解離性同一性障害と性同一性障害(トランスジェンダー)の被害者I 突然の自炊教室
短めで良い?
うちの休日はお化粧から始まる
性別が違っても女の子らしくありたい
たとえある程度筋肉のついた男の身体だったとしても、女の子でありたい
だからうちは、いつ人格が変わっても良いように、「遠出する時には化粧道具や女の子の服も持っていくようにね」と他の人格を脅し…説得していた
「それが女装をしている理由か……なんというか…なかなか、大変なのだな…」
目の前にいる若葉とかいう人が居た堪れない様な哀れみの目で見てくれた
「分かってくれますか⁉︎トランスジェンダーの悩みに似ているのかもしれないけど、男の人格がいるから身体の性別を変えることもできない。さらに、周りの人は普段のマチスやテツとかの他の人格の性格を覚えているからうちが女装するのをキモがる…。うちはどうせ休日に部屋の中でひっそりと女装して自己満するのが趣味なヤツですー、はぁ、あんたみたいに美形の女の子に生まれたい人生だったわ。…ネタマシイウラヤマシイ」
本当に妬ましいわー!この美女!
どうやらここ数日の間に知り合った仲のようなのだが、距離が近い。でも不愉快には感じさせない。
なんかこう、不思議な雰囲気を纏っている様な、カリスマ性を感じさせる様な、そんな感じだ。尚且つ親近感が湧き、うちらの悩みにも寄り添ってくれる。妬ましいけど良い女だと思う!
でも、見た目にあまり気を遣ってなさげ?
…勿体無い!
「スタイルも良いし、顔も良いし、髪も良いし、爪も良いし、肌は殆ど何もしていなくてこれだったらビックリってぐらいだし、」
「ど、どうした急に。そんなに私の観察をして」
ヨレヨレの少し汚れが見える変なマークがついた安物感溢れるTシャツとオレンジ色の長ズボン
「他に服はあるの?それダサいと思うんだけど」
「これの他?スーツとスーツとスーツと…だけだな!ここに来る前に着ていた服とかは破れたから捨ててしまって、残ってるのは長ズボンだけだからな」
「そのダサいTシャツは?」
「ダサい……うっ…未完ゲームsロゴが入ったシャツがダサい…」
「うんダサい」
「…………」
ダサいTシャツをダサいと言ったらなんかショックを受けていた。流石に首元ヨレヨレの安っぽいシャツはダサいと思う
「ねえ、名前なんて言ってたっけ?」
「え?ああ、言っていなかったか。うっかりだ」
「いや?、忘れただけ」
名乗られたのは覚えているのだ、名前を覚えなかっただけで
「…源若葉と言う。これからも会うことがあるだろう、よろしく頼むよ。君の名前は?」
「荒川空」
「人格の名前があるだろう?そっちを教えて欲しいんだ」
「…こっちを呼ぶ人はほぼいないから名乗り慣れないなぁ。うちは、イトって言う名前。よろしく!」
「ああ、よろしく」
女の子の友達少ないから嬉しい
じゃあ
「じゃあ、服買いに行こっか」
「え?」
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源さんは、ダイヤモンドの原石と言って良い素材だった
大体の服が似合うから全部買おうかと思ったりしたけど、この人結構たくさんの服を着る様な性格してなさそうだから2セットで勘弁してあげたわ。本当はもっと買いたかったけどね
夏用コーデ2セット
ゆるい私服系、美人系
こだわりを言いたいところなんだけど、まあ、ファッションのプロというわけでもないから良いかな。
…美人系だけ言わせて
露出度を高めすぎない様にして大人らしさを表現、黒のワンピースのノースリーブでかっこよさを出しつつフリル付きにすることで喪服感を軽減、緑のワンピースだったら爽やかさが出てよかったんだけどカッコよさを入れたかった。あとはお好みでイヤリングとかブレスレットとかネックレスとかつけてね。靴は違和感が出ない様なスニーカーを試行錯誤して選びました。バッグも高いの選んだ、肩掛けね
4時間くらいかけたけど良い買い物したわー、妬ましいくらい似合ってる
「あー、気は済んだか?」
「良い買い物ね!」
「…そうか」
今は買った服を着てアパートに向かって歩いている。それと、スマホ確認しても昨日の報告がなかったんだけど、誰がサボった?
源さん結構疲れてそう、お腹空いたのかな
「人格交代する?」
「?なぜする?」
「料理好きに変わろうかなって」
料理好きは…アルメリアかなぁ
「好きな時に変わることが出来るのか?」
「慣れたからねぇ、意識を手放すことを意識したら誰かが乗っ取る」
「はえー」
源さん、なんかまた哀れみの目で見てきてる
気にせずにうちは、意識を手放していく
アルメリアー!出番ですよー!
「いやなぜ料理好きに変わる必要がある?」
「え?お腹空いてないの?」
「空いているが?デリバリーで良いだろう」
「…普段何食べてるの」
「オムライス、ラーメン、オムカレー、炒飯、天津飯、サラダ、」
「自炊しよっか」
…
……
アルメリアー!出番ですよー!
◇◇◇◇◇◇
「料理に大切なことはなんだ?」
「愛です」
「家事で大切なことはなんだ?」
「愛とやる気です」
「やる気がなかったらどうすればいいか?」
「愛をやる気に変えましょう」
アルメリアによる家事と愛の講座
それは、飴と鞭と鞭と飴と飴の様な、厳しいけど褒めて伸ばす系の教師であったと社長は語った
料理は凄まじい手際で、本格的な洋食が出されたらしい。
「美味しいな」
「ありがとうございます。まあ、料理でめんどくさいのは片付けですからー」
「…」
◇◇◇◇◇◇
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「と、私の部屋を全てきれいにして昨日は終わった」
これが、昨日の出来事が何も残されていなかったため、社長に聞いた話だった
この話をイズミと僕とで話しながら
人格の身体を完成させた
こんなに視点が変わる小説を僕は知らない
文章量足していくかも
ファッションのフの字も知らない作者です。社長に着せたい服がありましたら教えてください。