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10/15

10. 少女を救え!vsラッシュ・ボアー

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名前:--

種族:ラッシュ・ボアーLv14/22

状態:出血

HP:53/163  MP:9/44

攻撃力:32  敏捷:28  防護:30

魔力:14  知力:13

特性

『草魂還元』『魔獣の牙』『魔獣の毛皮』『頑強』『不屈』

特技

『察知Lv2/20』

魔法

スキル

『回復Lv13/20』『突進Lv7/20』『ダッシュLv9/20』

称号

『Dランク魔獣』

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名前:行島千秋

種族:人間Lv9  SP:10

状態:通常

HP:63/63  MP:19/75

攻撃力:21+8  敏捷:23-3  防護:9+5(盾13)

魔力:24  知力:26

特性

『ヘルプ』『スキルポイント』『取得経験値2倍』『技魂』『武術の才能Lv14/20』『魔導の才能Lv15/20』『力魔法適性』『闇魔法適性』

特技

『剣術Lv7/20』『盾術Lv6/20』『闇魔法Lv1/20』『調教術Lv10/20』

魔法

『ダークミストLv1/20』

スキル

『ステップLv5/20』『スラッシュLv5/20』『シールドガードLv5/20』『集中Lv5/20』『ストライクLv5/20』『ダッシュLv5/20』『受け流しLv1/20』『テイムLv7/20』『マナ・リンクLv2/20』

称号

『異世界人』『ミラクルボーン』『自由人』

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 正直、魔力知力はどうでもよくて、身体系のステータスが重要なのだが......僕が圧倒的に負けている。

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『不屈』

【状態異常や負傷、極度の疲労を負っていても、その命が尽きない限り、本来の力を発揮できる。】

-------

 特に、この特性。

 負傷による弱体化は期待できないし、HPが0になるまでこいつは倒れないだろう。

 本来、今の僕が戦って勝てるような相手じゃない。

 でも、今はかなり状況に恵まれている。


 まず、MPがほとんど残っていない。

 『回復』はほとんど死んでいると言っていいし、『突進』だってせいぜい2回程度しか使えないだろう。

 そして、この地形。

 生い茂る木々は、『突進』への対抗策として常に有効に機能する。


 この二つの好条件によって、ラッシュ・ボアーの強みであるタフネスと高速の突進の脅威は抑えられ、僕はアグレッシブな短期決戦を仕掛けることができる。


 もちろん、僕の火力不足は明らかに問題だ。

 攻撃力が剣を合わせても29、普通に攻撃しただけでは、防護30のこいつに攻撃を通せない。


 だが、方法はある。

 ゴブリン戦で分かったことだが、このステータスの数値は絶対的なものではない。

 実際、当時攻撃力26の僕が、防護11のゴブリンの胸にストライクを付与した剣で突いた時は、15ダメージしか与えられなかった。

 だが、防護9のゴブリンの首を、ほぼ素の剣で首を突いた時は、33ダメージも与えられた。

 つまり、この世界の戦闘では、比較的防護が薄く、重要な肉組織が詰まっている場所――急所に攻撃を効果的に当てることが重要だ。


 今回の場合、ジョンとか言う冒険者が岩砕きを4発も当ててくれたおかげで、ところどころ毛皮がはがれ、肉が露出している部分がある。

 そこにストライクの火力で突きを放てば、攻撃が弾かれることはないだろうし、当たりどころが良ければ、大量出血の状態異常も与えられる。


「ブゴ"ッ"......」


 イノシシ――ラッシュ・ボアーは、顔をこちらに向けたまま、静かに歩を進めてきた。

 前脚を一歩ずつ地面に置くたび、草がわずかに音を立てて潰される。

 大きく開いた鼻孔からは短く低い呼気が漏れ、白い蒸気が昇っている。


 加えて、もう一つ、急所を狙う以外にこいつに攻撃を通す手段がある。


 ――スキルポイントを8P消費して、闇魔法の『ダークミスト』をLv5まで上げる。


《条件を満たしました。『闇魔法Lv1』がLv3にレベルアップしました。》

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『ダークミスト』

【闇魔法の初級魔法の一種。

黒く濃密な霧を広範囲に発生させ、霧の中に含まれた闇の魔力によって敵を蝕む。

この霧を吸い込んだ者は、複数の状態異常に侵されていく。

即効性は低い。】

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「『ダークミスト』」


 目の前の空中に淡く光る魔法陣が浮かび上がる。

 魔法陣の中心から黒く濃密な霧が湧き出し、ゆっくりと前方に広がっていく。

 黒い細かな霧の粒子は煤のように乾いた色をしており、不気味に膨張と収縮を繰り返している。


「ブォ......」


 ラッシュ・ボアーは黒い霧の広がりに対し、警戒した様子で数歩後ずさる。

 しかし、急速に広がる黒い霧は、やがてラッシュ・ボアーに到達し、辺りは黒い霧に包み込まれていった。

 暗いもやが僕らの間に立ちこめ、互いの姿が曖昧にしか見えなくなる。


 今回はあえて、本来より、黒霧の密度を落とした。

 本当は、もっと暗くて何も見えないような空間を作ることができる......と思う、多分。

 使う前に検証できたら良かったんだが、結局できなかったな。


「ブル"ッ......」


 ラッシュ・ボアーはその黒い霧が、多少不快なだけで別に体に支障はないということに気づいたのか、その霧の中、ゆっくり僕に近づいてくる。

 曖昧ではあるが、僕のことがちゃんと見えているようだ。

 イノシシは視力が悪いと聞いたことがあったから不安だったが、良かった。


 武器を構え、体の向きは常にラッシュ・ボアーを正面に、背後を気にかけながら一歩ずつ左へ移動する。


 硬い地面が砕ける破音が聞こえた――突進の前兆。

 歩を止め、足に魔力をしっかり溜める。


「ブオ"ォ"ォ"!」


 ラッシュ・ボアーのその黒い巨体が、その鋭い牙とともに、弾かれたようにこちらに向かって弾き出された。

 それと同時に、僕もステップで地を蹴り、右側に移動する。


 黒い巨大な塊が、高速で視界の左端を一閃し、僕の真横を通り過ぎる。


 黒い巨体が動いたと思った直後には、すでに視界の左半分がそれに覆われる感覚。

 直撃すれば、体は骨ごと砕け、臓物は内側から弾け飛んでいただろうという恐怖が、脳裏をかすめた。


 ――刹那、爆発的な衝撃音が背後から響き、空気を震わせる。

 骨にまで響くような地鳴りが続き、地面の土がわずかに揺れた。


「ブギィ"ィ"ィ"ッ"!」


 目の前には、痛みで大きく叫びながら、その場に倒れ、暴れているラッシュ・ボアーがいる。

 そして、その前には、繊維の裂ける軋み音を立てながら、ゆっくりと倒れ始めている大木がある。


 ダークミストを発生させる魔法陣を解除する。

 すると、空気を満たしていた黒い霧が、粒子が溶けるように輪郭を失い、引いていく。


 そう、僕の狙いは『ダークミスト』で状態異常を与えることではなかった。

 黒霧で視界を奪い、僕の背後に大木があることを知らないラッシュ・ボアーを、大木にもろに激突させることが目的だった。


 自分の攻撃力よりも高い防護を持つ相手にダメージを通す手段は、急所を狙うことだけじゃない。

 こうして、相手の突進を利用し、激突の反作用をぶつけるのも手段の一つだ。

 自分の機転の利きにビビる。


 でも、油断したらダメだ。

 間髪入れず、のたうち回るラッシュ・ボアーの首にある裂傷に目掛けて、最大化力の『ストライク』の突きを与えなければならない。

 激突でダメージを受けてはいるが、致命的というほどではない。

 ここで、こいつの重要な肉組織を剣で抉るのに失敗すれば、僕の勝率は一気に下がる。


 思考の雑音がすべて遠ざかっていく。

 右手と剣、そしてそれに流れ込む魔力。

 その感覚だけが、静かに浮かび上がる。


《技能経験値が一定に達しました。『集中Lv5』がLv7にレベルアップしました。》


 不意に気づいた。

 焦るように力を注ぐのではなく、そっと掬い上げるように、魔力をすくい取る。

 そのまま、刃の先端へ向けて、ゆるやかに螺旋を描くような流れで導く。

 このやり方なら、無理なく、速く、しかも密度の高い魔力を一点に集められる。


《技能経験値が一定に達しました。『ストライクLv5』がLv7にレベルアップしました。》


 剣先には、細く鋭い魔力の芯が形成される。

 意識を逸らさぬまま、地を蹴り、腕を突き出す。

 刃の先端が空気を裂き、集束した魔力がラッシュ・ボアーの露出する首の肉に突き立てられる。


 剣先に首の傷に突き刺さると、分厚い筋肉が強引に裂け、内部の組織が左右に押し分けられる。

 刃はそのまま深く食い込み、奥にある頸椎に到達した。


 硬い感触を貫いた直後、鈍い破砕音が生々しく響き、骨が砕けるのが感触として、剣越しに伝わる。

 砕けた骨片が肉の中で跳ね、裂け目の奥から暗赤色の血が圧を失い、上方へ噴き出す。


「ブゴォ"ォ"ォ"ォ"ッ"!」

----------

名前:--

種族:ラッシュ・ボアーLv14/22

状態:大量出血

HP:22/163  MP:4/44

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 ラッシュ・ボアーの全身が跳ね上がるようにのけぞった

 仰向けに近い体勢のまま、四肢を大きく振り回していた。

 前脚が空を掻き、後脚は地面を蹴って土を跳ね上げ、胴体がねじれるたびに地面はえぐれる。


 ――突きを放ったばかりの僕に、不規則に動くその蹄が突き出された。

 反射的に左腕を前に出し、魔力を込めた盾を構えると、蹄が正面から盾に激突する。


 鋭い衝撃とともに、盾を覆う魔力の膜が瞬時に剥がれて散った。

 元々ひしゃげていた盾も耐えきれず、中央から折れ、乾いた破裂音を立てて真っ二つにはじけ飛ぶ。

 腕に重い衝撃が残るが、直撃だけは避けられた。


 ――次の瞬間、前脚が地面を強く押し、あの巨体が信じがたい速さで起こされる。

 四肢が地を捉えた瞬間、ラッシュ・ボアーは頭部をこちらに向かって突き出した。


「ブオ"ォ"ォ"ッ"!」


 前方から突き上げるように迫る巨大な額と牙。

 だが、不安定な姿勢からのその体当たりは、あの突進と比べて明らかに鈍い。


 魔力をこめた僕の左脚。その筋肉を膨張させ、地を蹴って跳び上がる。

 身体を空中で左周りにひねり、その頭突きをかわした。


《技能経験値が一定に達しました。『ジャンプLv1』を得ました。》


 視界に、頭突きが空を突いたラッシュ・ボアーの無防備な背中の、別の傷口が映った。

 宙に浮いたまま、その回転の勢いで、その傷口に『ストライク』の剣を突き立てる。


《技能経験値が一定に達しました。『ストライクLv7』がLv8にレベルアップしました。》

《技能経験値が一定に達しました。『剣術Lv7』がLv8にレベルアップしました。》


「ブギィ"ッ"!」

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名前:--

種族:ラッシュ・ボアーLv14/22

状態:大量出血

HP:24/163  MP:0/44

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 巨体が大きく震えた。

 裂かれた背の傷口からは血が噴き出し続け、毛並みに絡まりながら下腹まで流れ落ち、足元に血だまりを作っている。

 

 MPも底をついた。『回復』は使えず、こいつはもう止血の手段がない。

 あと少し、こいつが失血死するまで耐えればいいだけだ。


 僕の右足の裏が地面を捉え、続けて左足が着地する。

 

 ――しかし、その時、ラッシュ・ボアーが迷いのない動作で、そのまま肩と額をこちらに向け、再び頭突きをしてきた。


 距離はほとんどない。

 左腕を持ち上げ、半分に砕けた盾を前に構える。

 

 ――直後、ラッシュ・ボアーと構えた盾が正面から激突する。

 盾が、硬質な音とともに完全に砕け散り、破片が四方に飛び散る。

 ラッシュ・ボアーの弾力ある鼻が、僕の腹を突き上げた。

 衝撃が深く入り込み、肉が腹の内側に押し込まれるような鈍い痛みが走る。

 

「ぐっ....!」


 突き上げられると同時に、右手の剣を前に突き出し、やつの左目を貫く。


「ブギィ"ッ"!ギィ"ッ"!」


 しかし衝撃は凄まじく、視界が跳ね、弾かれた身体は宙に浮き、背から地面に叩きつけられる。

 肺の奥に残っていた空気が一気に押し出された。


「あ......がっ......」


 視界の端で、ラッシュ・ボアーの蹄が地を踏む音と振動が近づいてくる。

 その巨大な前脚で、僕の身体を踏みつけようと迫ってきた。


「『ライトニング』!」


 その時、鋭く、透き通った声が届いた。


 瞬間、あのローブの少女――ヘルガの持つ杖の先から、白く眩い光が溢れ出し、そこから閃光が裂けるように走った。


 耳に刺さるような破裂音が重なる。

 少女の杖から放たれた稲妻は、太く鋭く収束しながら、まっすぐラッシュ・ボアーへと突き進み、雷鳴にも似た轟音とともに、ラッシュ・ボアーの胴体に直撃した。


 その巨体を這うように光が走ると、ラッシュ・ボアーは四肢を突っ張らせ、わずかにのけぞる。

 そして、崩れるよう、そのまま前のめりに倒れ込んだ。


《ラッシュ・ボアーを討伐しました。経験値+168。》

《人間Lv11にレベルアップしました!スキルポイントを41取得しました。次のレベルアップまで残り23です。》


「うっ......ぁ......」


 木を背に座っていた少女の身体が、前方へ傾いた。

 腕で地面を受け止める間もなく、顔から地面へと倒れ込む。


 右脚の太もも、裂けた布の隙間から、鮮やかな血が流れ続けている。

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名前:ヘルガ・バウアー

種族:人間Lv10

状態:出血

HP:28/62  MP:0/88

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 まさか、この子、自分に『ヒール』を使わず、残ったMPを全部『ライトニング』に回したのか。

次話の更新は約2日後です。

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