18話 『少しずつ』
王様と会って数日間はフランダルの魔法の訓練を行い、その後変える生活を送っていた。
スウは、無理に王様に会おうと思わないように心がけた。
それを繰り返しているある日、
ある男が王様のコップに何かを入れていた。
「何を入れました、毒ですか」
「!!」
明らかに男が動揺した。
そして、
「何が悪い! あいつのせいで、あいつが税金をむさぼるから俺の大事な娘が餓死んだんだ! 妻の栄養が足りないから乳が出ずに!」
「そうですか、それはお気の毒に」
「俺は妻にもうこんな思いはさせない! だから殺すんだ!」
スウは、ため息をついた。
「その感情で攻撃しても意味ないと思いますよ」
「はあ!」
「いや、まず感情で動いてる時点で何も考えずに行動してるでしょう、うまく忍び込んで毒を入れたのでしょうが、毒味ぐらい普通する人がいるでしょ」
男はその時点で黙った。
「え! 計画も何も考えずに毒入れれば終わりと思ったの? それにそれがばれたらあなたの一族が全員処刑されるかもですよ」
「なっ何でだよ! 殺すのは俺だけだぞ!」
スウは、思った。
(ああ、貧困で法律を知らない人なんだな)
そして、言った。
「法律で王様殺した人、殺そうとした人の家族も処刑されるそうですよ、なんかそう定められてますよ」
「……」
「それに、普通に王様を殺した家族を普通の目で見る人がいなくなるのは必然でしょ、人を殺した家族を持つだけでそれだけで不幸になる人もいるでしょうに」
そのまま男は黙ってしまった。
「それに、殺すのにこの方法はないでしょう、だって王様の命を守る人がどれだけいると思うんですか、この城には何百人と雇われている人がいるんですよ、やめた方がいいですよ」
「くそおおおおおおおおおおおお!」
男は大声でその場で泣き崩れた。
「なっ! 何事だ!」
「あーあ、そんな大声出すからみんなに気づかれたよ、しーらね」
男の顔が絶望に染まった。
そして、すぐに兵士と衛兵たちが来た。
「こっこれは、毒か!」
「王様を毒殺しようとしたみたいだな、おやスウさんどうしてここに」
「ああ、この男に毒殺するのをやめるように言っただけですよ」
「え!」
男は裏切られたような顔をしてスウを見た。
「ほう、なるほどこの男が毒を、うん処刑だな」
「そうだなそうしよう」
「俺、処刑の準備してくる」
兵士と衛兵とで話し合い兵士の一人が部屋を出た。
「おっお前、どうして」
「え、いや嘘は言ってませんよ」
「いやそうだけど、そこは助けてよ」
男は情けなく言った。
「え、ああ、無理だわ」
スウはさすがに引いていた。
「まあ、無理だろうな俺だってそうするよ」
「何だこの男は、バカなのか」
そして、兵士と衛兵が男を蹴ってそのままロープで縛った。
「そうだ、処刑でなく兵士にするのはどうでしょう? それならある意味処刑より酷い系だと思いますよ、家族も潤うし一石二鳥ではないでしょうか」
「「えーーー」」
兵士と衛兵がいやそうに言った。
そこへ秘書が来て、
「じゃあそれでお願いしますね、今日からあなたは魔王軍の者と戦うソルジャーですから頑張ってくださいね」
と言って秘書は嬉しそうに言った。
「いっ嫌だああああああああああああああああああああああああああ!!」
男は絶叫しながら秘書に連れて行かれた。
「家族も儲かるのに何が嫌かね」
「まったくだ」
兵士はあっけらかんとして言った。
その後秘書に話しかけられ
「スウさん、これから不届きものを見つけたら私に報告してください、実はさっきあなたが言っていたことはこれからそうしようと考えられてたのでちょうど良かったですよ」
「お褒めに預かり恐縮です」
「本当にうちの兵士が押されてるのでせめて盾代わりにでもと思っておりますので、どうせ処刑するならリサイクルしたほうがいいですよ」
スウはドン引きながら
「あなたもかなりやばいですね」
と言った。
「いやだってねえ」
「まあ、分からなくもないですけど、魔王もいつここに押し寄せてくるか分からないですし」
「そうなんですよねえ、まあ狂気が押し寄せる恐怖が来れば人間こんなもんですよ」
スウと秘書はそんな話をしていた。
「あ、このことは王様に報告しときますから、なんかお願いがあるんでしょ、点数稼ぎぐらいは協力しますよ」
「あ、ありがとうございます」
「いえいえ、ではまた」
スウに秘書が味方してくれた。
そして、数日が経ち
王様を殺そうとしていた男は魔王の部下に八つ裂きにされていた。
それを楽しんでいる少し強かった魔王の部下が兵士に隙をつかれて殺されたそうである。
その後、男の妻は大金が手に入り、他の男と結婚し、子どもが出来た。
「女って強いな」
男が殺されたとそれを聞いたスウはそう思った。
そしてその次の日に幸せそうな女性がスウに話しかけてきた。
「あ、スウさんでしょうか?」
「そうですけど、どちら様ですか?」
女性が照れくさそうにしながらこっそり言った。
「おっ王様を殺そうとした元旦那の妻です、あなたが元旦那を戦場に送ってくれたおかげで生活が潤いました、こうして子供もお腹に出来てとても幸せです、ありがとうございます、これ良かったらどうぞ」
そう言って女性はリッヒンダイをくれた。
「あっありがとうございます」
「では」
女性は幸せそうにしながらイケメンの男性とキスをして手を繋ぎながら言ってしまった。
そして、それを王様にリッヒンダイを献上したら喜ばれて点数が上がった。




