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贖罪の剣  作者: 金田 歩夢
第一章 旅立ち
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旅の始まり

ユーマは家から出る前に、もう一度二階に上がり、リファがいつもつけていたゴーグルを取ってきた。

(復讐が終わるまで、どのくらい掛かるかわからないけど、終わるまでの間、リファとヨーコさんのことを一時も忘れないために、俺はこのゴーグルをつけよう。)

ユーマはそう心の中で呟きゴーグルを額の上に装着した。

『準備は整ったか?』

贖罪の剣が問いかける。

「あぁ、完了した。」

ユーマは間髪入れず答える。

『お前はまだ、経験値が浅いと見た。そこで、少しの間お前の体を私が借りる。私はお前の「復讐しなければならない相手」がわかる。たとえ、お前自身が認識していなくとも、私の能力で自ずとわかるのだ。いいか?』

長ったらしく説明されたがユーマの頭には何一つ入ってこなかった。

「お前に任せるよ。」

ユーマは復讐のことしか頭になかったので、そう答えた。

『了解した。では、いくぞ。』

ユーマの周りを、またあの靄が覆った。

「『さて、奏でよう。呪いの鎮魂曲(レクイエム)を。そして、降らせよう。断末魔の雨を。』」

ユーマと贖罪の剣は村を襲った輩の残党を殺すべく、街に繰り出した。



「チッ!埒が明かない!何人いるんだ!?」

ジャックは残党の討伐に苦しんでいた。手負いであった上に、多勢に無勢であった。

「クソ!ジリ貧だ。一か八か、大魔法を使うしかない!」

ジャックは敵の一瞬の隙をつき、残りの僅かな体力を振り絞って大魔法の準備をした。

「燃え尽きろ!獄炎大竜巻!」

火災旋風のような炎の渦が、残っていた賊の全てを飲み込んだ。

「グフッ!やはり、ここまでか、、、。」

ジャックは吐血し、その場に蹲った。

ザッ、、ザッ、、ザッ、、。

その時後ろから足音が聞こえてきた。

「まだ残ってたのか、、、。クソ!動け!俺の足!俺の腕!」

ザッザッザッザッ。

足音は段々早くなり、近づいてくる。

「クソッ!動けぇぇぇ!!」

ジャックは残りの体力を振り絞り、振り向きざまに剣を振った。

ガキィン!

金属と金属が激しくぶつかり、甲高い音が空に響き渡った。

「止め、、られた、、。」

ジャックは自分の剣を止めた剣の主を仰ぎみた。そこには、ユーマの姿があった。

「危ないな!もう少しで首が落ちるところだったじゃないか!」

ジャックはユーマの顔を見た途端、急に疲労が彼を襲いその場に倒れてしまった。

「おい!ジャック!しっかりしろ!リペア!」

ジャックの傷は全て完璧に塞がった。だが、ジャックは体力が底を突いていたので、深く眠り込んでしまった。



「、、んっ。ここは、、。」

ジャックが倒れてから数時間後、目を覚ました。

「ジャック!よかった。立てるか?」

ユーマがジャックに手を差し伸べる。

「ああ、ありがとう。そして、、、。すまなかった、、。お前に辛い思いをさせた。」

ジャックは涙を流してユーマに謝った。

「よしてくれ、悪いのはジャックじゃない。むしろジャックは仇を討ってくれたじゃないか。」

ユーマは顔をしかめながら言った。その時ジャックはユーマの目に光がないことに気がついた。

(ユーマの目に光がない。泣きすぎて乾いたのか、はたまた闇に心を呑まれてしまったのか。)

「ユーマ。お前はこれからどうする。行くあてはあるのか?」

ジャックはユーマを心配し、問いかけた。

「俺は奴らに復讐する。罪を贖わせるのさ。」

ユーマはきっぱりとそう言った。

「どんな集団かわかっているのか?お前一人では手に負えんぞ。俺はもう誰も失いたくない。どうしても行くというのなら、俺を倒してから行け。」

ジャックが真っ直ぐな瞳でユーマを見る。

「容赦はしないよ。」

こうして、ユーマの復讐の旅が始まるのであった。


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