50話『最後の別れ』
ギルーツに剣を刺した。
友達に剣を刺した。
親友に剣を刺した。
様々な感情がスウに流れ込んできた。
「あれだな、なんか涙出るもんだな、いろいろ世話になったし話もしたし、一緒に鍛えあったし、笑ったりしたしな」
「……そう……だな」
涙を流しながらスウは話を続けた。
「取り敢えず俺は自分の道を行くために最低最悪のことをしたんだろうな」
「いや……そんなことは……ない、……いつか別れは……来たのかも……しれないし……これは出逢った時の……運命だったの……かもしれない……だろ」
ギルーツは口から血を流しながら言った。
スウは、城を眺めた。
「はあ、全く、国がこんなこと考えなければこんなことにはならなかったのかなと取り敢えず責任転嫁をすることにするよ、俺は俺の意思を持ち続けるために」
「現実逃避かよ……」
スウはそれを聞いてギルーツに涙を流しながら笑って言った。
「前世から慣れたもんよ、ここに来る前からずっと現実逃避を続けて、続けて、それを持って生き続けてきた、もしかしたら前世は生きているだけの人生を送ったのかもしれないな」
「そう……か」
「そうだろうな、ここに来てやっと目標が持つことが出来たし、生き生きできた気がしたよ、ああ、やはりチレイたんは素晴らしい、俺の心を癒し、慰め、罪ですら自分の中で心地よく踊るよ、これが人間か、これが生き物か、これでこそ人生か、苦しんで喜んで悲しんで笑ってバカになって目の前が見えなくなって怒り狂って憎んで嫉妬してバカにして煽って、様々な感情を前世とこの世界で学んだ気がする」
「……そう……か」
スウはそして一つの結論に至った。
「俺は、前世でもこの世界でも童貞だったな」
「……おい、それは……今言わなくても……良いだろ」
「え、大切だろ、これに関しては」
「はあ、君には死ぬ間際まで……困ったものだよ」
「ありがとうよ、ツッコみ」
「いいえ……どういたしまして……ここまで……のことがあっても……事情を知っても……大好きだよ」
そしてギルーツはそのまま動かなくなった。
最後の言葉を聞いてスウは
「では、親友の最後を見取ってそして最後の最後に愛の言葉を言われましたが、やっぱり俺は前世男だったため、君の愛には答えられなかったよ」
そうして城へと向かって
「でも、君の思いを潰したんだ、僕は自分の思いだけは潰さないように頑張るよ、そこまでして守ったものだしな」
と決意を改めてしてギルーツの剣を取った。
「全く、親友の剣を取るんですか?」
「ああ、もらっとく、戦利品かなこれは?」
「最後はちゃんとお墓に埋めましょうね」
「そうだね」
チレイたんに言われてスウは笑いながら答えた。




