表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/8

→5

教え子の小さい机に肘掛けをしつつ、起きない篠原を半ば少し諦めた視線で見ながら、思う。


こんなに、まじまじと一人の生徒の顔を観察した事は無いが。


【篠原獅子】は、綺麗な顔をしている。

と、思った。



サッカー部に所属していたせいでか、少し日に焼けた健康的な肌と、栗色のサラサラな髪の毛。


年齢のせいか、女の子にも見える。

が、制服は男子生徒用だ。


男の子なのに、長い睫毛。

其れに縁取られた、パッチリとした、やや吊りぎみの目。



猫目。

そんな印象。



【獅子】だ、もんな。篠原は。


それに比べて、俺。

音頭実重さねしげ


…普通だ。



否、三十路を過ぎた、おっさんに洒落た名前を期待するのも可笑しいか…。うん。



こんな俺にも、篠原のような時期が有ったのだろうか。

よく、名前の事で『ネズミちゃん』と、からかわれてはいたのは、思いだせるけど。



う〜ん…。


少なくとも、こんな整った可愛らしい顔はしてなかった。

残念ながら。



本当に、篠原の顔の作りは可愛らしい。

煩くない寝顔は特に。


子供特有のスベスベとして、柔らかそうな肌。

プラス、其れに綺麗なオレンジ色が注がれている。



自分が持ち得ない物に、急に、触れてみたいと言う衝動にかられた。



オレンジ色の唇に触れる。

…、よりにもよって、己の唇で。



予想通り、柔らかい。


皮膚が薄い分、その感触は特に感じられる。


口づけてから、余韻にでも浸ろうかと篠原の顔を見た、刹那。




ぱち。




機械にスイッチでも入れたかのような、目覚め方。

まだ、顔が近い。離れきってない距離。


当然、目が合う。


「ちゅうした…。」



小さい声だが、はっきり聞こえた。

完全に覚醒したのか、寝起きの声ではない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ