梅雨のはじまり
まだ自然と人間が話せた時代のおはなし。
アメという女の子が在りました。でも人々はタイヨウという女の子の方が好きなようです。クモくんはタイヨウちゃんに、しょっちゅうちょっかいをかけては人々に怒られておりました。
アメちゃんは涙を堪えました。そんな日がずっとずっと続きました。
すると、大地は枯れて野菜などが育たずに人々は困り果ててしまいます。
「アメちゃん、泣いてよ。なんで泣かないの?」
人々は都合よくアメちゃんを咎めました。これにはタイヨウちゃんやクモくんも同情してしまいます。アメちゃんの心のなかで人々に対する「怒り」が湧いたとき、カミナリさまが言いました。
「感情に任せて思いっきり泣きなさい」
アメちゃんは堪えていた分の感情を全てさらけ出してわんわん泣きました。どうなったかは想像通りです。自分達の力を恐れた自然たちはカミナリさまの提案でアメちゃんが年に一度大泣きできる季節を作りました。それが「梅雨」です。