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第6話



 ”私”は、光剣を振り抜いた姿勢で止まっていた。


 なぜか攻撃を仕掛けてきたから仕方なく、なのだが……それでも、父と兄が乗っている機体を撃ち抜き斬り裂くのは、なんとも気分が悪い。というか間違いなく後で怒られる。


 ……それで、これは一体どういうことなのだろうか? 恐ろしく体が軽くて想像した通りに動くし、なんなら相手の機体がどんな動きをするのかが手に取るようにわかった。


 実際にできるとは思えない動きや反応でも、それを補助するかのように”この身体”はスラスターを吹かし、関節を駆動させ実現させてしまった。


 それはともかくとして……この状況は、どう収拾をつけたらいいのだろうか?


 1つ方法は浮かんだ。浮かびはしたが……できればやりたくない。やりたくはないが……仕方がない。


 ”私”を睨むように立ち構える”ライトブリンガー”へと向き直る。

 どうやら光剣は一振りしか持ち合わせていないようで、素手のままだ。


 そんな”ライトブリンガー”めがけて、鋭く1歩を踏み切る。

 それに反応した”ライトブリンガー”は、重心を落として前傾姿勢をとり、ここで食い止めんと備える。


 ……ごめん、ライお兄様。


 申し訳なさを胸に、走る勢いをそのまま、光剣を振り抜く。


 ……自身の頸目掛けて。


 するりと通りぬける熱い感触、内臓が持ち上げられるふわりとした浮遊感。何かに衝突して揺れる視界。


 それらを感じながら、私の意識は暗転した。



◆◇◆◇◆◇



 目が覚めると、そこは自室のベッドの上だった。

 どうやらあのあと、私は気絶していたらしい。さもありなんというべきか。


「ぁ、リファ! 体は、変なところはない、か……っ!?」


「あ、ライお兄様」


 むくりと体を起こすと、父に兄、母に祖父、ララニア婦人に侍女たちが揃っており……私を見て、黙り込んでいた。


「んーっと……ご迷惑をおかけしました」


 散々暴れた謝罪の意を込めて軽く頭を下げるも、周囲の人たちはなぜか黙ったままだ。

 これは……本格的に地雷を踏み抜いたか……?

 だんだんと不安になってきて、おずおずと体を起こす。


「リファ……その、視界に変化は、あるか?」


「へ、視界?」


 父から、予想もしていなかった言葉が飛び出る。

 視界に変化? そんなものがあるわけ……ん?


「そういえば、ちょっと糸みたいなのが……あ、マナの流れが見えます」


 父を含めた全員にうっすらと、虹色に光る細い糸のようなものが絡みついているように見える。が、それがなんとなく、体を巡るマナの流れだと感じた。今まではこんなものは一切見えなかったが……先の妙な現象のためだろうか。


「マナの流れ……そうか、マナの色か」


 一体なんの話だ。

 怒声やゲンコツが飛んでこないことも相まって、状況が全く飲み込めない。


 ふと、侍女の一人が手鏡を手渡してきた。

 なぜ手鏡なのか。そんなにひどい髪型にでもなっているのだろうか? 体感ではそんなに寝てない気がするし、そこまでひどい寝癖がついてるとも思えない。


 不思議に思いながら、手鏡を覗き込む。


 ……あぁ、そういうことか。それでみんな絶句していたのか。いやしかし、これは一体──


「──なんじゃこりゃああああ!?!?」


 私の左目が、父の濃紺から、マナと同じ虹色に変化していた。



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