26話『可能性を』
スウは、疲れ切っていた。
数日の暴動でかなりの人が自分の作ったご神体を潰された上に、そのたびに人を殺さなければならないことにうんざりしていた。
しかし、さすがに本当に殺したことによりご神体を潰す者が減ってきた、それが原因でほとんどの者が殺人狂い司祭という意味不明な異名を付けられ気恥ずかしさに悶える日々を過ごしていた。
「はあ、疲れたがまあいいか、そんなもんだな」
「お疲れ様です」
スウをチレイは励ます。
「ありがとうチレイたん僕は君がいれば頑張れる」
スウは疲れながらも笑顔で答えた。
そこへ、
「スウ、いるかい?」
「やあ、ギルーツ……久しぶり」
ギルーツはスウを見て驚愕した。
スウの目の下にクマが出来ており、かなりグッタリしていた。
「だ! 大丈夫か!! 無理をしない方がいいんじゃないのか!」
「心配するなよ、こんなのただの疲労困憊だ」
「いやそれ大丈夫じゃないですよ」
チレイが呆れながら言った。
「少しは休んだ方がいいんじゃないのか」
「今がそうだよ、すまないなあまり構ってられないよ」
「そうか、……また次にするよ……」
スウにそう言ってギルーツは立ち去ろうとすると
「ああ、まあ話ぐらいは聞けるからせっかくだし……」
「……いいのか? 大丈夫なんだな?」
「はい大丈夫ですよ」
スウはギルーツを安心させるように笑顔で言った。
ギルーツはスウの隣に座った。
「なあ、この宗教を作ったのはいいが後悔はないのか?」
「後悔なら昔からしてるよ、今もな、僕の人生は後悔で出来ている」
スウはギルーツに聞かれてそう答えた。
「え……それってどういうことだ」
「簡単だ、後悔しながら僕はいつも生きてきたと言うことだ、もちろん楽しいこともあったが必ず後悔はつけて回ってくる、つまり何したって人間は絶対に後悔しながら生きるんだ! そうに違いない!!」
「え、僕今まで後悔なんてな……」
ギルーツの言葉を待たずにスウは続けた。
「そう! 人間は後悔するのが人生なんだ! やろうがやるまいが後悔は来る! なら自分でどっちの後悔をしようが流れるままに受け入れればいいだけだ! そうやって人間は時代を乗り越えたはずだ! 多分! 後悔したことないと言ってるやつも絶対どこかで後悔はあるんだから恐れるなんて必要ない!! 受け入れればいいだけだ!」
「お……おう」
更にスウはハイテンションになりながら続けた。
「そして、僕は今後悔があっても、その先に進む!!」
「その先って?」
「もちろん! 死んだあとにチレイたんのもとに行くことだ!」
「「え」」
ギルーツは驚愕した。
チレイも驚愕した。
「うん? ……今声がしたような?」
「君のにも聞こえたかチレイたんの声が」
「お……おう、多分?」
ギルーツは気まずそうに答えた。
「そう、僕はチレイたんから離れない!! 絶対に離れはせんぞ!!」
「そもそもいけるのかい? そのチレイたんの下に」
ギルーツに言われてスウは笑いながら言った。
「可能性なんてほぼほぼゼロでも関係ねえぜ! 僕はないかもしれない可能性をずっと信じ続けて来たんだ! そう! この世に生を受ける前もだ!! (前世での話)」
「そうか」
ギルーツは慣れたように応えれるようになった。
「はははははは!! 絶対にこの夢だけは叶えられると信じ続けたるうううううううううううううう!! 誰に言われようとな! ははははははははははははははははははははは!!」
「まあ、叶うといいね」
スウは落ち着いてきたのか静かに話し始めた。
「はあ、この世に生を受ける前は無駄な人生だった、だがそれも人生なんだな、僕はここに来る前に無駄を過ごすことが出来た、それは誰にでもできる人生だ、そこらのモブ共(スウを含めた)すべての人間がしようとすれば出来ることを僕は送ることが出来た、殺されたのは悔しいが、それでもこのための人生なんだな、はははは、そうと思わねえか! ギルーツよ!」
「ごめん、さっぱりわからない、さっきから何言ってるか分からんのだが」
ギルーツは呆れながら言った。
「まあ君が幸せならそれでいいんじゃないか、まあ後悔しながら頑張れよ」
「ああ、後悔しながら頑張るよ」
そしてギルーツは帰って行った。
チレイは
「そんなこと考えてたんですか、全く」
「はははは、ちょっと夢見がちかな」
チレイは微笑みながら
「いや、私を神と証明した人ですよ、信じてみますよ、私も力が入りそうだったらお手伝いしてあなただけは守ってみますよ」
「ありがとう、僕の心の神様」
そして、スウは崇拝と祈りを始めた。
「チレイたん愛しています、慕っています、敬っています、尊敬しています、魅了されています、あなたにいつも高揚しています、そのことを僕は捨てることが出来ません、あなたの言葉をいつも心に蓄積させてそれを希望に生きています、僕に生きる希望をくれてありがとうございます、絶対にあなたを神様だと証明した後も、異端と言われようがこの教会、君が神であることを証明を崩させたりしません、例え君が僕に愛想が尽きても、僕は君を愛し続けることを容認してください」
「はあ、まあいいですよ」
「ありがとうございます」
スウは満面の笑みでチレイにお礼を言った。
チレイは呆れながら
「まずは、あの人たちをどうするかですね」
「そうですね」
スウとチレイは外を見ると大量の人たちが教会に押し寄せていた。
「殺人狂い司祭があああああああああああああああ!! 死ねえええええエエエエエエエエエエエエエエ!! お前なんてこの世界から消え失せろおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「そうだあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
民衆がそう言いながら激怒していた。
「増えてませんか?」
「増えてますね」
チレイとスウは苦笑いしながら
「「さて一仕事しますか」」
スウは、結界を張り民衆に攻撃されないようにした。
そしてそれは一晩続いて何とか鎮静化した。
「やっても無駄だって分かってくれたみたいだね」
「そうですね、良かったです」
スウは、なんとか結界を維持する魔力を鍛えることが出来た。
「最近魔力が増えてるような気がする」
「おお、いいことですね」
チレイは微笑みながら言った。




