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ウーカのお料理大作戦!

合ったから…


「・・・一体何が」


男は気絶した子供うーかを抱え、野営地を見渡し、呟いた。

上る黒煙、ひしゃげたテント。散らばる衣類に同じくバラバラになった薬草類。引っくり返った鍋からは何とも異様な臭気が立ち上っていた。

遠くにはびくついたロバがうろうろしながらこちらを伺っている。 ―――――――ロバは何を見たのだろうか。


遡る事一時間前。

ウーカは薬草摘みの手を止めて周りを注意深く窺った。

広い森にはウーカしかいなく、男の気配もない。

更に30分程待ったが男の気配はなかった。


「よし」


ウーカは小さく口にするとテントのある方へ走り出した。


(今日こそ、今日こそあたしがご飯を作るんだぁ!)


食いしん坊バンザイィ!なウーカであるが、自分で料理した事がない。

城では公爵令嬢がそんな!というウーカには理解不能な理由で、男の元では纏わりつくウーカを無言で退ける男を前に手も足も出ないでいた。

でもやってみたい。

いろんな食材が合わさってとっても美味しいご飯になる。ひとつの時の味と、たくさんの味が合わさると全然違う物になるってすっごく面白い。それにこんなにご飯が好きなのだ。たぶん、いいや、絶対自分には美味しいご飯が作れるに決まってる!


調理という行為はウーカの憧れにまで達していた。

さて、さしたる根拠もないまま野営地に到着したウーカは食材の入った袋を木の上から強奪・・いや拝借・・下ろすと清潔な布の上に広げた。


「うーん。なかなか寂しい集まりです」


ウーカがうむと勿体つけて腕組み、呟いた足元には思ったより少ない中身だった。


「ふっ・・限られた食べ物でおいしいごはんを作れるのも一人前の証しだよね!それに・・・あたしにはこれがある!」


秘密兵器さながらにウーカが取り出したそれはナイトビーンツ。マメ科の見た目はなんの変哲もない黒い、コロンとした豆なのだが。

この前男がそれをすり潰し、香草や塩などで味付けしたスープが絶品だったのだ。


「ンフフフー、オズヌ驚くぞー!」


ウーカは出来上がった料理を前に驚く男の顔を思い浮かべニヤニヤした。

しかしウーカは知らなかった。そのナイトビーンツはまだ熟し切っておらず、火にいれた瞬間。

大爆発と言っていい事態になると。










「あたしも行く!」


男…オズヌは無言で装備をする。

新しく拵えた長剣を背中に括り着けると、背後に居る長に黄黄金色の瞳をちらりと見た。

長はため息を付くと


「わかっておる。そぉーんなに睨まなくとええじゃろ」


「オズヌ!わたしも行くってば!」


ウーカがぎゅっとオズヌのマントの端を掴む。

振り払う事など簡単だが、彼女なら別だ。


「危ないのだ。俺がお前を守れるかも怪しい…」

「まもっ、守ってほしいけど、でもオズヌの側にいたい!」


いつでも自分の気持ちに正直なウーカに知らず口が緩まる。


(勝てないな)


馬具や装備を整え、ゆるりと振り替えると目に薄い膜を張ったウーカが見える。そっとその柔らかな頬に手を這わす。


「全く何でこんなに懐いたんだ?大人しく留守番してろ。」

「うっ~っう~!オズヌゥ」


オズヌは最後にわしゃわしゃとウーカの頭を撫でると青馬に股がり、淡々と行った。ウーカは後を追いかけたが途中で転んでしまい、村の男衆に回収された。


転んだ時、オズヌの肩が跳ねた…のは…まぁ、察して欲しい。


でも、どうなんだろうなぁ。

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