奇跡は起きるのではなく起こすもの!!…でも厨二病みたいなのは何故だ…
ミラの立ち位置はまだ完全には決まってないから乞うご期待を!!
(自分からハードルを上げてくスタイル)
転移してから数瞬後。
視界が回復してくるとそこに見えたのは、The異世界って感じの洋風の部屋だった。
うーんこれ見事に異世界だねって言えるぐらいの奴だ。
というかベッド良いなぁ…ふかふかそう…
そんな事を考えてたら抱き寄せてたミラが急に大声で驚いてた。
「えええぇ!?」
「うぉっ!?大丈夫!?」
「いやだって、えぇ!?」
なんで驚いてるんだろ。アルター知らない?
[先程言った通り、転移魔法は難易度が高い魔法と言われているのですが、その難易度が普通の人からすれば尋常ではないのです]
へー…サラリと俺を普通じゃないって言ってるよね。
[ご自身で普通だと思ってます?]
はっはっはっ。普通じゃないよね。
[転移魔法の発動条件はその場所の景色などを明確に覚えている事。そして座標の設定をする等があります。その難易度が普通の人からすれば恐ろしく高いのです]
ちなみにアルタは?
[呼吸をするように可能です]
さっすがー。
とりあえずミラには内緒にしてもらわないとなー
「ミラ。これは内緒に…ね?」
「は、はひっ!!」
また赤くなってる。可愛いかな?
[マスターが唇に指を添えながら真剣な顔で言われたら大抵の女性はそうなるかと]
そうなのか…ん?なんかミラ考えこんでる?
[どうやらマスターの転移魔法を見て彼女の護衛達の遺体を回収、そして弔ってやりたいと考えてるようです]
あーなんか死んだって言ってたもんね…
[まあマスターが行けば蘇生は可能ですが]
なんかそんな予感はしてた。というか禁術的な奴じゃないの?蘇生って。
[禁術という訳ではありませんがおとぎ話のようなものです。今この世界では扱える人はマスターを除けばいません]
んー…借りでも作っときますかね。
[今回連れて行っていた護衛は彼女が特に信頼してた者達みたいですからそれもありかと。マスターの能力を考えるといらない感じではありますが]
まあアルタの話聞いてる限りじゃ何でも出来るみたいだからねぇ…
[事実可能です。マスターの能力の全ては制限が無いため、大抵は<創造>を使えばどうにでもなります]
あれ。<創造>って普通は制限とかあるの?
[普通は色々と制限があります。詳しい内容は省きますが、マスターには関係無いですね。制限とか一切ありませんから]
うーん聞けば聞くほどチートだなぁ。
[それと、蘇生をする場合は魔法を作成していただく必要があります]
ん?存在しないの?
[イエス。蘇生魔法の作成はこの世界では昔から研究が続けられてますが未だに完成していないのです。その為御手数ですが作成していただく必要があります]
そーなのか。じゃあ自分の初めての魔法作成になるのか!
…初めての魔法作成が蘇生魔法ってのもあれだな。
[問題ありません。我々は、自由ですから]
…まっそうだよね。自由にしてって言われてたし、自分のやってみたい事は全部やってみるに限る!
[お手伝い致します。マイマスター]
ん。お願いするよ、アルタ。
<SIDE ミラ>
リュウ様と契約をしてから驚くことばかりです。
盗賊達を蹂躙した実力も、そして今見せてもらった転移魔法も…
転移魔法は今では行使できる人が殆どいないと言われる最高峰魔法とも聞いた事がありました。
それを軽々と、しかも無詠唱で発動したのを見て…1つの我儘が浮かんでしまった。
護衛として、騎士として死んで行った彼らを弔ってあげたい。
でもこれは、自分のただの我儘にしかならないとも。
何せ契約は私をハインベルグ王国に送り届けるまで、と森の中で言われたのもあります。
でもそれ以外に私が差し出せる物が無いというのも…
そんな事を考えてた時、リュウ様から声をかけられてたことに気づきました。
「ミーラー。なーに考えてるの?」
「あっいえ…その…」
これは私の我儘だ。弔ってあげたい気持ちはあるけど…これ以上はどうにもしてやれない。
そう、散っていった騎士達に、心の中で謝罪をしていた時だった。
「…護衛の人達の事?」
「えっ…」
「やっぱり?顔に出過ぎだよ」
そう言われました。そんなに顔に出てたでしょうか…
「はぁー…まあうん。貸し1つって事でやってあげるよ」
「!!」
「我儘だとか思ってるなら気にしない気にしない。君まだ子供でしょ?」
そう言われました。確かにまだ12歳ではありますが…
それでも、考えてた事を見透かされた事に驚きつつも、感謝もしていました。
「はい。じゃあ手を出して」
「はい…!」
手を出して握られると同時に、また光に包まれました。
そして視界が回復してくると、見えたのは…
――――――――血塗れになって倒れてる騎士達でした。
15人…全員が倒れてました。誰も、動かず息もしてない…
また近くには壊れた馬車もありました。その中にも…
「っ…皆さん…」
「予想はしてたとはいえグロい事で…」
その中には、この隊のリーダーである彼もいて…
私は血に濡れながら、膝を着いてその遺体を見ました。
「ラクーシャさん…」
正直、私にはこの光景はキツいものでした。
血の匂いに、目の前の光景に、涙を流しながら謝る事しか、出来なかった。
「ごめん…なさい…ごめんなさい…私のせいで…っ!」
そう、言ってた時だった。
後ろから凛とした、声が聞こえたのは。
「あーあー…泣いちゃって…」
「リュウ様…だって…皆さん私のせいで…っ!」
死者は、蘇らない。戻ってくることは無い。
これが物語であれば、蘇生魔法なんて物もあって、皆生き返って。
でもそんな夢物語は、無いのだと。
そんな理想は無いのだと、目の前の光景は言っていた。
実際に死者が戻ってくる事は無いのだろう。
蘇生魔法というものは、所謂おとぎ話のような存在だ。
研究などは進められているが実際には不可能だとも言われていた。
ただ、彼女を除いて。
リュウ様を見ていたら、こちらへと近づいてきた。
何をするのだろうか、そんな事は考えれなかった。
「なぁミラ、我が一番嫌いなのって何か分かるか?」
「えっ…?」
その言葉の意味は、あまり理解出来なかった。
しかし、彼女は続ける。
「我が1番嫌いなのはな…BADENDで終わるってのが1番嫌いなんだ」
そう言った、次の瞬間だった。
足元に巨大な魔法陣が描かれたのは。
「なっ…!?」
「おーっとミラ。言っとくけどこれは秘密にしといてね?」
――――じゃないと色々と面倒だから
そう、威圧混じりに言われて、思わず頷いた。
『――――我は真理に触れし者』
『――――冥界より我が手の元へ』
聞いた事ない、詠唱だった。
確実に分かるのは、何かを起こそうとしてるということ。
『死を覆すは我が魔力』
『今こそ再生の時』
詠唱が紡がれる度に魔法陣が輝く。
死んでしまった騎士達の身体が輝いている。
『――――――死を覆し魂の決意』
その日、私は奇跡を確かに見たのでした。
<SIDE リュウ>
詠唱が終わると同時に全ての騎士の遺体が光に包まれた。
それが晴れると…確かに息を吹き返していた。
しかも傷は全て塞がっている。失血死とかの心配も無いだろう。
そう思ってると、ミラがラクーシャと呼んでいた騎士が目を覚ました。
「ぅ…ここは…?」
「っ!ラクーシャぁ!!!」
「姫様…!?何故ここに!?」
「だってぇ…だってぇ!!」
そう言いながら泣き叫ぶミラをラクーシャが慌てながらも慰めている。
うんうん。自分はBADENDは嫌いだからね。こういうのが好きだよ。
…ところでアルタさんや?
[なんでしょうか、マスター]
あの詠唱必要だった?自分としては必要性が感じれなかったよ?
ぶっちゃけ恥ずかしかったよ!?何あの厨二病詠唱!!しかも我って言っちゃってたし!!
[楽しそうでありましたが]
ぶっちゃけ楽しかった!!でも恥ずかしさが上回ってる!!
[ご安心を。赤面したマスターの顔はバッチリ保管しときましたので]
こいついつの間に!?
[冗談です(冗談ではありませんが)]
なーんか不安だなぁ!?
…で必要かと言われたら?
[必要ありませんでしたね。様式美みたいなものです]
…もう気にしない。
[では私は先程の映像を見てますね]
消せやァァァァァァァァ!?
ミラが泣き叫びながら騎士に抱きついている時、自分はそう心の中で全力で叫んでたのだった。
厨二病詠唱が好きな作者です。
(尚意味は無い)