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贖罪の剣  作者: 金田 歩夢
第一章 旅立ち
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贖罪の剣

それから二ヶ月の月日が経ち、学校にも慣れてきた。俺は他の人よりも簡単に陰属性の内の『呪』を除く六属性を獲得した。リファは二つ獲得するだけでも、死ぬ程難しいと言っていたが、それは本当だと思う。恐らく、俺の潜在能力『万能人』の力だと俺は解釈している。さて、もうそろそろ朝を迎えそうだ。

「おはよー、、、。」

あれ?リファに元気がない。おかしいなぁ。

「おはよう、どうした?調子悪いのか?」

明らかにリファの顔色が悪かった。

「うーん、、。頭がズキズキして、関節が痛いし、身体が熱いの。」

風邪じゃん。

「じゃあ今日は寝てて。俺、ヨーコさんに伝えてくるから。」

そう言って、俺は足早にヨーコさんの居る一階へ駆け下りた。そして、事の次第を告げると

「わかったわ。リファのことは気にしないで、今日も張り切って行ってらっしゃい。」

と、ヨーコさんは優しく微笑んで言った。リファが風邪を引くなんて、今日は嵐かと思いつつ、学校に足を運んだ。


つまらん。授業がつまらなすぎる。最初は新しい出会いや、魔法が使えたりとか、色々なことがあり毎日が楽しかったが、慣れてみればこんなもの。何か真新しいことはないかな。と思い耽りながら淡々と時間が過ぎていった。とうとう下校の時間になり、やっと帰れると思ったその時、遠くから何か爆発したような音が聞こえてきた。爆撃音がした方向に視線をやると、明らかに家のある辺りが燃えている。嫌な予感がした。俺は急いで家に向かった。家に近づくにつれ、炎上している家屋が多くなってきた。


「着いた、、、。」

扉を開けるとそこには血塗れの獣人が剣を立てて膝をついている。

「ユーマか、、。すまない、、。ガフッ。守れなかった、、。」

ジャックの奥には血塗れの女性が一人倒れている。

「ヨーコさん!しっかりして!っ、、。クソっ!!『リペア』!」

ヨーコさんの傷がたちまち塞がっていく。が、ヨーコさんは目を閉じたまま動かない。

「っ!クソっ!、、、!?リファは!?」

俺は直ぐに二階に上がった。そこには腹を長い刃物で一突きされた少女が横たわっていた。

「リファ!!おい!起きろ!『リペア』!」

リファの傷は全て塞がったが、リファは冷たいままだ。

「なんでだよ、、、。ヨーコさんが、リファが何したって言うんだよ、、。」

俺は絶望した。心を閉ざしてしまった。

「ユーマ。本当にすまない、、、。俺は残りの賊を倒してくる。後は任せた。」

ジャックはそう言い、この場からすぐに立ち去った。俺は何も考えることができず、ただ一言

「あぁ、、。」

と、虚ろに呟いた。

平凡な日常に突然訪れた惨劇。俺はやるせない気持ちでいっぱいになり、後から怒りが込み上げてきた。すると、何処からか声が聞こえてきた。

『お前は復讐したくないか?』

俺はその声に反応し、辺りを見渡したが、人の姿は見当たらない。

『こっちだ、こっち。お前のすぐ横の壁にかけてあるだろ。』

俺は振り返った。そこにはあの呪われた剣が掛けてあった。

『私の名は贖罪の剣、お前の復讐が終わった時、私がお前の望みを叶えてやろう。』

何を言ってるのかあまり頭に入ってこなかった。ただ、剣が『復讐』という言葉を使ったことだけが頭に強く残った。そうだ、復讐だ。どいつもこいつも殺せばいいんだ。

「あぁ、、やるよ、、復讐する。お前の力を貸してくれ。」

『では、私を手に取れ。』

その言葉を聞き、一瞬ハッとした。リファのお父さんはこの剣に触れ、亡くなった。自分も死んでしまうのではないか、そんな心配が、不安が頭をよぎった。だが、今はそんなことよりも復讐することの方が重要だった。それで死ぬなら本望だったのかもしれない。「あぁ。」

贖罪の剣を手に取ると、ユーマの体を黒い靄が覆った。この世のものとは思えないほど暗く、禍々しい靄だ。刹那、その靄はピタリと止み、同時にユーマの目から光が消えた。

「誰に止められようと、俺は復讐を完遂する。それまで待ってて、リファ、ヨーコさん。」









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