はじまり
はじまり
「今日で十二人目か、、、。」
柊 優真は紅に染まっていく短剣を持ち、冷淡に呟く。
「俺は成し遂げる。この世に安寧が訪れるまで。」
俺は元々普通の男子高校生だった。あの日も俺は友達と一緒に帰っていた。友達と別れた後、少し時間があったので俺はいつもと違う道で帰ることにした。右へ曲がり、左へ曲がり、路地裏を抜けると、そこには見たことの無い光景があった。獣人が徘徊し、俗にモンスター呼ばれる様な人間の形とは程遠い形状の者が、一見人間に見えるようで少し耳の先が長い種族と楽しそうに会話している。
(夢でも見ているのか?)
必死に目を擦る。頬を抓ってみる。駄目だ。俺はこれが夢なんかじゃないとすぐに理解した。すると、ライオン頭の獣人が話しかけてきた。
「よう!ここらでは見ない顔だなぁ。今日は祭りなんだからしっかり楽しめよ!」
俺はまだ整理がつかなかったが、なにか情報を得た方がいいと思い、ここに初めて来たということをライオン頭に伝えた。
「なんだ、道理で見ない顔だと思ったぜ。俺の名はジャック・リオン。ジャックって呼んでくれよな。」
人間でいうと歳は四十歳といったところ。彼の立ち姿にはベテラン戦士の風格があった。
「俺は柊 優真って言います。えっと、、、。よろしくお願いします。」
何故か固くなってしまった。まあ初めて獣人と話したのだから無理もない。
「ヒイラギ ユーマ?じゃあユーマって呼ばせてもらうぜ。まずはこの街を案内しよう。着いてこい!ユーマ!」
ジャックは気合いの入った声で俺に言った。ここから俺の冒険が始まった。