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異世界物語  作者: くわがた虫
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異世界転移

よろしくお願いします。

俺の趣味は満員電車で、おじさんの頭にしゃくとり虫をのせることだ。

今日も、いつも通り庭で捕まえたしゃくとり虫を小さい箱に入れて電車に乗る。

ターゲットを見つけ、俺は箱からしゃくとり虫を出す。

その瞬間、急ブレーキをかける電車。


「うわあ。」


俺の間抜けな声。

口の中に入るしゃくとり虫。

それを飲みこむ俺。


【スキル:悪食LV3を獲得しました。】


妙なアナウンスと共に俺は、この世界から消えた。





「おえええええええええ!!」

俺は、なんとかしゃくとり虫を吐き出そうする。

しかし、胃液しか出ない。


俺は泣きながらショックで気絶した。


【スキル:擬態LV2を獲得しました。】





濃紺の夜空の真ん中に大きな月。

見たことの無い数の星々が輝く。

「ここ…どこだ?」


俺は確か…。


「おええええええええ!!」

しばらく、胃液をまき散らした俺は荒野を進む。


荒野には、動かないぽよぽよした水風船のような物がたくさん落ちている。

俺は、それを思い切り、けり上げる。

ぱちゅんと消えていく水風船。


水風船の割れた後には、変な光る石と丸いこんにゃくのような物が残る。

俺は、こんにゃくのような物を食べていた。


味のしないゼリー…。


少し水っぽいので、水分補給にはなる。

栄養があるかはしらない。











一週間。

俺は、水風船を割ってこんにゃくを食べることで何とか生き残った。

「でも、腹減ったなあ。あそこでは、まともな物が食えればいいんだが…。」


目の前にあるのは、壁に囲まれた街らしきもの。

俺は、恐らく街に入るための行列だろう列に並んだ。


適当に待つ。

待ちながら、こんにゃくのようなものを食べる。

隣にいた女の子は俺を見て、驚いたような顔をした。

女の子のさらに隣にいた母親の人は「見ちゃだめよ。」と女の子に言っていた。


日本語は通じるんだな。





そして、しばらくして、俺の番がきた。


「名前は?」

少しいかつい門番か兵士かわからない男が聞く。


「エリンギです。」

勿論偽名だ。


「エリンギは何歳だ?」


「16です。」


「…。」

門番の兵士は、少し考える。

この国では、14歳から17歳までは、兵役があるのだ。

「お前は、神国の出身ではないのか?」


「出身はジャパンです。」


「ジャパン…。よくわからんな。遠いのか?」


「島国です。」





結果から言おう。

エリンギこと俺は、なんとか街の中に入ることができた。

ポケットいっぱいに詰め込んであったスライムの魔石のおかげだ。

観光滞在?らしい。

持ち物と交換で滞在を許可する制度らしい。

何にせよありがたい。

俺にとって価値の無い物で2日も街に滞在できるのだ。


俺は、適当に街を練り歩く。

目指すは、人の多い所。

役所的な所か冒険者ギルドがあればいい。

ともかく仕事を紹介してもらおう。





街の人にいろいろ聞いて回って、たどり着いたのは古い石造りの建物だった。

俺は、とりあえず扉を開け中に入った。

「こんにちは!」


聖堂に俺の声が響く。


何人かの人がこちらを向く。

「何かご用でしょうか?」

声をかけてくれたのは、俺と同い年くらいの普通という言葉が似合いそうな少年だった。


「入信?したいのですが…。」

俺は、何とも使ったことの無い言葉を使う。


「入信…ですか。それはいいことですね。いくつか質問してもいいですか?」

少年は笑顔を張り付けたまま俺に聞く。

俺は何故かすごみを感じて頷いてしまった。


「他の宗教団体に所属はしていますか?」


「してないな。」


「こちらのことはどれくらい知っていますか?」


「ほとんど知らない。」


「路銀はありますか?」


「ない。」


「身分証は?」


「ない。着の身着のままです。」


「…スキルとかは?」


「悪食と擬態があった気がする。」


「…変わったスキルですね。」


そんなやりとりがあって、俺は勇者教の信徒になった。


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