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開けると同時に、教室の窓から、眩しいオレンジ色の太陽の光が飛び込んで来た。
…。
暫く、目が慣れるのを待って教室内を見回す。
前から2列目の真ん中の席。
明るい西日の中、まだ篠原は残っていた。
予想外。
もう、帰ってしまったと思っていたのに。
『篠原、先生、遅れて悪いな〜。』
ワザと明るい声で、席に近づく。
近づいてみれば、篠原は机に突っ伏して寝ているようだ。
道理で、責める言葉が無い訳だ。
何時もの篠原なら、どれだけやかましくまくし立てられる事やら。
『し〜の〜は〜ら〜、先生、来たぞ〜。起きろ〜。』
揺すってみるが、反応が無い。
勉強疲れか…。
夜、ちゃんと眠っているのか?
深夜まで勉強をして、授業中に居眠りをしてしまう生徒も多少なり、居る。
先生の身としては、ちゃんと休める時には休んで欲しいのだが。
『ふ〜。』
起きない篠原に、溜め息をついて、隣の席に座る。
『し〜の〜は〜ら〜、れ〜お〜ん、く〜ん。お〜き〜て〜。』
このまま、起きなければ数学は基、学校に泊まる事にな〜る〜よ〜。
隣からの攻撃にも、びくともしないか。
う〜ん、手ごわい。
「…ん…。」
呼び掛けのかいあって、起きるか?
「んが…。」
…だめか…。
がっくし。
オレンジ色の夕日が、篠原の髪と頬を照らす。






