その7
世紀末大統領ゆーろの暴挙によって実質終了した99人村だが、真のエピローグを迎えるまでにはなお3週間以上の時間を要した。30分アニメのあとに2時間超のスタッフロールが流れたようなものである。すべてが蛇足だったと言って差し支えない、不毛きわまる25日間。
この間さまざまなできごとがあった。冗談で蘇生された伯爵が冗談で殺されたり、村に飽きた連中が突然死したり、しらたまが頭の湧いてる……もとい素敵なポエムを連載したり、役立たずのつきんが何もCOせずに死んだり、ノエルが卑猥な発言を繰り返してブロックされたり、ミキティがレズったり、紗紋とアンダンテのイラスト競争が始まったり、突然死した狼が生き返ってまた突然死したり、村と一切関係ないドラクエライバルズのデッキ論争が始まったり、キノコvsタケノコの仁義なき戦いが繰り広げられたり……じつに色々なことがあった。(ダイジェスト!)
そんな日々の中、隣の晩御飯に突撃しそうなIDを持つシスターエルザリカによって『討伐すべき人外数』は粛々とカウントされ続け、村側メンバーは絶望クライマックスな戦いを繰り広げていた。狼側も同様で、殺人鬼ブタの暗殺と村側の処刑票におびえつつ蝙蝠たちのご機嫌をうかがう毎日。
だが最も苦労しているのは狂人だった。なんせこの村の狼ときたら、占い師を食おうとしてはGJされ、狩人を食おうとしてはGJされるありさまで、しまいには何を血迷ったのか何の害もない(急に爆発して3人殺害したけど)マミーちゃんを食ったりして、そのたびごとに狂人たちは頭をかかえていたのだ。
……いや本気でマミーを食った理由が不明すぎるんだが……仕方なく赤ログに目を通してみたけど、やはり意味わからんし……いまさらながら狂人チームを代表して、狼側に謝罪と賠償(酒)を要求したい。
実際、煽り抜きにして狼の襲撃はひどすぎた。あまりにGJされすぎて、ドワーフアリエルは日程を三分の二も残して勝利条件達成。死んでも勝ち確定なので、あとは悠々自適の年金生活を送るのみとなったのであった。
なにしろ『1村で5GJは余裕。あまりにGJしすぎて、村に参加しただけで狼が泣いて投了した』というチート伝説みたいなことを現実にしてしまったのだから仰天だ。まぁ狼はひどすぎたが、アリエルの護衛もなかなかだったと言えよう。しかも終盤では彼女の一票が村の行方を左右することになるので、狼たちは先を争ってアリエル様の靴を舐めるのだった。やられ放題である。プライドないのか。
こんな不甲斐ないワンコロどもが仲間でも、どうにか勝利へ導こうと狂人ズは健気に頑張った。とりわけ働いていたのは実績豊富なサークルクラッシャーの狂犬ふじで、四方八方に見境なく喧嘩を売りまくるスタイルはマジ狂犬。北野武かタランティーノの作品にも出演できるほど。そして確実に笑える死にかたするほどだった。
その卓抜した演技力で、愛らしいワンちゃんアイコンをたった1村の内にイメージ崩壊させることに成功した、クラッシャーふじ。こいつもタダモノではない。でも幼女ラムに喧嘩売るのはやめてね! 彼女は男爵にとって大切な人だからね!
狂犬ふじはあまりに喧嘩を売りすぎて壮絶な刑死を迎えたが、死後もなお霊界で暴れまわる暴君フジ・サンのマッドドッグっぷりは凄まじく、村が始まるまではモフモフ言ってるだけだった愛犬ふじの面影はもはや一辺も見当たらないのだった。いっそ牙の抜けた狼どもを拘束して、爪の垢をドラム缶で流し込んでやればよかったのに。いまからでも遅くはない。行け! 生まれ持ったサークル破壊力を見せてやるんだ!
そんな彼女の遺志を継いで村側との交渉窓口に立った狂人は、我らが人狼界の至宝・牛男爵その人であった。
『酒を飲んでる俺は最強。つまりいつでも最強』と豪語する彼は、ならず者の梁山泊と称される通称『牛村』の首魁として知られており、99人集まった村の中でも最も古くから人狼ゲームを嗜んでいると断言して間違いなかった。
かつては『1人で3狼を操り、共有者騙りで真占い師が確定するも華麗に狩人を見抜いて勝利!』『世界初の完全RPを主催して、そこでも勝利!』など無数の武勇伝を持って知られた彼だが、最近は原因不明(?)のアルコール中毒(?)っぽい何らかの思考力低下によって人狼力も失墜。ただの酒を飲む機械と化していたところ、狂犬ふじの暴れぶりに触発されて少し気力が湧いてきたのだ。
まぁ実際は大量の酒が送られてきて元気になっただけなのだが、そういうことにしておこう。彼は人狼界きっての人格者だからな!
なおこのダイジェストには原稿料が出ることになったので、次回からは延々と自分語りして無駄に原稿を引き延ばす予定。万人が認める人格者だからな!