AB型のやつ
「あなたの属性は『陰属性』です。」
(陰属性、、、。AB型のやつか。)
「そして、あなたのケイパヴィリティは万能人です。」
(ん?)
「ちょ、ちょっと待ってください。そのケイパ、、なんちゃらってなんのことですか?」
俺は初めて聞いた言葉に戸惑いを隠せなかった。
「ああ、ケイパヴィリティというのはですね。潜在能力のことを言います。私の潜在能力が『属性解析』であるようにあなたの潜在能力は『万能人』なんです。潜在能力は人それぞれで、この世には多種多様な潜在能力が存在するんです。」
なるほど。ゲームや漫画で言う異能力みたいな感じか。
「それで、俺の『万能人』ってやつはどういう能力なんですか。」
「わかりません。」
「え?」
スパッと言い捨てられた。
「私が分かるのは、陽陰属性と、潜在能力の名前だけですので。」
「いや、え?ちょっと待ってください。『万能人』だけじゃ分かりませんよ!」
「大丈夫ですよ。皆さん最初はそう言いますけど、最終的にはちゃんと使いこなせるようになりますから。」
「はぁ、、、。」
「あ、それとですね。潜在能力は魔法と違って、素質がある人や熟練度が高い人じゃないと発現しません。」
「なるほど。」
(素質か熟練度、、、。まだ使える代物ではないし、魔法を極めることに専念しようかな。)
そんなわけで、俺の属性解析は終わった。
その後はゴングの色々な場所を見て回った。役所や、商店街、学校とか。やっぱり日本とは違って、レンガ調に作られていたり、いたる所がまるで違った。学校に行くのが楽しみだ。しばらくして、リファの家の付近まで帰ってくると聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「お!そこにいるのはポランセヌさんのとこの嬢ちゃんじゃねぇか。なんだい、今日はデートかい?青春だねぇ。」
声の主はジャックだった。ライオン頭がニヤニヤしながら喋っている。
「違うわよ!ユーマは昨日この街に来たばかりだから案内してたの!あと、リファって呼んでよね。」
リファは頬を膨らませながらつんつんした口調で言った。
「ユーマ?まさか昨日会ったユーマか?なんだ、偉く出世したもんだな!昨日は右も左も分からないような奴だったが、翌日に彼女を作っちまうなんてよ。」
ジャックはガハハと大きい口を開いて笑った。
「だーかーらー!違うって言ってるでしょ!もー、からかわないでよね!ほんとに子供なんだから。」
怒っているリファはまた頬を膨らませた。
「あー、すまんすまん。おっと、俺は仕事があるから行かなくちゃな。またなー。」
ジャックはそう言うと足早にこの場から去っていった。
「ジャックっていつもあんな感じなの?」
俺はジャックが見えなくなってからリファに聞いた。
「そうよ!ユーマはあんな大人になっちゃダメだからね!」
なんか、お節介なおばちゃんみたいな口調でリファはそう言った。
その日の夜はリファに学校の制度について教えてもらった。
「そうねぇ、私の通ってる学校は勉強も頑張らなきゃいけないけど、魔法もちゃんと学ばないとダメなの。魔法は色んな職業に使われているからね。ユーマの陰属性はあんまり汎用性がない代わりに、攻撃性が強い属性だから警備員とか王国騎士になるのもいいんじゃないかな。」
(王国騎士、、、。漫画でよく見るヤツか。なんか危なそうだし、事務職とかに就いて安定した生活を、、、。いや、まずは元の世界に帰る方法を探さなくては。)
異世界2日目にしてもうこの世界に慣れてしまった自分に驚きながら、その日は床についた。




