いざ、未完ゲームsへ
休日の午前10時、僕は大きなビルの前に立っていた。
「デッカいなぁ、【未完ゲームs】」
僕は今、東京に来ている。
初めての東京、建物が全て高く、人も多い…
僕よりも背が低い同年代はここにも見当たらない…
はたから見れば都会にやって来た小学生だろう、中学生なのに
どうも主人格のマチスです、交通費を負担してくれると聞いてやって来ました。
服装がいつものラフな服とスニーカーなので場違い感がすごいです、もう帰りたいなぁ
ビルの中に入る
中は全体的に白が多く清潔感が溢れている
受付の人がこちらをじっと睨んできていたので恐る恐る話しかける
「あのー」
「…はい、どなたかと待ち合わせですか?お呼びいたしますよ?」
受付の女性は優しそうな声で話しかけて来てくれた、まるで、小さい子供に話しかける時の声だ
猫撫で声と言うのだったか
「【中瀬】って人に呼ばれて来ました!……どこにいるか分かりますか?」
「副社長に呼ばれたんですか⁉︎確認しますね」
受付の女性は中瀬という名前に、びっくりした様子ですぐに電話をかける(スマホで)
「副社長!起きてますか?」
『…ーーー』
「え!珍しいこともあるもんですね」
電話の向こうの声はよく聞こえない
というより副社長、最初に起きてるか聞かれるって事は、いつもは起きていないのか…
『ーーーーーー』
「ふーん、そうなんですね……ちなみに今、副社長に呼ばれて来たっていう子供がいるんですけど」
『空くんか⁉︎』
[スピーカー設定になっていないスマホ]からでも、ハッキリと聞こえる大声だった
受付の女性がスマホを耳から遠ざけ確認をしてきた
「君が空くん? なんですか?」
「え…っと、まぁはい、荒川空って言います」
「荒川空くん、ね。ちょっと待っといてくれる?そこの椅子に座っといて良いから」
「?」
とりあえず頷いた
受付の女性はスマホを手に、受付奥の扉に入って行った…
その数分後、ビルの扉を勢いよく開け、男性が走ってきた。
「ウォォォォォォオォ」
男性はそのまま受付奥の扉まで走って、その扉を勢いよく開いた
「なんだあの写真は!いつ撮った」
「あ、副社長。時間以内に来たんですね、少し残念です」
「残念がるな!あんな写真ばら撒いてどうするつもりだ!」
「別にどうもしませんよぉ、ただの脅迫ですから」
「脅迫でも実行に移すのが君だろう」
「はい!あたりまえです!あたりまえ体操です!」
「なつかしいな、あたりまえ体操!」
やって来た男性と受付の女性がワチャワチャしだした。
僕、置いてけぼりなんですけど…
……あれの間に入る?…無理だと思う、少し待っとくか
………
………
……終わる気配が全くないから頑張って話しかけるか……
「あのぉ…」
「「ん?………アッ」」
やっと終わった…長かった
申し訳なさそうに男性が話しかけてきた
「す、すまない…せっかく呼んだのに待たせてしまった」
「い、いえ……えーっと、中瀬さんですか?」
「ああ、中瀬太郎だ、一応副社長になっている」
「一応なんですね…えーっと僕は荒川空の主人格のマチスです」
「なるほど…メールに書いてあった通りに多重人格なのだな?」
「ええ、信じてないと思いますが」
「す、すまない、信じられなくて」
「いや、いいんです…慣れてますから」
「本当にすまない、だが、社員全員が信じられるように検査をしても良いだろうか」
「検査?まあ良いですけど」
「ありがとう、では行こうか」
受付の女性は多重人格と聞いて少し驚いているようだったが、受付から笑顔で手を振ってくれていた
ビルの中を移動している間に聞いてみた
「受付の女性と仲良いんですね」
「受付の女性…ああ、愛菜のことですか」
「あいなさんって言うんですね、あと、名前呼びなんですネェ」
「…名前は好きに呼んで良いと思ってるので」
「ええ、良いですね、僕はただのカプ厨ですから気にしないでください」
「カプっ……君高2だろう?最近の高2はすごいねぇ」
「…それで?付き合ってるんですか?」
「付き合ってない!ただの同僚だ」
「へえ、副社長とその同僚の恋ですか…(*´∀`*)良いですねえ」
「……他の話をしよう!検査の話とか聞きたくないのか?」
露骨に話を逸らされた、まぁいっか
「………検査って何するんですか?」
「よし!検査の説明をしよう、君の検査は脳波を検査す…って着いたな」
中瀬さんが4階の奥の部屋の前で立ち止まったので、少し後ろについて行っていた僕も、立ち止まる
中瀬さんが無言でドアを開け、中に入る。
僕も続けて入ると、中瀬さんは入れ替わるように外に出てカギを閉めた
…
…カギを閉めた⁉︎
呆然と扉を眺めていると声が聞こえた
『こんにちは、荒川空くん』
部屋の天井から声が聞こえた、天井には、埋め込まれたスピーカーがあった
『そっちじゃないよ、壁側だよ』
「?」
横の壁を見ると横長のガラスがあった
その奥の空間には2人の人物がいたが片方はすごく見覚えがある
「中瀬さん?なんでカギを閉めたんですか?」
そう、中瀬さんがいた…
『すまないね、私が中瀬に指示をしたんだ、あまり責めないでやってくれ』
僕が怒っていると理解したもう1人がフォローをした
「まあ中瀬さんも申し訳なさそうにしてるので許してあげます」
『ありがとう、では、検査を始めるよ』
あ、そうだった。検査をしにこの部屋に来たんだった
『じゃあまずは、そこのベッドに寝っ転がってくれ』
なんだろう、この声、逆らう気が失せる。心に直接響くような、女性の声
僕は、部屋真ん中にあるベッドに寝っ転がった
『では次に、そこの机の上にあるヘッドギアを装着してくれ』
僕は無言で指示に従った
『ありがとう、では、おやすみだ』
部屋に煙が充満していく、そして…
僕の意識はなくなった
犯罪?まあ、いいでしょ!
(誘拐拉致監禁)
会話文多くてすみません
分かりにくい所などありましたら気軽に教えてください、お願いします