罪
――とうとうその日が来た。
コツ…コツ…コツ……
狭く、薄暗い廊下で二人分の足音が反響し響く。
コツ…コツ…
コツ…………
不意に足音が止んだ。
一瞬の間。
すると前を歩いていた男が振り返った。
『私はもう思い残す事はありません』
『次は大丈夫ですよ』
後に居た男に向かって彼は続けて言った。
そして彼は静かに笑った……
確かに笑った……
男に彼の言葉は聞こえたのだろうか?
無表情のまま、ただ彼の顔を見ているだけだった。
そして、ゆるやかに時が流れる。
五秒か一分か…
一時間かも知れない。
彼は男の顔から目を逸らし正面を向いた。
『じゃ〜行くよ』
彼はそう言うと階段を昇り始めた。
彼は階段をどういう心境で登っているのだろうか?
それは男にはわからない。
わかることは彼が階段を昇りきり、扉をくぐれば男は彼と会う事は二度と無いだろう。
いや、それは違う。
数分後には男だけではなく彼と会える人はいなくなるだろう。
彼は罪を償いに行くのだ。
とうとう彼は扉を開けた。最後に彼は男に振り向き何かを言ったように見えたが男には彼が何を言ってるのか伝わらなかった。
彼は扉の向こう側へと進む。
そして扉は閉じられた。
もうそこには彼は居ない
彼の姿が見えなくなると、先ほどまで無表情だった男が涙目になってきた。
そして
『バカヤロウッッ……!!』
男は拳を固く握りしめ、小さく押し殺す様にだが、ハッキリと言った。
男の拳の中には幼き頃の二人が笑顔で肩を抱いている写真があった……
《あとがきめいたもの》
え〜っと、不意に思いついたので思った通りに書いてみました。そのためにほとんど妄想で書いているので情景が現実と違っていても何も言わないでくれる方がありがたいですorz