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003「性格」

「なーんか、変な感じだな。このあいだまで佐久間姉ちゃんって呼んでたのに」


 茄子と挽き肉の和え物を箸で口に運びつつ、タンクトップの上に黒い長袖のシャツを羽織ったカオルが呟いた。


――入籍して引っ越してきてから、まだ一ヶ月も経っていないものね。違和感があるのも、仕方ないわ。


「そうね。私も、みんなからカスミさんって呼ばれるのは、まだ、ちょっと恥ずかしいです」

「だろう? まぁ、もうしばらく続いたら、慣れてくるのかもしれないけどさ」


 カスミが吸い物の入った椀から口を離して言うと、カオルは白飯をひと口食べながら言い、次いでイサキの塩焼きに箸を移して口に運びつつ、話を続ける。


「やっぱり料理上手だな。焼き加減も、塩加減も、ちょうどいい」

「ありがとうございます。でも、焼きたてじゃないんですよ、それ」

「朝に焼いたんだろう? 冷めても美味しさをキープできるかどうかが、料理の腕なんだよ」

「そうかしら?」

「そうだよ。出来立ては美味しいのに、冷めたら不味い料理を出すのは、料理人(シェフ)として半人前さ」

「そうかもしれませんね。お店でお客さまにお出しするなら、そういう料理ではいけないでしょう」

「そうそう」


 カオルは共感するカスミに同意すると、吸い物をひと口啜ってから、やや声のトーンを落しつつも、努めて明るく振舞いながら続ける。


「父さんと母さんが事故で亡くなってから、五人で交代に料理を作ってたときは悲惨だったんだ」

「あら。どんな料理が出来上がったんですか?」

「ヒカル兄ちゃんはカレーを作ったんだけど、野菜が大きすぎて煮込めてなかったし、トオル兄ちゃんはポトフを作ったんだけど、レシピ通りに完璧に作ろうとして夜遅くまで出来上がらなかったし、マサルは揚げ物を作ったんだけど、一度に大量に作りすぎて向こう三日は揚げ物続きだったし、サトルは、そもそも手料理を作ろうとせずに、インスタント食品を買って来た」

「まぁ。それぞれに性格が出てるわね。カオルさんは、何を作ったんですか?」

「俺か? 俺は……。――悪い。ちょっと席を外させてくれ」


 そう言って、カオルは食卓に置いていたスマホを手にすると、ブーンブーンとバイブがなっているそれを片手で操作して通話を始めつつ、廊下に出て行った。

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