ゴーグルの女の子
「この街の名前はゴング。ビルゼンツ連邦国の首都であるズレオネの中の一つの辺鄙な街さ。今日はビルゼンツができた日。つまり、建国記念日だ。だから皆どんちゃん騒ぎしてるってわけだ。そういえば、ユーマはどこから来たんだ?」
街の紹介からいきなり自分のことを聞かれたので少し驚いてしまった。
「えっと、、、。」
途端、言葉を詰まらせた。そういえば、日本なんて国はここにあるのだろうか。いや、絶対ないだろう。だとするとここは正直に答えていいものなのだろうか。だからといって、適当なことを言う訳にもいかない。
「えっと、、ニホン共和国、、です。」
考えても答えが出なかったので、なんとなく「共和国」をつけてみた。
「ニホン共和国?聞いたことがないが、、。」
ジャックは怪しそうにこちらを見つめている。頭がライオンなので、めちゃくちゃ怖い。
「まあ、国なんて色々あるからな。すまない。俺の勉強不足みたいだ。」
ジャックはガハハと大笑いして言った。ジャックの性格が大雑把なもので助かった。
「ということは観光か?あんまり聞かない国ってことは遠くから来たんだろ?まあ、ゆっくりしていけよ!」
そう言うと、ジャックは去っていった。そして、僕はまた路頭に迷ってしまった。すると、一人の女の子(齢は俺と同じくらいだろうか、人間と同じ見た目をしている)が話しかけてきた。
「ねぇねぇ君!今ジャックさんと話してたよね?どういう関係なの?」
小さい頭にめちゃくちゃどデカいゴーグルをつけている。
「いや、今さっき会ったばっかりだよ。」
学校では女友達も別に少なくなかったので、割と緊張せず話すことが出来た。
「ふぅーん、そうなんだ。あ、自己紹介遅れたね。私はリファ。リファ・ポランセヌよ。目の前の酒場が私の家。そういえば君おかしな格好してるね。もしかして他の国から来た人?」
ま、まずい。またこの質問だ。ジャックとの話を合わせるために一応ニホン共和国と言っておかなければな。あと、ずっと学生服だったの忘れてた。
「ニ、ニホン共和国だよ。ずいぶん遠いから知らないと思うけど、、、。」
リファはジト目でじーっとこちらを見てくる。
「そんな国あったかしら。まあ他国から来たってことは観光?こんな辺鄙な街に宿なんてそうそうないわよ?」
え!?そうなの!?
「え!?そうなの!?」
心で思っていたことが口に出てしまった。流石に泊まる所くらいはあると思っていたが、考えが甘かった。
「えっと、、、。この辺りに泊まれる場所ってないかな?」
微かな期待を込めて聞いてみた。
「ないわ。あるとしてもここから数十キロメートルも先よ。」
やっぱり。どうしよう。数十キロメートルを歩いたらどれほどの時間がかかることか。 もう空が薄紅に染まってきている。
「そうだ!うちに泊まっていきなさいよ。外国の友達が欲しかったの!ちょっと着いてきて!」
着いてくるも何も腕を引っ張られているのだから着いて行く他ない。そして、僕は目の前の酒場に入った。