表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/8

→7

見返すと痛い…。

「…結婚。」


黙っていた篠原が、言いにくそうに口を開いた。


「…は、無理か。」


そうだね。


「僕、まだ15だから。」


そこか?

無理なのは。



「じゃあ、恋人だ。恋人になって、先生。」


再度、俺を見上げながら言う。

今度は、可愛らしく微笑みながら。


だがそれは、本末転倒では無いかね?


そこは、浅はかな中学生。

先生が恋人なら、テストの点数でも有利になるとでも思ったのか。


『篠原。先生、悪かったとは思っているけど…』


恋人にはなれない。


…と、口にしようとしたんだ。

良い年こいた大人として。


だけど、不意に抱きついてきた篠原に遮られる。


「ダメだって言うんなら、皆に、先生が僕にキスをしたって、言います。」


い…犬とか、猫にも、するのに。



『皆、って?』


「母にも言います。」



篠原母。

あ、あの、超人無敵のPTA会長か。



『…。』


バレたら、大変だ。

色んな意味で。


最悪な未来を想像して固まる。俺。



固まった唇に、柔らかいモノが触れる。


「恋人同士になったら、し放題ですよ?」


にこ。


胸元からのキスと、天使の微笑み。



いかん。堪えろ。

音図実重。

理性を総動員するんだ。

この子は、教え子。

中学生なんだ。



「ね?先生?」



『うん。』


だらしなく、丸め込まれてしまった。

俺の理性、全滅。




幼く、小さくても『獅子』は『獅子』。

小物な俺なんか、相手にもならない。



時計を見ると、7時を回っている。

冬が近づいている今日この頃、日が落ちるのも早く、外はもう真っ暗だ。


『篠原、もう遅いから送ってくよ。』


篠原の肩を両手で挟んで、俺から引き剥がす。


『先生、準備してくるから、篠原も帰り支度しなさい。』


「はい。先生。」


『数学は明日、教えてあげるから。』


あれ?

明日じゃダメなんだっけか…?

ま、いいか。


帰る準備に、教室を後にする。


『準備が終わったら、校門の所で待ってなさい。』

と、最後に伝えた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ