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東京観光備忘録

 幾度となく先延ばしにされ、行くことすら叶わなかった修学旅行。夢見た東京は指先にかかることなく立ち消えた。怒りや悲しみの感情は向ける先無く。だが親からの提案「東京一人旅」消えた夢は目の前に再び現れた。何度も計画を練り、なるべく安価で済むようにする。どこへ行こうか、どんなものを見よううか。ここに行きたい、ただ時間の兼ね合いで行けるか?様々なことを悩み来たる2022年10月1日、コロナウイルスの感染拡大により消えた修学旅行の代わりとして一人旅を行う。


 当日現実味無く目が覚める。車に揺られ空港に着く。ここにきても未だ現実味はなかった。6時49分人生二度目の飛行機。家族に見守られながら出発ゲートをくぐる。まごつきながらも搭乗手続きを終え、飛行機に乗り込む。出発のアナウンスがなり離陸する。窓の外を見ると落ちるのではないかと不安が鎌首をもたげたがそのようなことはなかった。

 大地より遥か高く空を飛ぶ。四国上空を通り濃尾平野を越え見えてくるは日本人の誇り富士の山。冠雪はしていなかったもののその偉大さは上空から見てもわかるものであった。そろそろ関東地方に入るころ海を見れば貨物船が行きかっている。大きな貨物船が今は小さく見えるほど高くを飛ぶ。

 そして到着する羽田空港。内部は非常に大きい。吹き抜けになった部分を幾本ものエスカレーターがつなげ人々が行き交い土産物店が商いの声をあげている。初めてついた国の首都。今まで見たことのなかったほどの数の人々や大きな建物。心臓が高鳴り緊張する。徐々に近づいてくる国の中央。ここにきて実感がわくとともに体の奥から大きな熱が湧きだしてくる。恥ずかしい話ここからどの電車に乗ればいいかわからず迷うことになった。

 東京モノレールに乗り中央へ近づく。窓の外には大小さまざま…どちらかというと大きな建物が多く、数多もの車が行きかうのを見下ろすことになった。さぁ終点だ。電車から降りる。ここは浜松町。あまり聞いたことのない駅だがすでに今までに見たことのある最大の駅を超えた。初めて乗った山手線。マップを見ると本当に丸くなっている。電車が次々にすれ違っているし非常に長い。故郷でも自分が見たことあるのは最大でも6両程度だったが数えてみると12両を超えているではないか。新鮮の塊で驚きと興奮が止まらない。

 電車にのり向かうは渋谷スクランブル交差点。初めて降り立った渋谷の駅は工事中だったもののそれでも数多くの人がいた。黒崎一護がビルの広告に張り付いている。こんなに大きなアニメのキャラクターは見たことがない。

遠目に眺める渋谷109。プロセカの場所と同じように立つ。実に素晴らしい。周辺を散策すると出てきた「宮益坂」の文字。またしてもプロセカと同じ。自分が今ここに立っているという事実だけで心が湧き、踊り狂いそうになる。さてここでの目的は果たした、次の目標へと歩みを進める。

渋谷駅から地下鉄に乗る。半蔵門線に乗り目指すは九段下駅。スマホ片手にキャリーケースを引きながら歩く。そして見つけた「角川書店」幼いころから来てみたかった場所。年を重ねるごとに思いは募りあふれ出す。何度もお世話になった本を出している本社ビル。ものすごく大きく見えた建物は今なお輝き続けている。

近くにある学校。緑が多く洗練されたデザインに見えるのは気のせいだろうか。道を歩いているときに見かけた小学生。そしてボーイスカウトの様な恰好をしている小学生。みんな輝いて見える。故郷では見かけることのできないボーイスカウトの少年たちは非常にかっこよく見えた。近くに神社があったから覗いてみることにする。訪れたここは靖国神社。大きな鳥居が俺を迎えてくれた。また全国から様々な贈り物がされており飾られていた。無論故郷の物も発見することができた。

再び地下鉄に乗るために道を歩く。道路の反対側に見えるのは皇居。天皇陛下が住んでいらっしゃる場所。そして日本の中心。皇居を中心として環状線ができ、情報の穴があるところでもある。時間がないため寄ることはできないが一度は訪れてみたいものだ。

ホテルに行くために地下鉄に乗る。時刻は11時51分時刻通り正確に来た電車に乗り人形町を目指す。人形町についたときには正午を迎えようとしていた。ホテルのチェックインには少し早いかもしれないがひとまず向かう。中学生の時に京都で変わった色をしたローソンを見たが、ここでも同じようになっているファミリーマートを見つけた。ビルの一角、大きなFamilyMartの文字が無ければコンビニがあると気づけないような場所にそのファミリーマートはあった。物珍しくて思わず写真に収めてしまう。それにしても道路が直角に交わり統制された美しさを感じる。だが空を見れば見えるのは四角く切り取られた空。閉塞感は大きい。ふと顔を向けた先にコインパーキングを見つけた。気になってみてみると平日最大料金が4400円もする。驚きが隠せない。故郷の市内でも最大2000円も超えないというのに遥かに高い物価に恐れを抱いてしまったのは事実である。

 街を歩いていると見かける地下迷宮への入り口。まるでダンジョンのように口を開けて待っているその入り口はいたるところに見られる。…言葉を盛ったがここで言っているのは地下鉄の入り口の話である。「都営地下鉄」その言葉は地下鉄のない世界で育った自分の心を否応なく誘ってくる。

 さてチェックインが終わりキャリーケースを預け身軽になった。どこへ行こうか。とはいえ行くところは決まっている。国内で最も高い建造物…東京スカイツリー。東日本橋から都営浅草線にのり電車に揺られること8分。押上駅に到着する。駅を出て行くのは東京ソラマチ。中に入るとプラレールショップがあり心惹かれる。一度外からスカイツリーを眺めるため少し歩くと柱を見つけた。顔を上げるも全貌が見えない。さらに上を向き何とか第一展望台の下部分を眺めることができた。…でかい。ただ上を向いただけじゃ見えないその大きさはなるほど日本一の電波塔である。その大きさに感動すら覚えたところで腹の虫が鳴く。時刻はすでに13時を回っている。腹が減るのも道理である。とりあえずソラマチの中に入って食事処を探すとしよう。


 見つからない!いや食事をとれるところがないわけではないがそれでも人が多く落ち着いて食べれそうにもない。だが散策している途中で見つけた転スラの人形やポスター、それにナノブロックの展示品。それとポケモンセンター!いくつになっても衰えることのないポケモンへの想い。その想いがどうしようもなく溢れ出し心を沸き立たせる。今まで来たことがなかったポケモンセンター。天井を突き破り現れるレックウザ。壁から飛び出すルナアーラ。堂々とした風格を備えるソルガレオ。さらにはメガ進化した黒いレックウザ。どこを見てもポケモンばかり。まさに夢のような空間。家族に向けてのお土産を買いこみ背負ったカバンがいっぱいになってしまいそうになる。

心惹かれる空間に後ろ髪を引かれながら、ソラマチを後にする。時刻はすでに14時を回ってしまい腹の虫が悲鳴を上げその鳴き声に屈してしまった。ソラマチ内で食事ができないことはわかっている。さてどうしようか。ひとまず外に出て何かしらの店を探し歩く。するとラーメン屋を見つけた。「日高屋」…まぁ構わないだろう。とにかく腹に何かを入れたい。中に入る。頼んだものは醤油ラーメン。あっさりとした風味の中に確かにある旨味。とてもおいしい。


 腹を満たして人心地が付いた。ある程度予定は決めていたが、次はどこに行こうか。浅草?東京に来たからには浅草に行ってみるのもまた一興か…ということで次の目的地は浅草に決定することにしよう。行き方が分からないためスマホのマップ片手に歩みを進める。地下鉄に乗り揺られること数分。浅草駅に到着する。

 地上に出て歩くこと数分、目に飛び込んでくる巨大な赤提灯と多くの外国人。雷門の写真を撮り仲見世商店街を歩く。それにしても人が多い。さすが観光地といったところだろうか。風鈴の音が響き心地よい風が吹く。人力車が何台も駆けている。商店街から横道に入ると光が遮られ、観光客の声が小さくなる。時代が遡ったような光景に現実味が薄くなり不思議な感覚に包まれた。商店街の方に戻りお土産を購入する。

 次の目的地は秋葉原。我々にとっての聖地。東京メトロ銀座線に乗り末広町で降りる。歩くこと数分アニメイト秋葉原店の正面に立つ。駅からここまでのわずかな距離に何度もメイドさんを見かけることができた。これがアキバか!周りを見渡すとアニメ調のキャラクターが窓に、壁にいたるところに見ることができる。憧れの地に立っているという事実。そのことだけで目的は果たしたと言わんばかりの夢心地に襲われる。今まで何度も夢に見ていたこの場所。素晴らしい。

 近くにあったタイトーステーション秋葉原店。もちろんmaimaiもある。さぁ目的の一つを果たそうか。ゲームをプレイし受け取る称号「東京勢」ふふふ、このために来た…は過言だな。だがこれでまた目標の一つを達成した。


「すみません。一緒にmaimaiしませんか?」


おっと話しかけられてしまった。声の主は…これはまた恰幅のいい男性だ。


「二人プレイだとプレイ数増えるじゃないですか。だから一緒にプレイしませんか」


怪しくないかと聞かれれば怪しい…が、まぁ特に断る理由がないから了承する。プレイすること数回。実にいい人だった。曲の選択権を与えてくれたしコツも教えてくれた。時計を見ると17時になりかけていた。そろそろホテルに戻るとするか。

 外はすでに日が暮れかけ西日が差しこんできていた。ホテルまでの距離は約2km。まぁこれくらいなら歩けるだろ。そう考え一歩を踏み出す。明日の朝食を買うためコンビニに寄り、飲み物を安く買うためイオンに寄る。物価は…あまり変わらないか。いつも買うお菓子の値段を比較してもそこまで値段に差があるわけでもなさそうだ。飲み物を買い、無事にホテルに帰還する。

 かなり疲れた…すべてが新鮮の塊で目に入るものすべてが面白くてしょうがない。そういえばブックオフにも行きたいな。行くか。最寄りのブックオフはっと、秋葉原店か!マックも近くにあるし夕飯はそれでいいか。

 ブックオフは広かった。店内にエスカレーターがあり本も大量にある。いくつか安くてほしかった本を見つけ購入。早く戻って読むとするか。

 ブックオフの帰り秋葉原駅の高架下。そこにいたのは自宅がない人。いわゆるホームレスの人たち。誰も気に留めることなくその横を通り過ぎるその様はどこかうすら寒く、すぐ近くには煌びやかな建物がたくさんあり、この国の光と闇を感じた。

 プロセカの一周年の時のライブの放送を見ながらホテルに戻りシャワーを浴びて寝る!


 二日目朝食を腹に収め、英気を養いホテルを8時に出て馬喰横山から都営新宿線に乗り神保町まで進む。目指すは集英社。神保町で降りる、すると小学館の看板があるではないか。写真に収め集英社へと向かう。ビルは降りてすぐのところにあった。ここが集英社の本社ビル。そしてその隣には小学館のビルもあった。入ってみたいがその気持ちを押し殺し次の目的地に向かう

 神保町から電車にのり「ANYCOLOR」を目指す。しかしもう間もなくチェックアウトの時間が迫っている。……苦渋の決断を下す。ANYCOLORに行くのを取りやめる。半蔵門駅で乗り水天宮前駅で降りてホテルに戻る。

 チェックアウトを済ませ東京駅を目指す。東京駅はとても大きくレンガ調の建物は明治の風を感じるものであった。「東京オータムセッション」のMV片手に同じ距離感を測る。夜だったら同じ画が撮れたはずだが…まぁ良しとしよう。そもそも、ここに来ることができただけで上々なのだから。東京駅の地下街をキャリーケースを転がしながら歩き回る。レゴショップ、トミカやプラレールの専門店。そこにはトミカの工場…は言い過ぎかもしれないが。専門のトミカを作れるところがあった。それに仮面ライダーの歴代ベルトが飾られている場所もあって、惹かれるところばかりだ。中にはポケモンのぬいぐるみが飾られているところもあり、極楽のような場所であった。

 山手線に乗りガンダムベースを目指す、とは言え直通では行けないため大崎駅でりんかい線に乗り換えお台場海浜公園で降りる。ガンダムベースは天国だった。周りを見渡せば溢れるほどのガンダムがあり、三日月やラフタの等身大のパネルがある。だが金がない…!金がないから何一つとして買うことができない!いつかまたここに来てやると決意を固めガンダムベースを立ち去る。そして見つける一分の一ユニコーンガンダム像。ユニコーンモードの方が好みであるが、自分の好きなものが見上げるほど大きくなって目の前に存在しているという事実に胸が震え感動する。周囲からの写真を撮り眺めること十数分、俺は橋を歩いていた。りんかい線を通る電車が近未来な形状をしていて感動し写真に収める。東京に来てから写真を多くとっているような気がする。おそらく気のせいではないだろう。

 フジテレビの建物を撮り、あたりを見回す。そこで自由の女神像を見つけた。一瞬ここがアメリカかと勘違いしそうになるも、レインボーブリッジを視界に入れることで正気に戻る。そして疑問を抱く。だがその疑問は終ぞ晴らされることはなかった。海を眺め一人黄昏る。行き交う船を見送り、ここ二日間の思い出を振り返る。ふと近くにビックサイトがあることを思い出し、行くことにする。

 夏冬コミケの会場。いつか行きたいと願う場所。夢溢れるところ。青空に逆三角形の建物が映え高揚感が湧きだすが飛行機の時間が迫っていることも国際展示場駅から大崎駅まで行き、そこから東京モノレールに乗り替え羽田空港を目指す。

 飛行機までの時間が思ったよりできてしまった。16時30分、予定の時刻まで約2時間。時間が迫っていると思っていたが時間がかなり余った。特にすることなく時間を送る。昨日買った本を読みながら出発時刻を待つ。

 18時45分、出発時刻になりアナウンスの声を耳にしながら故郷を目指す。羽田を起ち空の旅を送る。夜昏く街の光を眺めながら空を飛ぶ。東京に想いを馳せながら。いつか再びこの街を訪れると思いながら。




 ここまで読んでいただきありがとうございます。


 故郷や年代がバレると思いますが、それでも私が感じたもの、故郷からでて東京という日本の中心に向かうことが地方に住む私にとってどれだけ大きいものかということを感じていただきたくて筆を執りました。その中には私がこのことを忘れたくなかったというのもあります。ただこの東京という地がワクワクする場所であることをわかってほしいです。


 繰り返しになりますが、ここまで読んでいただき本当にありがとうございました。

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