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そういう話の物語 (初稿 / 一気読み版)  作者: やまなしいずみ
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第四部 とりとめのない物語

リサ・セイバースの話の後日談大会。とりとめのない会話の連続による小品集です。尚、最後には主要キャラの簡単な説明もお付けしています。

◎第四部はじまり。




※ついで、その1



「私がカウンターナイトにですか?」

マリアが驚いた表情をみせた。


「おいヘレン。カウンターナイトはデューカーナイトと違って二人一組のはずだけど大丈夫なのか」

「ひとりくらい増えてもいいだろう。大丈夫大丈夫」

「いやおかしいぞ。それに戦時に増やすならともかく今は平時だ。しかも平時は役に立たない存在といって、こっちの世界に住み着いたのはヘレンだぞ」

「硬いこと言うなよ。それに腕は確かだ。このまえ立ち合ったが、かなりの腕前で驚いたよ。特に手首の柔らかさとその使い方は絶品だ」

「またかヘレン。もう、いつのまに……。しかしほんとうにいいのか?」

「ああ、マリアさんの分のドライストレーターや甲冑もちゃんとあるしな」

「それって、ひょっとして予備においてあるというあれか?」

「そうだけど」

「そうだけどじゃないぞ。だいぶ埃ほこりをかぶってたみたいだけど機能するのか、あれは」

「このまえサムに点検してもらったけど問題なしだそうだ。しかしあいつ凄いぞ。ちょっとみただけで、甲冑はもちろん、ドライストレーターの性能もすべて分かりやがった。これで何かあってもいちいちグラーヴェに戻らなくてすみそうだ」

「と、ヘレンは勝手に言ってるが。マリアさん、どうする、受けるか?」

「私はお受けしようと思っています。カウンターナイトのことはいろいろと他のみんなからも聞いています。ただナイトというとかなり高貴で格式が高いものだと思うのですが、それほどの役が私につとまるでしょうか?」

「そこにいるヘレンがつとまってるのに、王族の親衛隊だったマリアさんがつとまらないわけはないと思うけど」

「ローラ、それはないぞ。私だって出るとこにでればちゃんとしてるだろう。あとナイトは別に高貴で格式が高いものではないぞ」


「えっ?」


ヘレンの言葉にポカーンとするマリア。


「まあ、たしかに表向きはそうかもしれないが、戦闘時しかありがたがられないからな、あれは。むしろ親衛隊の方がよっぽど高貴な気がするけど」

「そうなんですか?」

「まあヘレンはああ言っているが、戦時になるとグラーヴェ大教典会の最高位者である、『神皇』様と同等の指揮権を発動できるくらいの力は有しているけど」

「なんか凄そうですね」

「戦時での話だ。平時は何の力も無いさ」


「ローラさん。ヘレンさんはさっきからやけに自虐気味な気がするのですが」

「グラーヴェでは他にもいろいろとナイトが存在しているが、多くのナイトは一般市民に尊大すぎるのがヘレンは不満なのさ。なので平時になると市民はナイトを煙たがり、戦時のみ崇め奉る。その落差もまたたまらないのさ」


「まあ、どっちもどっちなのかもしれないが。さてと、あまり聞かせたくないことまで聞かせちまったけど、どうする? まあ、腹割って話すと、じつは以前ローラと分断されて、けっこうえらい目にあったことがあるんだ」

「シャピロという獣魔との戦いのことですか? リサに聞いたことがあります」


「知ってたのか。だったら話が早い。あのときもうひとりカウンターナイトがいれば、少なくともどちらかはペアが組むことができたし、そうなっていれば、その後にあったいろいろとめんどくさい展開も起きなかったはずなんだ。なので二度とそういうことが起きないように、ぜひマリアさんに三人目のカウンターナイトになってほしいんだよ」


「そういうことか。ヘレンにしてはなかなか頭のまわった考えだな」

「おいおいそれはないぜ。で、どうかなあ」

「わかりました。ありがたくその任を受けさせてもらいます」

「そうか。いやあ助かるわ。じゃああらためて自己紹介だ。私はヘレン・コースデール。ヘレンでいいぞ」

「ローラ・リーペンフロックだ。私もローラでかまわない。よろしく」

「元メシエ王室親衛隊筆頭副隊長マリア・シュピーゲル。マリアでけっこうです。こちらこそこれからよろしくお願いします」


そういうと三人は固い握手を交わした。


「しかし、これでカウンターナイトは長い髪の女には勤まらないという風説がようやく払しょくできる」

「ヘレン、まさかほんとうはそれが理由で」

「んなわけないだろう。確かに私はいろいろ言われてはいるが、さすがにそこまで酷くはないぞ」

「いや、誰も別にいろいろも酷いも言っていないが」


マリアは二人のやりとりに笑いだしそうになるのを必死にこらえていたが、このときビルバゾを発つときにリサの言っていた言葉を思い出していた。


(あのときリサが「私にしかできない事がこっちの世界にはある」と言っていたのはこのことだったのかもしれないな。人生、生きてみなければわからないものだ。

 マーガレット様。私はこちらの世界で今までの償いも忘れず、これからを頑張って生きていきます。ウィントン様と末永くお幸せに。そしてウィントン様。マーガレット様をよろしくお願いいたします)


こうして三人目のカウンターナイトが誕生した。




※ついで その2の1



「リサ・セイバーズ。1800年5月18日に吸血鬼の名門七大貴族のひとつ、序列四位のセイバーズ家、その末っ娘すえっことして生まれる。10歳の時数百年に一度しか出現しない「アルティメット・ヴァンパイア」である事が判明、当時のしきたりで処刑されるはずだったが、二人の兄の懸命の除名嘆願により処刑は免除。ただし他の貴族や魔族会議の元老たちの命で、ウィーン近郊の修道院に十年間ほど奉公に出される。このときベートーヴェンと遭遇。その後パリの教会で十年、プラハの教会で十年、さらにヨーロッパ各地の教会で長期間奉公を勤める。


1850年頃に教会での奉公活動の終了を魔族会議により許され城に戻るが、アルティメットの特長のひとつである、髪が長く伸びない事が、女性吸血鬼は髪の長さがすべてという伝統的価値観のため、同年齢のヴァンパイアから除け者にされてしまい、引き籠りとなる。


そんな時、偶然目にした日本の絵巻物で日本に興味を持ち1863年に日本に留学。 京都で竜王寺弥太郎や茜と出会い親交を深める。


ただこの時仄かな恋心を抱いていた弥太郎が数年後親友の茜と結婚した事と、明治政府からかつての五銭組壊滅の手腕を買われ、長期に渡る極秘重要任務を懇願されたため竜王寺屋を離れる。二人には帰国すると伝えるが実際は蝦夷や樺太での派遣任務についた。


1881年明治政府との契約が終了。竜王寺屋には寄らずそのまま日本を離れアメリカ経由で帰国。明治政府からの莫大な給金や報奨金もあってアメリカやヨーロッパの旅行を満喫。。


帰国後しばらして自分探しの旅に出る。途中ジャック・ゼルマと会い、告白をされるが受ける事なく分かれ、その後家に戻る。


1923年に、地球に初めて来たサム・オイレンシュピーゲル・ステープルトンと偶然邂逅。二人で世界各地をサムの持って来た小型飛行艇で旅行する。途中第二のスペイン風邪の流行を察知、未然に防ぐ。その後日本で関東大震災が起きた事を知り、急遽サムとともに日本に向かう。弥太郎と茜が行方不明という事を知り、サムの持っていた探査装置や自らの魔術等で捜索するも、その消息をついに掴む事はできなかった。サムはその後宇宙に帰るが、リサには深い後悔の念が残り、再度引き籠り生活に入る。


1938年サムが再び来訪。二人でワールドシリーズを観にサムの飛行艇で渡米。その後北米大陸をいろいろとみてまわるが、その途中で「宇宙戦争」放送事件に遭遇。このとき「宇宙戦争」とまったく同じような異星人が出現、実際に地球を攻撃しようとしたが、リサがかつて第二のスペイン風邪にかかりその抗体を持っていたことから、それを利用しサムとともにこの異星人を撃退する。このときの活躍でサムから名家の証ともいえる自らの姓「ステープルトン」の名前を名乗る事を許される。


1950年にセイバーズ家のある国で戦争が起きる。自ら麓の村の男性の代わりに徴兵に応じ戦地に赴く。翌年戦争が終結し帰国するが、戦争の悲惨な現状を経験したことによりまたしても引き籠りとなる。


1964年.日本で前年から放送されていた「鉄腕アトム」をみてアニメにハマる。その後完全にアニオタとなり、別の形の引き籠りになる。


21世紀。再度日本に留学し、リトルヨコハマに滞在する。弥太郎と茜の子孫、竜王寺要をはじめ、悠木薫、ローラ・リーペンフロック、ヘレン・コースデール等と親しくなる。後日三度目の地球来訪をしたサムと、一緒に地球に来たジュン・ハミルトン、さらに並行世界から来たマリア・シュピーゲルもその環に加わる。


現在レプシュール女学院に転入し、そのときはじめてサムからもらった姓を使い、リサ・ステープルトンを名乗る。セイバーズという名前が吸血鬼の名門であるため素性を知られないための改姓。尚、学校では下級生に自分のFCができるほどの人気者となり、外を歩けばかならず芸能プロからスカウトされるが、本人はアニメのイベントや聖地巡礼に忙しく、完全なオタク生活に染まっているため、それらはエサに釣られないかぎり原則断っている。


アルティメット・ヴァンパイアのため、太陽光や十字架、それにニンニクにも耐性がある。金髪碧眼で背が高くスタイルもよく、短い髪型と精悍な顔つきの為男性と間違えられる事が多い。剣の使い手だが体術も心得ているせいか、持ち前の圧倒的なパワーで相手を組み伏せてしまう事が多くあまり剣は使わない。また生まれつきかなり高度の魔術も使えたため「全能の魔術師」の二つ名ももっている。ただし魔術で呪文を唱えるより先に手や足が出てしまうため、魔術師としてのそれを披露する機会があまりない。尚、吸血行為は「血の味が不味くて嫌い」という理由で行っていない。好きな食べ物は「あんこう鍋」「干し芋」「のっぽパン」「風月堂のゴーフル」それに「鳩サブレ」。なお、原則何でも美味しく食べてしまうが、「餃子」だけは、かつて食した時に両親からこっぴどく説教されたためそれからは食していない。独身。


……と、こんなところでどうだ」


氷美華が聞く。



「なんでそんなにいろいろと細かく書くんですかあ」

リサは長椅子に腹ばいになって枕に顔を埋めながら答えた。


「まあ、お前がいつかLYPに入る時には、いろいろと審査とかあるだろうからな。それ用だ」

「そうなんですかあ」

リサはとても気だるそうだった。


「しかし最初の日本行ってこれ留学なのかあ? あとお前のこれまでは、旅に出てるか引き籠ってるかのどっちかだなあ」

「ほっといてくださいよお……」

「なあ、リサはいったいどうしたんだ」

氷美華が要にたずねた。


「リサ、昨日学校のみんなと海に行って、そのあと肝試しやったんです」

「いいなあ、青春してるなあお前たち。それで」

「リサなんかプロポーション抜群だから海岸でも目立ちまくりで、もう男性からガンガンアタックされちゃって」

「そうか水着になれば女とすぐわかるからなあ」

「そこまでは別に問題なかったんですけど、そのあと本人かなりテンパっちゃって」

「テンパったあ? リサがか」

「リサ、肝試しがダメらしいんです。お化けとかがまったくダメで」

「天下のアルティメット・ヴァンパイアがお化けが苦手? なんだそりゃ」


するとリサは身体を半分ほど起こすと、


「ダメに決まってるじゃないですか。僕、お化けや幽霊ほんとダメなんです。あいつら蹴りやパンチも聞かないみたいだし、話だって『うらめしや』とか『この恨み』としか言わないから、全然何考えてるか分からないじゃないですか。雪女や狼男とは次元が違いますよ」

「そうなのか」

「そうですよ。僕、『牡丹灯篭』とか『耳なし芳一』をはじめて読んだ時、怖くてしばらくひとりで夜に外へ行けなくなったんですから。もし夜が苦手なヴァンパイアなんてことがみんなに知られたら、それこそ馬鹿にされちゃいますよ」

「そりゃそうだな。よし。じゃあ今度お前の全身にくまなくお経を書いてやるよ。ちゃんと耳にも」

「えっ?」

「あっ、なんかそれ色っぽい。ちょっとみたいかも」


要が意地悪そうに笑うと、リサはちょっとふて腐れた表情で


「もう、みんな他人事だと思って……。もしそんなことしたら、僕、氷美華さんの全身の血、一滴残らず吸っちゃいますよ」

「それは困るなあ。最近肩がこるんで、そのあたりだけにしてくれないか」


リサもさすがにこれには返す言葉もなく、また枕に顔を埋め長椅子の上に寝そべった。


「ところで要、さっきから気になってたんだがどうしたんだその眼鏡」

氷美華がたずねると


「これですか? リサが『高いところが怖くなくなる』術式を埋め込んでくれた眼鏡なんです。人には直接かけられない術式なので眼鏡にかけてくれたんですけど」

「それで調子はどうだ?」

「はい、なんとか。いつもよりは安心して飛ぶことができるみたいです。あとは馴れですね」

「よかったじゃないか。ローラがけっこう要のそれを気にしてみたいだからな。そういえばお前たち、今度修学旅行があるみたいだけどどこに行くんだ?」

「京都と奈良です。特に京都はとても楽しみなんです」

「京都はリサが日本に初めて来たときに住んだところだったな」

「そうなんです。京都に行ったらリサが当時のことをいろいろと聞かせてくれるって。もちん弥太郎さんや茜さんのことも」


(ほお、リサはだいぶ吹っ切れてきたようだなあ)

あいかわらず寝転んでいるリサの方をみながら、氷美華は少し柔和な顔つきになった。


「それはそうと審査書にあった『竜王寺屋』のことなんだが」


氷美華は急に二人にたずねた。二人はなんだろうという顔で氷美華の方をみつめた。


「さっき幕末の頃から京都にあるといわれている古い屋敷が、『竜王寺屋』という名前の店だったいうニュースがあって……」


「えっ!」


リサは突然にしてあまりに信じられない話に長椅子かから飛び起きた。要も同様に驚きの表情を見せた。


「なんでもほぼそのままの形で残ってるってという話だ。このニュースなんだが……」


そういうと氷美華はスマホの画面にそれを出して二人にみせた。


「あっ! これです。間違いなく竜王寺屋です。でもでもなんで? ちょっと信じられないというか……、だってあそこは禁門の変のどんどん焼けですべて焼けたって。弥太があのときそう言ってたし……」


「おそらくそれは弥太という人の勘違いだ。たしかに竜王寺屋の付近一帯はかなり燃えたらしいんだが、なぜか竜王寺屋の敷地だけ焼け残り、周りで家を失った人たちが空き家になってたそこに住みつき、以降とても大切に使っていたらしい。ただ看板とかが無かったので、そのうち名前が忘れられ、ただの正体不明の古い屋敷として今日に至ったとか。それが最近畳の張替えをしたら、そこにその屋敷の名前が書いてある床板がみつかって、それでようやくそこが竜王寺屋と分かったらしい」


「そういえばあのとき、看板とか店の証あかしは江戸に行く時、みんな弥太が持って行ったからなあ。江戸で『竜王寺屋』を再興するんだといって」


「それにしても記事をよむと、驚異的に保存状態がいいと書いてあるけど、ずいぶんしっかりとした建物だったんだなあ。それとも防災上の何か仕掛けとかがあったのか?」


氷美華のその言葉に、


「あっ!」


それを聞いたリサが思わず叫んだ。


「思い出した。五銭組と戦う前、竜王寺屋に火をかけられないようにと巡らせた防災陣。解くのすっかり忘れてた」

「なるほど、だから大火だけでなく、地震や風雨に長年晒されながらもこんなに綺麗なのか。しかしさすが全能の魔術師。一世紀以上効力がある魔術を使えるなんてたいしたもんだ」


氷美華はそう言うと思わずリサの頭を撫でた。


「あはは、やめてください。恥ずかしいですよ」


リサは照れ笑いをしながら頭を撫でられていると、



「リサ」



要が後ろから呼びかけた。


リサが振り返ると、要が少し目を潤ませながらリサの方をまっすぐにみつめていた。



「ねえ、リサが初めて私にあった時こういってくれたの覚えてる? 『僕は君に話したいことがたくさんあるんだ。すぐには信じてもらえないだろうけど、でもそれは君にとっても僕にとっても、とてもとても、ものすごく大切な話なんだ』って」



「ああ、もちろんだよ」




そう言うとリサは今まででもっとも美しい笑顔を要にみせた。




※ついで その2の2



リサの部屋にて。ヘレンが例のリサ審査書を何故か読んでいる。


「えっ、リサ、お前ベートーヴェンに会った事があるのか」

ヘレンの声がひっくり返った。


「そうですけど、急になんですか」

「いや、ここにそう書いてあったから、ちょっと聞いてみたんだが」

「ああそれですか。そこにも書いてあるように、僕、小さい時に教会に奉公に出された事があるんですけど、最初にいったそこがウィーンに近くて、それでたまに彼に会ったんですよねえ……、ってなんでヘレンさんが僕のそれを読んでるんですか!?」

「あっ、これか? このあいだ氷美華の部屋でそれを偶然みかけて、面白そうなので読ませてくれっていったら、あいつあっさり貸してくれたぞ」

「えええっ! 何ですかそれ。これじゃあ個人情報駄々洩だだもれじゃないですか」

「普通はダメだけど、将来手合わせする相手なんでよく知りたいからっていったら、特別にって」

「手合わせなんかしませんって、もうあれほど……。氷美華さん、ザルすぎます」

「そんなことよりどんな奴だった。ベートーヴェンは」

「そんなことよりって……もう……。 僕がみかけたときは、いつもコートの襟を立てて、しかめっ面しながら物凄く速足でもくもくと歩いてましたけど」

「ピアノとか指揮してるとことかは聴いたり見たりした事はないのか」

「コンサートのある時間はいつも教会にいたから、それはなかったです」

「ああ残念。どんな演奏してるか聞きたかったなあ。それで他に有名どころではリサは誰と会った事があるんだ」

「新選組の人たちとか、ワイアット・アープ、それにデビュー前のアーサー・コナン・ドイル。それと後から描いていた絵で分かったんですけど、ヴァン・ゴッホとか」

「まるで世界史の一いちページをそのまま聞いてるみたいだなあ。そういえばリサ、このまえその世界史を勉強してたみたいだけど、中間試験どうだった?」

「いきなりそっちですか? 結果はまだ返ってこないんでわからないですけど、手ごたえは可も無し不可も無しみたいな。ただ数学や情報はちょっと拙まずったかなあ」

「そのあたりはあんまりヴァンパイアには必要ないからなあ」

「ですよねえ」

「あと部活はけっきょくどうしたんだ。一応必修だろ」

「放送部に入りました」

「目指せ、声優。だろ」

「あたり! やっぱり分かります?」

「入るとしたら演劇か放送かどっちかとは思ってたんだよなあ」

「いちおう将棋も考えたんですよ」

「お前できるのか? そういうの」

「以前弥太に教えてもらったんです。けっこう強いですよ。最後の頃は敵なしでしたから」

「だったらネットでやってみたらどうだ。けっこう強いのがいるみたいだぞ」

「それいいですねえ。いっちょもんでやりますよ。ヒカルの碁みたいに」

「自信満々だな。ところでリサ、またいきなり話を戻すけど、初めて日本に来たときってどうやって来たんだ。まあ船というのは分かるけどヨーロッパからだとたいへんだっただろう」


リサがヘレンにその事を話そうとしたとき、そこに要がやってきた。そしてヘレンがリサの昔の話を聞いている事を知り、話の環に加わった。


「じつは日本に来るとき、最初にイギリスによって、それからアメリカ経由で行こうと計画したんです。とにかくニューヨークを一度みてみたいと思って。なのでしばらくロンドンにいた後、船で大西洋を渡ってニューヨークへ。それから鉄道と馬車を何度も乗り継いで西海岸のサンフランシスコ。でもけっこうたいへんだったなあ。しかもアメリカは南北に分かれての戦争の真っ最中。最初のアメリカはそんなこんなでゴタゴタばかり。けっきょく何も見物できずにそのまま船で日本へ……、みたいな感じです」


「まだあまり鉄道が無かった時代かあ」

「とにかく馬車! きつかったあ~、特にお尻。もう痛くて痛くてたまらなかったです」

「じゃあ日本に着いたらホッとしただろう」

「もう、当分船にも馬車にも乗りたくない、っていうかんじ」

「たいへんだなあ。で、日本にはどれくらい結局居たんだ?」


「ざっと二十年くらいかなあ。ただ弥太や茜と一緒にいたのは最初の五年くらい。その後は明治政府に極秘で長期派遣の仕事を頼まれたので、けっこうあちこちに行かされました。途中からはほとんど北海道でしたけど。最初は断ってすぐ帰国しようと思ったんですけど、お給料がとてつもなくよかった事と、交通、宿泊、飲食、その他経費をすべて政府がもってくれるというんで受けちゃいました」


「金目当てかあ。リサにしちゃ意外だなあ」

ヘレンはあごに人差し指をあてながら首をかしげ「?」という表情をした。


「あっ、ヘレンさん、今のその仕草ちょっと可愛いです」

「そうか。ちょっとこのラインでやってみるか。じつはローラと違って私は色気がないから、今、いろいろとそれにかわる「売り」を考え中なんだよ」

「へえ……って、あっ、ごめんリサ、話続けて」


「実際お金目当てでしたし、当時どうしてもまとまったお金が必要だったんです。じつはこれはそこにも書いてないし、初めて人前で言うんですけど、自分たちが住んでいた城がかなり老朽化していて、遅くとも1900年頃迄にはリフォームする必要に迫られてたんです。でもけっこうその経費がバカにならなくて。なのでそれを稼ぐことも日本への留学の理由のひとつだったんです。当時日本は黄金の国とも言われていましたから。これ、父上から口止めされているので絶対黙っててくださいよ」


「うん、そこはしっかり守るから安心して。そっか、そうだったんだ。聞いててリサが竜王寺屋を出てから妙に日本に長くいて、ちょっと不思議な気がしてたけど」

「私も口は堅いから心配するな。それにしても二十年とはけっこう長く居たんだなあ。しかしお前を溺愛していたという二人の兄貴はよく耐えきったなあ」


「年単位で離れることは最初からわかってたので、日本に行く時『通信箱』を置いて行ったんです。こっちで手紙を書いて、それにある呪文を書き込むと、遠く離れた所でも個人所有の『通信箱』にすぐ届くという便利物。もうほぼ毎日書きましたよ。まあ兄貴たちも手紙を書いてくれたけど、あっちは船便だから数か月に一度来るか来ないかだったですけどね。ただ来たら来たで、もう『いつ帰ってくるんだ』の連続。あれにはまいりましたよ」


「だろうなあ。それじゃあ帰るときは急いで帰ったのか?」


「ぜんぜんです。だって来る時はアメリカとか全く見れなかったから、帰りはゆっくりといろいろ見て帰ろうと思ってて、戦争ももう終わってたし。で、サンフランシスコについてあちこち見て回ろうと思った時、乗る馬車を途中で間違えて、アリゾナのツームストーンに行っちゃったんです。そしたら町全体がなんかピリピリしてて変だなと。そしたらいきなり翌日撃ち合い。もうビックリ」


「アリゾナのツームストーンって、まさかOK牧場の決闘?」

ヘレンがいろめきたった。


「そうそれ。もうたいへん。その前日かな、アープに会ったのは。僕もこの撃ち合いにはじつは一枚かんでるんですけどね」

「マジか」

「マジです。で、そのあとはニューオリンズ、アトランタ、ワシントンによった後、そこから北上して五大湖やナイアガラの滝までみてからニューヨークへと、とにかくあちこち見ながらの大回り。ただこの頃は大陸横断鉄道も開通してたし、前来た時よりはずっと移動は楽。馬車もそれほど使わなかったし。日本にいる間にほんとうにアメリカは変わりましたよ。特に交通機関は」


「いいな、ちくしょう。私もいつか北は北九州から南は南北海道まで旅行するか」

「ヘレンさん、それ、『頭の爪先つまさきから足のてっぺんまで』と言ってるのと同じなんですけど」

「ん、そうなのか? まあそれはいいけど、他はどうだった」


「そういえばそこで初めて野球をやりました。そのときはもう廃止されていたんですけど、女子野球のプロチームが数年前にあったらしくて、そこにいた人たちとちょっと。僕がピッチャーやったら男子のプロ選手より球が速いって、けっこう驚かれました」


「もう少し時期が早ければプロ選手になってたかもな」


「はい、それは言われました。ただそれで変に歴史に名前が残っちゃうのも拙いかなと。まあ、そんなこんなでいろいろとアメリカを満喫した後、翌年の初夏にニューヨークを船で出た後大西洋を渡ってロンドンへ。そこで着いたその日に、アメリカに行った時に同じ馬車に乗っていた人と偶然会って、それでその人に連れられて、そのまますぐポーツマスへ行って……」


そこまで聞くとヘレンが驚いた表情で、


「おいおい、なんでいきなりポーツマスへ。たしか百キロはロンドンから離れてるはずだけど」

「はい、そうですけど、よくすぐに分かりましたね。ヘレンさんはグラーヴェの人なのに、けっこうこの世界の地理や歴史に詳しいのビックリです。さっきはちょっとあれでしたけど」

「あれって何だ? まあ、だてに毎日大学に通ってないからな。コンパやナンパにあけくれてる軟弱野郎とは違うし、平時とはいえ私も一応はナイトだからな」

「一応って……、でもヘレンさん、そういうところけっこう真面目なんですね」

「そういところはってなんだよ。私はいつも真面目だぞ。だから今でもリサと立ち合う機会をずっとうかがってだなあ……」


「はいはいわかりました。それでさっきの話の続きですが、じつはその人とさっきの馬車に乗っていた時に盗賊に襲われ、僕が撃退した事があったんです。それでそのとき助けてくれたお礼にということで、一週間後ポーツマスからオランダのハーグに行くその人所有の客船にタダで、しかも特等室に乗せてくれるというんでそれで」


「リサは、ほんと知り合いの輪を広げるよね」

「それは我ながら思うよ。で、船が出航するまでポーツマスに居た時、医者のくせに小説ばかり書いてるという変わった人がいると紹介されて、それがあのコナン・ドイル」

「えーーーーーっ! 何それ。ねえねえ、そのときシャーロック・ホームズの事とか言ってなかった、リサ!」

「どうしたの? 要、いきなり」

「ははあん。要、ひょっとしてお前シャーロキアンだな」

「あっ、それでマリアさんの時、あんなにいろいろと推理してたんだ」

「ばれちゃったか。まああの時きはちょっと詰めが甘かったけど……。私、昔からホームズ大好きなの。原作もみんな持ってるし、ジェレミーのビデオも全巻持ってるし」

「でもホームズの事は何も言ってなかったなあ。なんか短編をいっぱい書いていたような。そういえば僕が日本に行ったと話したらいろんな事を聞いて来たけど、あのあとあんな大作家になるんだったらサインでももらっとくんだったよ」

「まさかとは思うけど、自分がヴァンパイアという事も話したの?」

「いや、さすがにそれはないよ。でもうすうすふつうの人とは違うような印象は持たれたみたい。ああいう人は鋭いからね」


要はその言葉にうんうんと頷いた。


「で、そのあとオランダに渡ってしばらくハーグに滞在したけど、そこでも少し変わった今度は画家がいるというんで。ほら、僕、絵が好きだからちょっと気になって。そしたらこれがまた寡黙な人で、書いてる絵もなんかちょっとどこか影のあるかんじで……」


「それがゴッホだろ、さっき言ってた」


「だけどそのときは分からなかったんです。名前も言わないし。ただあとでその絵でゴッホだと分かったんですが、こんなことならもっと買っとけばよかったなあと。そしたら今頃超大金持ちだったのに」

「もっと?」

「ええ。小さな絵を一枚だけ。落ち着いた雰囲気の風景画。父上にプレゼントして、今は城の広間に大事に飾ってあるんですけど」

「リサ! それ売ったら億単位の金が入るというか、歴史的発見で世紀の話題になるぞ」

「うわあ、それは困るなあ。僕たちの事がオープンになるのはちょっと……、今の事もさっきのお金の件同様黙っててください。お願い! このとおり」

「大丈夫だよ。そのあたりは分かってるから。しかしそれ見たいなあ」

「僕の実家の城に来たらいつでもOKですよ」

「約束だぞ。ところでリサ。今まで話した事なんだけど、ゴッホの絵を買った事は別にして、それ以外の事を本にして出してみたらどうだ」

「えっ? 無理ですよ。それにこんな事誰も信じないし」

「いろいろ脚色してライトノベルか何かにして、懸賞に応募してみろよ。それこそ本当に大金持ちになるかもよ」

「それはちょっと……。自分の人生に価格をつけてるみたいでなんか気がのらないというか。それにタイトルはどうするんです? ぜんぜん浮かんでこないんですけど」


「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」


それまで部屋の隅でお菓子を食べながらマンガを読んでいた薫がいきなり発言。


「ダメかなあ」

「ダメかなあって……、いや、しかしそれは……」


そこへ今度はローラとマリアがやってきた。


「マリアさん、こちらの生活には慣れましたか?」

「普段の生活やLYPの仕事はもう大丈夫だけど、カウンターナイトの方はまだまだだよ。今日はそのあたりのことをいろいろとローラさんに教えてもらったけど、なかなか……」

「謙遜するなマリア。さすが親衛隊の筆頭副隊長を任されただけのことはある。今日模擬試合で立ち合ったけど、ヘレンの言うとおりかなりの腕だったよ。これで私たちもこれからはだいぶ楽になる。ナイトになってくれてありがとう、マリア」


マリアはこのとき自分へのけじめを思いとどまらせてくれた、要とリサにあらためて深く心の中で感謝していた。、


「そうか、それはよかったな。というわけで、みんなちょっと注目だ!」

いつの間にか氷美華も部屋に入って来ていた。


「みんな、来月あるリトルヨコハマのお祭りは知ってるな」

「去年から町にある四つの神社がひとつになってやる例大祭のこと?」

「それに今年は全員参加だ。そしてみんなでこの地区の町内会の山車を引く! いいな」

「あっ、山車! 僕あれ一度引いてみたかったんです」

「このまえテレビでみたあれか。面白そうだな」

「今回仕切る町内会には綺麗処をみつくろって連れてくるって言ってあるからな。頼むぞみんな」

「綺麗処って……」

「あははは」

「でもたしかあれって日向坂の上まで引っ張るんでしょ。大勢でやるけどけっこうたいへんそう」

「そうかなあ。あれくらいなら僕ひとりでも坂の上まで引っ張れるけど」

「いやいや、それはいくらなんでもいろんな意味で拙いだろう」

「ところで当日の警備はどうするんです」

「それはサムとジュンにやってもらう。あいつら二人で充分できるって豪語してたから」

「豪語してたのはサムだけだろ」

「ジュンはまたオロオロしてるんだろうなあ。かわいそうに」

「でもあれでサムには絶対的に心酔してるからなあ」

「二人ともいいコンビですよねえ」


「ところで氷美華、その祭りに全員が参加って。何か裏でもあるのか、事件とか陰謀とか」


それを聞いて全員が一瞬緊張し氷美華に注目した。



「いや、残念ながらそれはない。なにしろ作者がもうここでネタつきてるみたいだから」

「じゃあ後はこっちが勝手に……と、そういうことでいいんですね」

「ああ、これはそういう話の物語だからな」


氷美華のその言葉にヘレンが、


「なんだよ、せっかく私がうまいこと〆ようと狙ったのに」

「ヘレンさん、ざーんねん」

「まっ、真打はタイミングを逃さないものさ」

「氷美華さん。それ自分で言う?」

「言う!」



こうして新しい話がこれからも続く。




※ついで その3



リサの部屋、要と薫がいる。薫がおもむろに、


「リサ、今度向こうに帰ったら、コミケで着たコスプレの衣装。あれを舞踏会に着ていくというのはどうかなあ」

「あっ、それいい。コミケで大好評だったんでしょ。これでもうこれからは人気者だよ。絶対」

「絶対、い・や・だ・!」


「やれよ!」

「うわっ! 氷美華さん!」




第四部、終わり。




※ここまでの主な登場人物(登場順)



〇竜王寺屋弥太郎


大店「越野屋」の次男。一か月前に「越野屋」の分店「竜王寺屋」の主が辞めたことから、父に言われ「竜王寺屋」の主となっている。中肉中背で特長のない顔つきなので、一度だけでは顔を相手に覚えてもらえない事を少し気にしている。思いやりがあり人望も厚いが、仕事よりも遊び好きのため周りからは「与太郎」と呼ばれている。洞察力に優れており、それが何度も自らの危機を救っている。



〇茜


くノ一。里への依頼により新選組に派遣され武藤の配下として働いている。かなりの剣の使い手で体術も得意。体術剣術ともスピードとキレで勝負するタイプ。気配の察知にも抜きんでており、武藤をして新選組で一二を争う腕と言わしめている。髪を後ろで束ね清楚な顔立ちをしている。礼儀正しく真面目でやや恥ずかしがり屋のところがある。じつは雪女の血を引き雪や氷を使った妖力ももっているが冷え性のため使いたがらない。



〇リサ・ステープルトン


海外から来た留学生。金髪碧眼で背が高くスタイルもよく、短い髪型と精悍な顔つきの為男性と間違えられる事が多い。剣術体術ともにもかなりの使い手だけど、要のようなスピードとキレではなく圧倒的なパワーで勝負するタイプ。じつは吸血鬼の名門セイバーズ家の末娘で、数百年に一度しか出現しない「アルティメット・ヴァンパイア」の為、太陽光や十字架にも耐性があり、しかもかなりの魔術も仕えるため「全能の魔術師」の異名ももっている。吸血行為は「血の味が嫌い」という理由で行っていない。レプシュール女学院に転校してから、リサ・ステープルトンと名乗る。詳細は第四部「ついで、その2の1&その2」参照。



〇竜王時要


弥太郎と茜の子孫。その容姿は茜に瓜二つ。剣の使い手だけど、茜と違い三尺三寸の大刀を使用する。じつは隠れ佐々木小次郎ファン。茜同様雪女の能力をもつが、同様に寒さが苦手であまり使いたがらない。グレネーダ流の魔法資格SSをもっ。高所恐怖症のため飛行魔術が苦手。それさえなければ最高位SSSを取っていた趙エリート。レプシュール女学院の二年生でリサのクラスメート。LYPのメンバーで現場リーダーでもある。



〇悠木薫


抵抗組織「死神と13人の天使たち」のナンバー13。最年少だけど体術ではメンバーの中でも最強の腕をもっていた。ただ人を殺す事を本能的に避ける癖があるため、組織で一番下位の13の番号を与えられていた。組織壊滅時偶然アジトを離れていたため助かり、現在はLYPのメンバーとなっている。アニオタであることを隠していたが、リサとの邂逅で一気に弾ける。手先が器用で料理も得意。人見知りでやや寡黙なところがある。



〇冴島氷美華


LYPの管理官。長い黒髪と眼鏡が特長の姉御肌。かなりの政治力があり戦闘力も高い。LYPの管理官。長い黒髪と眼鏡が特長の姉御肌。政治力も戦闘力も天才的に高く、すべての面において圧倒的な能力をもっている。根っからのリーダーであり怖いもの知らず。元傭兵。



〇ローラ・リーペンフロック


ヴァンパイアハンター、ヴァン・ヘルシングの直系で、大天使の異名をとった伝説的ヴァンパイアハンター、マルタ・ゼルマの最後の弟子。褐色の肌にスキンヘッドで、傭兵をしたりまたその抜群のスタイルを活かし、モデルをやっていたこともある。クールで理知的な考えをもつ大人の女性。ヘレンとともにカウンターナイトの称号をもつ。



〇ヘレン・コースデール


金色の髪をしたカウンターナイト。やや気が短く直線的だが攻撃力は歴代のカウンターナイトでも最強クラス。異常なほどものわかりがよく、自分が気に入った相手とはとことん親しくなる性格。ふだんは格調高い喋りをしているがリトルヨコハマに来てからややくだけ口調になった。ローラをカウンターナイトにスカウトし自分の相方にした。



〇サム・オイレンシュピーゲル=ステープルトン


リーバンフラック星系を中心とした星系を11統括しているステープルトン家の第14継承者。黒髪の東洋系の中学生くらいの姿をしており、父や兄弟に教え込まれた関係で、物おじしない場の仕切り方や交渉術に長けている。またメカにも天才的に強く、現在使用の大型輸送船「ビッグトレイン」をほぼひとりで全面改装したほどの実力と才能の持ち主。小柄ながらパワーも桁外れのものを有している。偶然知り合ったジュンとは長い付き合いを経て強い信頼と友情で結ばれている。



〇ジュン・ハミルトン


ジャイロフィニッシャーとよばれるサイボーグ。元は気弱で優しい少年だったが交通事故で意識不明の重体になった時、軍によってジャイロフィニッシャーに改造される。その後暴走しかけたときにサムに助けられて以来、サムを「先輩」といい慕っている。ジャイロフィニッシャーとしての戦闘能力は「最終兵器」ともいえるほど超強力だが、小回りや抑制を要求される戦闘能力にはコントロールすることににやや難がある。改造されてからも気弱で優しい性格はそのまま。



〇マリア・シュピーゲル


並行世界ビルバゾのメシエ王家親衛隊筆頭副隊長。黒く長い髪と切れ長の目をした精悍な顔つきの女性。公私ともに厳しい反面、精神的にやや脆い面もあるが、リサや要、さらにヘレンやローラとつきあううちに次第にそのあたりを克服しつつある。剣術の実力がかなりあり、そのことでヘレンに三人目のカウンターナイトとしてスカウトされた。


これは作品として成立できないと判断したエピソードを集めたもので、本来は「後日談」とするところでしたが、当初予定していた第三部の続きにあたる話がかなり難航し、現在も長期ストップ状態のため、こちらを第四部として先に掲載しました。第五部の完成はまったく未定なので、この第四部で終わってもいいような終わり方にはしています。


ここまで読んでいただき本当にありがとうございました。深謝です。

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