44話『王の決断』
「何これ、これはありなのか?」
「まあ、普通はなしだろうなイレギュラーがあれば」
「イレギュラーって何だよ、いったい誰が何をしたんだ? 僕の宗教は始まったばかりだってのに」
スウの言葉にギルーツはため息のつきながら
「いや、イレギュラーは君だと思うよ」
と返された。
「え、何で?」
「いやだって、普通この世に神様とかいないのに、君の右隣にいる人は誰だい?」
ギルーツの質問にスウは
「チレイたん? 僕の宗教の神様の」
と答えた。
「でも他の宗教は神様なんて普通は呼ぶ出したりしないよ」
「それはしなかっただけだろ、それか答えてくれなかったのか、僕は呼び続けて呼び続けてやっと姿をこの世に現してくれてしかもこの世でも力を付けてくれただけの事、それがどうしたって言うのさ」
スウは怒りながら言った。
ギルーツはさらに続ける。
「そうかもしれないけど、他の人たちは君を目の敵にしているうえに神様を下したってことを知って君がとんでもない悪魔を召喚してるってことになってしまってるんだよ、それにチレイたんの力は魔物や魔王の魔力を利用してつけさせたものだろ、それが一番大変なことだと思うよ」
それを聞いてスウは
「まあ、確かに力を付けさせることしか考えてなかったのは悪かったと思っているよ、今考えるとあ確かに魔王の力を取り込ませるってことは第二の魔王を作ってるって勘違いされても仕方ないだろうし、でもだからって全宗教を廃止することはさすがにやばいだろ、僕としては廃止するなら全部って考えてしまうけど、でも僕の宗教も廃止されるのは困るな」
そこには王の命による全宗教の廃止を命ずると書かれていた書面であった。
スウが発足した宗教だけを廃止するだけでなく、他の宗教も廃止することになったのだ、他の宗教がスウと同じように神様を下そうと考えている可能性があると考えてのことであるそうだ。
「まあ、確かに王様は行き過ぎなとこはあるかな、スウのまねをする人はいるだろうけど、そんなの奇跡ってレベルか君のような狂気なまでに崇拝するようなことが出来る人はなかなかいないだろうけど」
(まあ、確かにこの世界に来てから二次元がなくて俺にはチレイたんしかいなかったからこのような現状になったのは必然だったんだろうな、俺がもし男なら女と結婚するためにチレイたんを神にするような覚悟で必死になれたのかもしれないな)
スウは自分の過去を思い返しながら考えた。
(あれからもう何十年か、長いようで短いようであの時の車の衝撃が今でも忘れられないからたまにうなされて起きてしまうよ、でもチレイたんが癒してくれるために俺はいっつも救われてるんだよな、やっぱりチレイたんの宗教は俺にとって必要不可欠な生きる希望だな)
そう思ったスウはギルーツに言った。
「僕は例え君が敵になっても絶対に僕の宗教を守ろうと思っているよ、それに、僕は本当にチレイたんが心の支えで生きて来たんだ、それが無くなると自殺するだろうね」
「そうか……最後まで貫くのか、君のそう言うとこは嫌いではないよ、むしろ好感が持てるぐらいだ、分かった君の敵になった時僕は容赦しないよ」
それを聞いてスウは
「僕に一度でも買ったことあるのかよ」
「いや、結構あったよ、最近ないだけで」
とギルーツに突っ込まれた。
「おっと、そうだった、最初は負けっぱなしだったな」
「そうだろ」
そんな思い出話をしていた。
そして、スウは言った。
「まあ、戦うときは戦うから容赦しないぜ」
「ああ、まあお手柔らかに」
そしてスウはそれだけを言って帰って行った。
「はあ、スウと戦うのか……」
少し落ち込みながらギルーツは帰って行った。
「あの、ギルーツと戦うことになるんですか?」
「まあ、そうだろうな王様の防衛があいつの仕事になったから、魔王がいるときは町と王様だったけど」
スウは笑いながら言った。
「で、今度は宗教廃止によって廃止される者たちが王様に戦争を仕掛けるってことですか、王様もいろいろやらかしますね」
「まあ、どこの世界でも上の者のやることなんて下の者は分からんもんなんだろうな、前世でも俺は全然分からんまま死んだし、今も分からんから戦争するだけだし」
「いや、戦争の原因は完全にあなたですけどね」
チレイたんに呆れられながら言われた。
「まあ、なったもんは仕方ない、成行きに任せて頑張ろう」
「そうですね、まあ頑張ってください」
「そう言えばチレイたんも協力してくれるの?」
チレイたんは笑顔で言った。
「当たり前じゃないですか」
「王様、震えて何をしてるんですか?」
「いや、いつ殺されるのかなんか急に怖くなって」
「そりゃ全宗教廃止とか言ったらそうなるでしょうに、やめます?」
それを聞いて王様は
「いや、やる! 一つだとまた同じことをやる宗教が現れるかもしれない、それが怖いから今怖いのは我慢できる」
「そうですか、まあ頑張っていきましょうね」
こうして一つの戦いが再び始まろうとしていた。




