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5. vsニードル・スネーク

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E『グレー・ラット』

【女王を中心とした群れで地下に巣を作る小型魔獣。

体内に多様な病魔を保有し外敵への防御とする。

人間社会では忌み嫌われており、過去にはグレー・ラットが疫病を媒介したことで衰退、滅亡した大都市も少なくない。】


E+『ニードル・スネーク』

【ガラン王国西部の森に生息する低級魔獣。

皮下に骨の棘を数本隠し持ち、危険を感じると敵に向かって棘を噴射する。

病耐性が高く、グレー・ラットを好んで捕食するため、ペットにされることも多い。

進化の素質を秘めた種でもある。】

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名前:--

種族:ニードル・スネークLv13/15

状態:通常(幼体)

HP:15/39  MP:18/29

攻撃力:14  敏捷:15  防護:4

魔力:8  知力:11

特性

『肉魂還元』『魔獣の牙』『魔獣の鱗』『魔獣の骨棘』『病耐性Lv17/20』『執念』

特技

『察知Lv4/20』

魔法

スキル

『噛みつきLv7/20』『組みつきLv10/20』『棘噴射Lv6/20』『ジャンプLv8/20』

称号

『E+ランク魔獣』『幼体』『鼠の天敵』『ジャイアントキリングLv3/20』

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『幼体』

【未成熟個体の中でも特に幼年段階にある。

この称号を持つ個体は取得経験値が1.5倍になり、摂食による経験値取得も大幅に上昇する。】


『ジャイアントキリング』

【自分よりも強い敵を、誰の助けも借りずに討ち取った者。

知力に補正を得る。】

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 ニードル・スネーク、E+なのに随分弱いのは幼体だからか。

 むしろ幼体なのにEのネズミをよく仕留められたもんだ。

 称号にジャイアントキリングもあるし、僕も油断しない方がいいな。

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『棘噴射』

【体内の棘を、筋肉を強く収縮させることで射出する技。

標的に狙いを定め、高速の矢のように放つ。】

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 棘の噴射には注意が必要だ。

 毒は無いにしても、目や首に当たれば致命傷になる。

 ポーションで目や臓器の機能損傷が治せるかはまだ分かっていないのだから、絶対くらうわけにはいかない。


 しかし幸運なことに、周囲には人差し指ほどの白い棘がいくつも落ちており、どうやら先ほどネズミとの戦闘で使われたようだ。

 エイムは良くないようで、どれも血が付着しておらず、ネズミにも突き刺さっていないように見える。

 もっとも、まだ撃ち残しがあるかもしれず、体のどこから飛んでくるのか分からないのが厄介だが。


 盾を胸の前に構え、ゆっくりと間合いを詰める。


 ニードル・スネークは僕に気付いたようで、巻きつけていたネズミの体をさらに強く締め付けながら大きく口を開けて威嚇してくる。

 赤黒い口の奥からは、うなり声のような呼吸を漏らしている。

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名前:--

種族:グレー・ラットLv4/10

状態:通常

HP:3/39  MP:34/38

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 僕の経験値が死にかけてる。僕のだぞッッ!

 早くこの蛇を殺してネズミも殺さないと経験値がもったいない。

 間抜けに締め上げられているネズミだって、ランクも強さもスライムより上だ。経験値も多いだろう。


 ネズミはもう抵抗できずに締められてるだけだけで、蛇の消耗もこれ以上は期待できない。

 様子見はせず、今ここで殺そう。


 蛇は巻きつけて締め上げているネズミの位置を変えず、器用に頭だけをゆっくりとこちらに突き出してくる。

 僕の腕ほどの太さしかないくせに、その大口は僕の頭を飲み込めそうなほど大きい。


 正直、かなり怖い。

 蛇は怪我をしているとはいえ、ステータスは僕より一回り上。

 もし体や顔を噛まれればひとたまりもないだろう。

 皮膚や肉の傷だけでは済まず、骨まで砕かれるかもしれない。


 ——瞬間、蛇が僕の頭めがけて勢いよく顔を突き出し、噛みつこうとしてきた。

 胸元に構えていた盾を反射的に持ち上げる。

 蛇の攻撃が盾にぶつかり、硬質な衝撃音が鳴る。

 その勢いを受け止めきれず、盾が僕の顔に叩きつけられた。


「い、痛い。」


《技能経験値が一定に達しました。『盾術Lv2』がLv3にレベルアップしました。》


 魔力を溜めていた足で、地を蹴る―—『ステップ』で後ろに後退する。

 その際にスラッシュを付与した剣を、盾の前あたりにめがけて振ったが、手ごたえはなかった。

 空ぶったようだ。


 蛇は頭を再度引っ込め、口からうなり声のような呼吸音を鳴らしている。


 ネズミを締めつけながらだから、動きも鈍いだろうと思っていたが、結構速い。

 このままネズミを仕留めた後、標的が僕に移ったらまずいんじゃないか。

 噛みつきだけでなく、今度は組みつきにも注意しないといけなくなる。

 逃げようにもあっちのほうが敏捷が高いし、特性の執念をみるに、深く追いかけてくる可能性もある。

 ......短期決戦をしかけるべきか。


 覚悟を決めて、盾を構え直し再び近づく。

 左手に持った盾は、さっきのように胸の中央ではなく、少し左上に寄せて構える。

 右手で剣をしっかりと握り、グリップがちょうど右わき腹のあたりにくるように持ち、剣先は蛇に向ける。


 僕の顔面に向かって噛みついてくるなら、その瞬間に剣を突き立てる。

 腹を狙ってきたなら、盾で防ぎ剣で斬る。

 腰から下を狙われた場合は、盾で地面に叩きつけ、顔を押さえつけてから首を切断する。

 

 ――蛇が僕の腰めがけて噛みついてきた。

 腰を思い切り引き、盾で蛇を殴りつける。そして、その勢いのまま、蛇の頭を地面と盾で挟み込む。


 蛇は強引に頭を引いて逃れようとするが、判断がわずかに遅い。

 僕はスラッシュで強化した剣を、その首に突き立てる。剣が固い骨を砕く感触が手に伝わる。

 蛇は全身を激しくばたつかせるが、それでもなおネズミを締めつけたまま、巻きつけた体を地面の上で必死にもがいている。

 

 バカが。

 ネズミを締めつけたままでは、いくら暴れても思うように力が発揮できないだろ。

 むしろネズミを解放して、その長い体で僕を攻撃すべきだった。

 蛇の頭を盾越しに踏みつけ、剣を逆手に持ち替えて首をねじ切るように貫通した剣をひねる。


 蛇の首はほとんど斬り落とされた状態になった。

 それでもまだ蛇は生きているが、その抵抗は格段に弱々しくなった。

 残り少し繋がっている蛇の肉を斬り落とすため、剣を振り上げる。


 ――その時、ネズミを巻き付けている蛇の体のどこかから、棘が僕に向かって飛び出した。

 反射的に剣を棘に向かって振り下ろすと、剣と棘がぶつかり、鈍い金属音が響く。

 棘は弾き飛ばされて地面に落ちた。


《技能経験値が一定に達しました。『剣術Lv3』がLv4にレベルアップしました。》


《ニードル・スネーク(幼体)を討伐しました。経験値+64。》

《人間Lv5にレベルアップしました!スキルポイントを57取得しました。を次のレベルアップまで残り12です。》


 盾で地面に押さえつけている蛇の頭は痙攣をしている。

 まともな生命機能を失ったようだ。

 レベルが一気に上がって超絶嬉しい気持ちを抑え、急いで蛇に巻き付かれているネズミに向かって剣を振り上げる。

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名前:--

種族:グレー・ラットLv4/10

状態:通常

HP:1/39  MP:34/38

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 蛇にきつく巻き付かれたネズミは、すでに全身の力が抜けていた。

 小さな四肢は弱々しく宙をかき、泡が滲む口からはかすかな呼吸音が漏れている。

 体をわずかに痙攣させるだけで、もはや自力で動く気配はない。


 よかった。ギリ生きてた。

 急いで、蛇の巻き付きから突き出している頭めがけて剣を振り下ろす。

 刃が、灰色の毛並みの頭部を鈍い手応えとともに切断した。


《グレー・ラットを討伐しました。経験値+44。》

《人間Lv7にレベルアップしました!スキルポイントを35取得しました。次のレベルアップまで残り38です。》


 断面からは粘度の高い赤黒い血がどろりと溢れ出す。

 かすかに震えていたネズミの体は、そのままぴくりとも動かなくなった。

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