これからどうするか
「花桜梨。今なんて?」
「聞いた通りです近藤さん。こいつを新選組に入隊させるって言ったんですよ」
土方さんは顔色変えずにそう言う。
「まあ、私は別にいいけど。どうしたんだ花桜梨?さっきまでこいつを疑っていたのに?もしかして信じる気になったの?」
「まだ完全に信じたわけじゃないわよ。だけどね。もしそれが本当だとしたら、町をうろうろして、維新志士の連中に捕まってみなさい。その知識を利用されて、今までよりもっと面倒なことになるわ」
「幕府の連中は?」
「あいつらはもっと危ないわよ。特に見廻り組の連中なんか冗談が通じない堅物ばっか。あなたが未来から来たなんて連中に言っても誰も信じはしないし、仮に信じたとしても維新志士のやつらに奪われる前に斬り捨てる可能性だってあるわ」
「なるほどね・・・・で、藤田。あなたはどうするの?」
「え?」
「え?ッじゃないわよ。最終的に決めるのはあなたなんだからな」
確かの近藤さんの言う通りだ。最終的に決断するのは俺だ。
「で、どうする?」
土方さんもじっと俺のことを見ている。この時代、俺にはいく当てがないし、そう言う選択もない。そうと分かれば道はただ一つだ。
「近藤さん。土方さん!おれ新選組新選組に入ります!どうか入隊させてください!」
俺は決意して、そう言うと近藤さんが
「あはははっ!よくいったわ!それでこそ日本男児ね」
笑ってうれしそうに言っていた。土方さんの顔を見ると顔は相変わらず硬い表情だが、どこか安心したっという風な感じがした。
「これで、決まりね。それより花桜梨。あなた、どうやってこの子を入隊させるのよ。うちの隊士ども納得しないと思うわよ?」
「その件なら問題ないわ近藤さん。おい藤田。お前剣術できるか?」
「え?あ、はい。祖父と義父や義母に習いました」
「なら、話は早いわ。道場でお前の実力を試させてもらう。そして勝てば新選組に入隊させてあげるわ」
その後、入隊試験は時間や隊士の都合上、明日となり、俺はその客室に泊まることになったのだが・・・・
「……眠れない」
その夜、俺は眠れなかった。まあ、今日はいろんなことがありすぎて眠れないのも当然か。ただの修学旅行のはずが、まさかこんなことになるなんてな・・・・
「少し、外歩こうかな・・・」
ずっと部屋にいてもつまらないし俺は外に出ることにしたのだ。
一方、花桜梨の部屋
「・・・・は~あいつ明日は合格できるのか・・・」
花桜梨はいま明日の入隊試験のための手続きの書をまとめていた。すると・・・・
「あいつのことが心配なのか花桜梨?」
「近藤さん・・・・」
すると局長である近藤勇こと桜が入ってきた。
「別に心配じゃありません。ただ、新選組副長である私が連れてきた男が隊士の前で無様な姿をさらされるのが嫌なだけです」
「相変わらず素直じゃなのね花桜梨は。まあ、それがあなたらしいんだけどね」
そう言い彼女は花桜梨の隣に座る。
「それにしても花桜梨の夢が現実になるなんてね」
「ええ。変な事を言うものじゃないわね」
「またまた~あなた。あの少年の話結構、興味津々に聞いていた上に少し顔を赤らめていたじゃないの~」
「な、なにを・・・・私は別に」
「あなたとは多摩の道場時代からの中よ、あなたの考えることなんてすぐにわかるわよ花桜梨」
「だからそんなんじゃないわよ!」
そう言い花桜梨は立ち上がり部屋を出る
「あら?もしかしてあの子を夜這いしに行くの花桜梨?」
「違うわよっ!厠よ!か・わ・や!!」
そう言って花桜梨は顔を真っ赤にして廊下を歩くのだった。
「まったく、昔から素直じゃないな・・・・・あいつは」
「まったく!近藤さんたら、そんなんじゃないのに・・・・」
花桜梨は厠を終えると廊下を歩いていた。
「・・・・・・・寝顔ぐらい見てやるか」
そう言い、彼女は剣一が寝る客間に向かい、そして客間につく。そして、そっと障子を開けるのだが・・・・・
「あれ?・・・・・・・いない」
剣一がいた部屋には布団があるだけで当の健一の姿はなかった。
「まさか・・・・・」
花桜梨はそう言うと、急いで自分の部屋に戻る
「おお、花桜梨。なんだ夜這いはしなかったの?」
桜が笑って言うが、花桜梨は枕元にある自分の愛刀「和泉守兼定」を手に取る
「花桜梨、どうかしたの?」
いつもと違う雰囲気にさすがの桜も顔色を変える
「近藤さん!あいつが・・・・藤田剣一いない!おそらく外に出たんだ!」
「はぁ!?今、夜中だぞ!!こんな時間に外をうろつくなんて・・・・」
「とにかく私はすぐに彼を追うわ!」
「わ、わかった。私も準備でき次第私も行くから」
花桜梨は部屋から飛び出し屯所を出て剣一を探しに行くのだった
(あの馬鹿!お前のいた時代は平和かもしれないけど、今の夜道は危ないっていうのに!剣一。無事でいろよ)
そう思いながら彼女は月ひかりの中、京の街を走るのだった。