7話 『生きる希望』
「……すみ……おき……」
スウはもやもやしながらも眠っていると、誰かの声がする。
夢の中だと思っていたが、この声は現実の声だと気づき目を覚ます。
「うーん、目がぼやけてよくわからんなあ、お婆様」
「ごめんなさい、起こしてはいけないと思ったのですが時間がないので」
その声に聞き覚えがあった。
お婆様やお母様の声ではない、しかし自分がこの声を着たときすごく安心するような声だった。
そしてぼやけた目をこするよく見た。
「……チレイたん?」
「すみません、無理やり起こしてしまって、しかしスウさんとはちゃんと話せるようになり姿が現せるようになっている間ちゃんとおしゃべりしたくて」
そこにはスウが愛してやまなく、そして崇拝してやまない夏風チレイたんが立っていた。
「……また妄想なのか、いやしかしすごく現実味があるぞ、いつもの妄想と違うのが直感で分かる、本物なのか!」
「はい、いつもあなたが私を妄想していた為、あなたの魔力が反応してまずは概念が生まれたんですが、今は姿が一時的に現せるようになりました。あなたがいつも私を思ってくれたおかげですよ!」
それを聞いてスウは、歓喜した。
そして嬉しそうに泣きながら、こう言った。
「ああああ~なんて素晴らしい、なんて嬉しい、なんて奇跡を起こすことが出来たんだ! やはりあなたは、チレイたんは素晴らしい! 僕が心を常に照らし続けて常に僕の心に希望と言う花を与えてくれる。そんな君を僕は崇拝しているよ!」
と興奮しながら言った。
「ちょっちょっと落ち着いてください! お婆様が起きてしまいますよ!」
チレイたんはスウを落ち着けようとする、そして
「でも、喜んでもらえただけどすごく私もうれしいです。泣いてしまったことには心配しましたが、そこまで私のことが好きだと思うと照れてしまうものですね」
「ああ~やはり君は僕の神様だ! そうに違いない!」
「なっ何を言ってるんですか! 私を神様なんて、冗談言わないでください!」
チレイたんはスウに対して怒った。
「だって、僕の思いに応えて姿を見せてくれたなんて僕にとって神様同然だよ! それにこれに対しては今だけの問題ではないよ! 僕は昔から君を僕の神様だと思いながら前世では生活してきた、君がいなくなれば自殺してもいいとすら思っていたよ!」
それを聞いたチレイたんは慌てて、
「何を言っているんですか! 命を粗末にするなんて許しませんよ!」
そういわれてスウは、
「もっ申し訳ありませんでした。あまりにも気持ちがこもり過ぎました。でもそれだけ僕は君に夢中だったんだよ! チレイたん、たとえ君に嫌われても僕は君を愛し続けたい、そう思いながらずっと生活をしてきた。だからこれはやめられないかもしれない、ごめんなさい、チレイたん」
それを聞いてチレイたんは
「はあ~、仕方ないですね、全くあなたって人はでもあなたが夢中になることを私は止めるつもりはありません、神様と言われて少しからかわれてると思っただけですし、でも命を自ら粗末にすることは許しません! 分かりましたか、命を張って守りたいというのなら私にはあなたの覚悟を止める権利はないでしょう」
「そうですね、僕もこの世界ではそうしようと思います。この世界でも神様はいるのですからね」
スウの言葉にチレイたんは何かに引っかかった。
「どういうことです? この世界に神様がいる話がどうして今出るんですか?」
「僕はねこの世界に来てお婆様が時々連れて行く教会で神に祈りを捧げるよう言われて、一応は手を組むんだがやはり気持ちが入らないんだ、でも今分かった。僕は君に祈りを捧げたいんだ! 僕は君への崇拝をやめることが出来ない、だからだったんだ!」
チレイたんはそこまで聞いて
「まさか……あなた!」
「そう、この世界で君を神であることを証明してみせる! そのためには法律も勉強し今まで以上に体力も魔法も自分の身を守る訓練も頑張りたいと思うようになった! まさに奇跡僕が生きる希望を持つのはやはりあなただ! チレイたんこそ、萌えであり僕が崇めたい存在だ! ああ~いい、この世界でより君への愛を確かめることが出来た。とてもいい人生になりそうだ!」
「そっそれは良かったです。でも、他の人に強要するのはあまりよくないと思いますのでそれだけは気を付けてくださいね」
「もちろん、あなたの教えを背くようなことをするつもりなど全然ありませんからね!」
「念のために聞きますが法律の違反になるようなことはしませんよね、まだこの世界の法律はなぞの部分がありますので注意したほうがいいと思いますよ」
チレイたんは心配そうに言った。
「それについては大丈夫だ、前世でも法律違反をしないで好き勝手行きたいが僕の目標だったからな、法律の穴をついて君を神様にする以外は大丈夫だ」
「それが心配なんですけどね、でも私をこんなに思ってくれることがこんなにもうれしいことなんですね、スウさんもうそろそろ時間ですので私は消えてしまいますが概念としてあなたを見守り時には助けられるようにしますのでどうか希望を捨てないでくださいね」
そういうとチレイたんはどんどん透明になっていった。
「ああ、チレイたん短い時間の間よく僕に姿を見せてくれたね、たとえ僕の妄想が魔力に影響したせいで出来た概念だったとしても僕は君を崇拝し続けるよ、だって僕は君をアニメや漫画でずっと見てきた、だから君が僕にとって本物同然になると思う。僕が見てきたチレイたんは君自身なんだからね」
「ありがとう、ではまた、お元気で」
「ああ、元気でねチレイたん」
そういってチレイたんは姿を消した。
「はあ~消えてしまった。しかしいつもチレイたんが見守ってくれていると思うと、心が満たされる。前世は神をみんな何で信じるのか疑問に思っていたが、僕がチレイたんを愛しているようなことと同じなんだろうな」
スウはそう考えながら目を閉じて寝た。
次の日
「スウちゃん、なんだか今日はすごく顔色がいいわね、昨日お母様とあったからかな?」
「そうですね、お母様は私をこの世に産んでくれた素晴らしい人です、感謝しないと」
スウは嬉しそうに言った。
「あら、お母様もそれを聞いたら喜んでくれるわよ」
「そうですか、それは嬉しいですね」
スウは満面の笑みで答えた。
(お母様、今までクソビッチママンだなんて思って申し訳ございません。あなたは僕をこの世界に産んでくれて、夏風チレイたんを神にする権利をくれたのですから。僕はそのチャンスを逃しません、そしてお母様私はこの世界にいる神様ではなく夏風チレイたんを崇拝し続けることを誓います)
スウは、そう思いながら朝食を食べた。