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30. 進化後の従魔たち

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 赤く立ち上っていた炎はすでに消え、黒く崩れた炭と灰が地面に積もっている。ところどころに赤い芯が残っていうのが見え、風が触れるたびに小さく明滅するが、もはや火勢と呼べるものではない。

 煙も薄れ、地面すれすれを流れては消えていく。肉や油が焦げた臭いが、まだ辺りに残っていた。


 太陽は沈んではいないが、だいぶ傾いている。日光が橙色を帯び始めてきた。


「グゥ......」


 背後で、地面を踏みしめる重い足音が近づく。すると、ざらりとした分厚く広い舌が、地面に腰を下ろしている僕の頬を一度、横に舐めた。


「お疲れさん、魔獣が寄って来なかったのはお前のおかげかもな」


 僕のその声に、進化を終えた――ヴァガボンド・ウルフが低く喉を鳴らす。


 体高は僕の股に届くほどあり、顔の位置はさらに高い。高さだけなら超大型犬といったところだ。だが全身を覆う肉は分厚く、四肢は太い。爪は以前の四本ではなく、五本見える。

 首は少しだけ短めに見え、肩と尻のがっしりした肉付きなど、狼というより......本州のツキノワグマに近い体躯だ。


 毛色は以前より黒っぽいが、腹側へいくほどわずかに明るく、淡く青色になっている。毛は以前よりも密で、硬質な質感を帯びている。


 太い首に、鋭く切れ上がった目、琥珀色の虹彩、規則正しく並んだ白い牙など......以前とは比較にならないほどの威圧感を感じる。

 その分厚く発達した顎は、噛み締めれば僕の首の骨を砕く力があると、見ただけで分かる。


「お前、マジでデカくなったよな。ちょっと怖いぞ。マジで」

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名前:--

種族:ヴァガボンド・ウルフLv1/26

状態:衰弱の呪いLv1/20

HP:141/141  MP:151/151

攻撃力:42  敏捷:59  防護:21

魔力:33  知力:55

特性

『魔獣の毛皮』『魔獣の牙』『魔獣の爪』『肉魂還元』『病耐性Lv7/20』『呪い耐性Lv3/20』『不屈』『魔導の才能Lv4/20』

特技

『察知Lv16/20』『結界魔法Lv2/20』『力魔法Lv4/20』

魔法

『バリアLv2/20』『グラヴィティLv2/20』『フォースLv1/20』

スキル

『噛みつきLv16/20』『ダッシュLv13/20』『ステップLv10/20』『ジャンプLv6/20』『ひっかきLv4/20』『スラッシュLv5/20』『集中Lv4/20』『回復Lv5/20』『炎のブレスLv4/20』『咆哮Lv2/20』

称号

『D+ランク魔獣』『従魔』『孤独な狩人』

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 普通にめちゃクソ強い。ラッシュ・ボアとか主食にしてそう。

 ......こいつ、僕以外の人間を食料と同列に見て、道行く冒険者を食ったりしないよな?そんなことあったら、文明レベル的に僕が斬首刑されそうで怖いんだが。

 というか、今僕がやってること、グレー・ラット飼ってる奴らと大差ないのでは?あの女王個体だって、もしかしたら、僕が襲わなければ別に人を害することなくほそぼそと暮らしてたかもしれないし......もし、このヴァガボンド・ウルフを上級の冒険者が見つけて戦闘とかになったら、僕の責任は追及されるのか?

 やばい、思ったよりも魔獣飼うって色々責任出てくるな。ちょっと軽く考えてたぞ。

 ......『マナ・リンク』で人を食わないように教えることは当然として、あとでヘルガに相談するか。


 いやぁ、それにしてもマジでこいつ強くなったな。もしこいつと戦うことになったら、ヘルガと二人ががりじゃないと厳しいかもし得れない。

 あと、なんかこいつ力魔法使えてるんだけど、『ヴァガボンド・ウルフ』の説明にそんな記述無いのだが……まぁ、魔力はそんなには高くないから凶悪とまでは言えないか。

 いや、それでもグレー・ラットの女王より高いな。ランクのプラマイで格差ありすぎだろ。同じDランク帯に分類していいのかこれ。


 ――その時、ウルフの影から虹色の物体が僕の顔に飛びかかった。


 僕はそれが何か分かっているので、避けずにそのまま受け止める。

 左頬に柔らかい塊が密着する。水袋とは違いしっかりとした食感のあるそれ――マジカル・スライムが、顔に表面が平たく広がり、耳まで覆う。


「お前の方は随分可愛くなったな」


 ひんやりとしているが、不快な冷たさではなくむしろ心地良い。

 指で優しく押し返すと、内部からゆっくりと反発が返る。もちもちとした抵抗があり、力を抜くと形が戻る。


 鼻先に柔軟剤のような甘い匂いが届く。まさしくCMでよく流れていた、フローラルな香りってやつだ。

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名前:--

種族:マジカル・スライムLv1/23

状態:通常

HP:23/23 MP:167/167

攻撃力:6  敏捷:15  防護:9

魔力:50  知力:51

特性

『ジェルの肉体』『魔力感知Lv20/20』『毒無効』『病無効』『変異個体』『魔素還元』『魔導の才能Lv18/20』『六属性魔法適性』

特技

『体液操作Lv14/20』『二重詠唱Lv5/20」『魔法制御Lv16/20』『魔法規模拡大Lv11/20』『結界魔法Lv5/20』『水魔法Lv3/20』『土魔法Lv4/20』『炎魔法3/20』『氷魔法1/20』『風魔法Lv3/20』『雷魔法Lv6/20』『磁界魔法Lv1/20』『錬金魔法Lv1/20』『力魔法Lv3/20』

魔法

『バリアLv3/20』『シールドLv3/20』『エリアLv1/20』『ウォータ・ジェットLv2/20』『スティック・スワンプLv1/20』『サンド・クラウドLv4/20』『ロック・ウォールLv1/20』『ファイア・ボムLv3/20』『アイス・ウォール1/20』『ウィンド・カッターLv4/20』『ライトニングLv5/20』『インパルスLv5/20』『マグネットLv1/20』『ソフテンLv1/20』『アクセルLv3/20』『フォースLv1/20』

スキル

『膨張Lv17/20』『組みつきLv7/20』『受け流しLv5/20』『マナ・リンクLv13/20』『マナドレインLv12/20』

称号

『D-ランク魔獣』『従魔』『幻のスライム』

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 めっちゃ色んなのを取得しているが、失っているものもあるな。特性の『酸性』とか、スキルの『体液噴射』とか。

 今までは動く胃酸の塊みたいな姿形で、触ることなんてできなかったが、今はモチモチ感触で、それに人懐っこくもなってる気がする。やっぱ性格も進化で変わるんかね。

 

 そして、こいつも超強い。一応魔法型だったグレー・ラットの女王が泣くぞ。身体能力の方は相変わらずオワタ式なようだが。

 それと、磁界魔法について。『マジカル・スライム』の説明にあった複合魔法ってやつだろう。

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『磁界魔法』

【土魔法・雷魔法・力魔法を基盤として構成される複合魔法体系。

大地から抽出した鉱質成分に電位差を与え、発生させた磁場を力魔法で制御することで、金属を始めとした導体を超常的に操作する。】

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 確かに強そうに見えるが……これだけ?他にも複合魔法ないの?とか思うんだが。


〚べつに、かかさまに、おしえてもらうもん〛


 ――思考の中に言葉が突然現れる。

 ふと誰かの言葉を思い出すときに近い感覚だ。だが、耳で聞いて意味を理解するのとは明らかに違う。


 スライムの『マナ・リンク』か。Lv13だし、相手の意図を何となく感じ取る程度の僕のそれより大分高度だな。恐らく、『魔力感知Lv20』で底上げされてる。

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『魔力感知』

【周囲に存在する魔力の流れや濃度を知覚する能力。

高度なものでは、微細な魔素マナの属性まで識別できる】

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 っていうか、もしかして今後はこいつに思考読まれるのか?

 うわぁ、なんか嫌なんだけど。自慢ではないが、僕の心の中は決して綺麗なもんじゃないぞ。

 例えば僕の◯witterの裏垢なんて......この話はやめようか。僕の心を覗く存在が眼の前にいるわけだし。


 あと、ヘルガはお前の母様じゃないぞ。ただの女の主人のヘルガだ。それで、僕が男の主人のチアキ。いいな?


〚ととさま、いじわる、うそつき〛


 別に嘘ついてないが。それ冗談で言ってるのか?

 ヘルガにはその呼び名で呼ぶなよ、混乱させるからな。


〚もう、いいもん〛


 スライムが僕の頬から離れ、軽く跳ねてウルフの背中に乗る。


 ウルフが首を後ろに回し、鼻先でつつく。スライムは薄く広がってその鼻にまとわりつき、そのまま滑るように耳の付け根まで移動する。


 ウルフは振り落とそうと頭を振る。だがスライムは落ちず、耳の縁を伝い、今度は頬から首筋へと形を変えながら降りていった。

 前脚を上げて払い落とそうとすると、触れる直前でスライムは腹側へ移る。

 ウルフは鬱陶しそうにしているが、スライムは楽しそうにじゃれている。


 スライム、『魔導の才能Lv18』なんだから、もっと知能が高くてもいいと思うんだがな。

 ......こいつが僕よりも才能あるっていうのムカつくな。いや、まぁステータスがどこまで当てになるかって話はあるが。


「さて......」


 ヘルガの方に目を向けると、例のヨガの瞑想のときと同じ、背筋をまっすぐに伸ばした姿勢のまま、微動だにせず目を閉じていた。


 焼却作業も終わったことだし、そろそろ起こすか。

明日も更新しようと一応思っています(^^)

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