プロローグ
私はなんの為に生まれたのだろう…
屋上のフェンスに手足をかけよじ登る
同じ学年の子達が部活をしている
いきなり落ちてきたらびっくりするかな…
ふふっ、どうせまた良い気味だって言われるだけなんだろうなあ
そんなことを思いながら私は屋上から飛び降りた…
落ちていく中意識が遠のくー
「ねぇ、君、人生やり直したい?」
はっ!
聞き覚えのない男の声で意識が戻った
「え?!あれ、私死んだんじゃ…」
「うん、確かに君は今まさに地面に向かって落ちている最中だね!」
声の方に目を向けると、目を引くくらい端正な顔、艶のある黒髪の、私と同じ歳くらいの男の子が目の前に立っていた。
私…落ちているのに空中で止まっている…
部活動をしているみんなも同じ体勢のまま動いていない…
「…なんで?あなたは…?!」
「僕は『やり直し課!』簡単に言うと、自殺者に1度チャンスを与えて人生をやり直させてあげるのが仕事かな!」
「やり直し課…?」
「そう!いやーね、ここ何十年で自殺者が急増!本来なら寿命を全うしてくれたら死者の割り振り業務もスムーズなんだけど。自殺者が増えてからあの世も人手不足で忙しいのなんの。」
「はあ…」
「だからね、君たちのような未来があったはずの自殺者に、自分の戻りたい過去まで戻ってもらって、やり直して貰い、寿命を全うして貰おう!っていう僕達の部署が出来たのさ!
君は…やり直してみたいかい?」
「私は…」
じわっ…涙が溢れてくる
「本当は死にたくなんかない!!親も悲しませたくない!!だけど、もうここには私の居場所はないの!!!」
「へーえ、『ここには』でしょ?『過去』には?」
「過去にはもちろんあるよ!!!普通に友達もいて高校生活送ってたんだもん!!」
「じゃあ、戻ってみる?」
「本当にそんなことできるの?」
「もちろん!だから君の前に現れた!チャンスは1度きり。逆に前の人生のが良かった!と思ってももう戻せないし、次に自殺したら本当に君の人生はそこで終わる。
まあ、1度こうして死のうとしているし、後悔も迷いもないと思うけど。」
やり直し課の男の子は意地悪な笑顔で微笑んだ。
「やり直したい…戻りたい!!!5ヶ月前、10月2日に!!!!」
「あなたの要望、聞き受けました。」
その声と共にまた私の意識は遠のいていったー