三代目、外史へ
「うわーここが壬生寺か・・・・」
俺は修学旅行で京都に来ていた。そして俺の班がまず最初に来たのは壬生寺。この寺の近くには幕末で有名な剣客集団であり武装警察組織である。「新選組」の屯所があった場所がある。
新選組とは上記に書いた通り幕府に仕える武装警察で、あるが性格に言うと非正規採用の臨時警備隊みたいな組織で、待遇は新選組と対をなす組織「京都見廻り組」は旗本とかのエリート集団。簡単に言えばキャリア捜査官に対し、新選組は農民や浪人が中心のノンキャリアの捜査官のようなものだ。だから幕府から衣食住支給される見廻り組と違い、新選組は集団生活の上民家に間借り、そして衣食は自腹と、結構大変だっだという。
まあ、そんなことはさておき、俺たちの班は壬生寺を後にし、次に向かったのは京都にある郷土博物館だった。そこにはいろんなものが展示されていた。坂本龍馬の服や拳銃。四代人斬りの一人として有名な河上彦斎の愛刀。そして新選組鬼の副長と呼ばれた、土方歳三の刀なんか様々なものが置かれていた。
「すごいな・・・・まるでうちの倉庫見ているようだな・・・・・・ここと比べると向こうは埃っぽいが」
実は俺のいる家、大伯父さんと義父さんの家の倉庫にはこういう風な骨董品のがずらっと置いてあった。中には古代中国…おそらく三国志時代くらいだろうか中国語で書かれた書簡や壺。中には武器とかもあり、もう一つ奥に行くと今度は戦国時代の侍が来ていたような鎧や武器、書物。中には対戦車ライフルくらいに長い火縄銃やバカでかい大筒なんか置いてあった。今思えば、なぜこんなものがあるのか本当に不思議だ。
「それにしてもいろんなのが飾られているな・・・・・・」
俺は展示されている品を見てその下に書かれている説明文を読み、どんどん奥のほうへと進む。
「あ、そういえば帰りに和菓子の店寄るんだっけな・・・・・」
俺は修学旅行に行く前、みんなに頼まれたお土産を書いたお土産帳を見ていた。
「確か・・・彩菜姉ちゃんは生八つ橋、小夜叉姉ちゃんに鞠姉ちゃんは生八つ橋のイチゴ味・・・・それと風姉さんには京飴。それと朱里姉さんや雛里姉さんは・・・・・・これは口には言えない代物だな・・・・」
そんなことを呟きながら歩いていると
「ん?これは・・・・・」
館内を歩いているとあるものが目に入る。それは床に落ちていて鈍い光を放っていた。
「あれって・・・・銅鏡か?」
そう、俺の目に入ったのは、幕末の展示品には似合わない古びた銅鏡があった。その銅鏡はかつて自分の母校である聖フランチェスカ学園に展示してある銅鏡に似ていた。
「なんで、こんなものが・・・・それにしても、なんでこんなところに落ちてるんだよ。展示品ならちゃんと棚に置かなきゃダメだろう」
俺は床に落ちら銅鏡を取り、そばにある展示台に置こうとする
「しかし、これ埃まみれだな・・・・磨いとくか」
俺はそう言い銅鏡についている埃を取るべく手拭いで埃を取り鏡を磨く。すると・・・・・
ピカアァァァー!!
急に銅鏡が光りだし俺は驚く。
「な、なんだぁ!?」
そして俺は銅鏡から発せられた光に包まれ、そして意識が途切れるのだった。
そして博物館の中には銅鏡を残し、剣一の姿が消えていたのだった。
「・・・・・ん?」
剣一が消えたのと、同じ時に家にいた彼の義父。新田剣丞がお茶を飲んでいると何かを感じたように空を見上げる
「どうしたのだ。剣丞」
彼の隣に座っている女性は彼の妻の一人織田久遠。実は彼女は戦国時代の武将織田信長なのだ。
「ああ、あいつ。とうとう旅立った気がしてな」
「・・・・・そうか。剣丞や伯父上殿と同じように…剣一も」
「心配なのか。久遠」
「当たり前だ。血は繋がらなくとも、あの子は私たちにとって子同然だからな。」
「そうだな。けど剣一なら大丈夫だ。俺や伯父さんと同じことが起きたときの日のためにあいつを鍛えておいたんだからな」
「あとは、信じて待つっか」
「そういうこと。」
二人が話していると
「剣一の気配が消えたが、行ったのか。剣丞」
「ああ、一刀伯父さん。・・・・ああ、剣一は行ったよ。新たな外史にね」
「そうか・・・・まあ、あいつは俺やお前と同じように頑丈な奴だ。きっと心配ない。まあ、桂花や思春は心配してたがな」
「ああ、薫や詩乃たちも心配してたよ。特に和奏が心配してたな。」
そう言い、祖父である北郷一刀と義父新田剣丞は互いに笑い会い、空を見上げるのだった。
『『頑張るんだぞ。剣一』』
「う、う~ん・・・・ここは?」
目が覚めるとそこは和室だった。あれ?なんで俺こんなところで寝ているんだ?確か俺って京都の博物館の中にいて、それでそこに落ちていた銅鏡を拾い棚に戻そうとしたら、急に鏡が光って・・・・・それで意識を失ったんだよな。
「なんで俺がこんなところに・・・・」
最初は博物館の控室かと思ったけど、そんなことはまずない。そんなことを考えていると
「おう、起きたか?具合はどう?気分悪くないか?」
「・・・・・・・」
と、障子を開け和服姿の二人の女性が入ってきた。一人は長い茶髪で優しそうな眼をした女性。そしてもう一人が黒い長髪をポニーテイルにまとめた目つきの鋭い女性だった。そしてその腰には日本刀をさしていた。
「え?あ、はい…大丈夫です」
「それはよかった。あははは」
「近藤さん。笑いすぎです。そうか・・・無事で何よりだ。してお前」
茶髪の女性が笑い、黒髪の女性が俺のほうへ近づき、そして
チャキッ
急に彼女が腰に差していた刀を抜き、俺に突き付けた。
「え?」
「貴様・・・・いったい何者だ?見慣れない格好だが、維新志士の連中の仲間か?それともメリケン、エゲレスからの間諜か?」
殺気を含めた目でそう聞かれる。確かメリケン、エゲレスってアメリカ、イギリスのことだよな・・・・
「あ、あの・・・・」
「まあ、花桜梨。目が覚めた相手にいきなり刀を突き付けるな。それじゃあ、言おうにも怖くて言えなくなるだろう?・・・して小僧。お前、名は?」
「あ、はい。藤田剣一って言います。あのそれで・・・・あなたたちは?」
「剣一か。いい名だな。自己紹介しよう。私は会津藩、京都守護職預。『新選組』局長の近藤桜勇だ」
「・・・・・『新選組』副長。土方花桜梨歳三だ」
「・・・・・・・え?」
こうして俺はタイムスリップ・・・・いや別次元…外史の世界に来てしまうのだった。




