を作っていた。
コトコトと煮込んでいた。
香りが居間や台所に充満していた。
香りから察するにカレーだと孝介は思った。
「カレー?」
「ええ、カレーですよ」
エレナに続いてルイが言った。
「ご主人様。もう少しで出来上がります。お待ちなってください」
孝介は好きなカレーがこの世界に存在していたのが有難かった。
午後二時なんでも屋は開業した。
人はまばらだ。
そんな中、少年が一人来店する。
「いらっしゃいませ」
と言ったのはクロスだ。
少年はクロスに声をかける。
「これ本当?」
と言って少年はチラシの裏をクロスに見せた。
チラシの裏は武道大会で優勝した孝介がモンスター退治、遺跡の探索など請け負いますと書かれていた。
「本当だよ。依頼?」
クロスが少年に聞くと少年は首を横に振った。
「何所に行ったら会える?」
「隣に居ますよ?」
少年はクロスの言う通り隣にいた人を見た。
「普通だね。もっと大きい人かと思った」
クロスは苦笑いした。
孝介は当たり前の反応だと思った。
この世界でも元の世界でも孝介自身ごく普通の身長。
加えて体格は痩せていた。
「用事すんだから良いや。じゃあね」
と言い少年は手を振って去った。
その後は何事もなく夜になった。
風呂にモコ、クロス、ルイが珍しく一緒に入っていた。
木材の浴槽にモコとルイが浸かっていた。
クロスは自分の胸を見てため息を吐いた。
「はぁ。もう少し大きくならないかなぁ」
ルイは浴槽からクロスを見る。
「何言ってるの。貴女の胸別に小さくないじゃない」
クロスは自分の胸さわり。
「そうかなぁ。こうすけ様の周りにいる方は大きいから」
ルイはエレナ、アリシナ、ミシェルの姿を思い浮かべた。
「確かにね」
自分の胸を見ながらルイは言った。
「私も、もう少し欲しいわね」
クロスは下を向いて。
「そうですね」
二人がしんみりしているとモコが立ち上がり。
「お姉ちゃん洗って」
クロスは立ち上がり、風呂イスにモコを座らせた。
すのこにクロスはひざをつけ。
「かけるよ」
とモコに一言声を掛けてからクロスは桶にお湯を汲み、お湯を掛けた。
クロスは慣れた手つきでモコの髪を洗い出した。
「かゆいところない?」
「ないよ」
クロスは髪を洗い終えると。
「後は洗える?」
モコはコクと頷いた。
クロスは体にお湯を掛けてから浴槽のお湯に浸かった。
モコ、クロス、ルイは明日に備えてベッドの上で横になり寝た。
次回「焼き鳥とパフェ」の予定です