17話 『王の前』
スウは授業が終わり王のもとへと行くことになった。
「ついに、王と話すのか、慎重に焦らずにことを進めねばならんな、むしろ話して終わりだろうな、だからここはまだ何もお願いしたいことがないように退出を言われたらちゃんと退出できるようにしておこう」
「何をぶつぶつ言ってるんですか先生?」
フランダルは気になり聞いた。
「いえ、何でもありませんのでお気になさらずに」
「はあ、分かりました」
そう言ってスウは王の前に向かった。
そして、王との対面
「君が我が息子の魔法の講師かな、なかなかの働き感謝する」
「お初にお目にかかります、私の名前はスウ・アンベートと申します、挨拶が遅くなりまして申し訳ありませんでした。そして無理を言って私のようなものに会って頂きありがとうございます」
王はそれを聞いて
「いや別にかまわん、私もお前に会ってみたいと思っとった、こちらこそ挨拶が遅れたな、これからも息子の魔法の鍛錬よろしく頼む、今は何をしているのだね」
「今は魔法を使って僕を相手にさせています、やはり人間が実際戦った方が分かりやすいと思いますので」
「そうだな、魔王の進軍もかなりのものだしこの国も絶対安全とは言えんからな、護身術が出来るようにしていた方がいいな」
スウは少し気になって聞いた。
「そういえば、魔王を倒すのは兵士なんですよね、私の父もいるはずらしいですけど、父はしっかりやっているのでしょうか」
「確かアンベートと言ったか、そのものは魔王の部下をだいぶ倒しておるらしい、勇者殿とも親交があるらしい」
「勇者? 聞いたことはないんですけど、勇者が魔王を倒すんでしょうか?」
王はびっくりしたように
「何も知らんのかね、勇者が伝説の剣を抜いて仲間と共に戦っていることを」
「王様、それは極秘なので市民には伏せていたんですけど」
王様の秘書が言った。
「そうだったのか、余計なことを言ってしまったな忘れてくれ」
「ご安心ください、聞かなかったことにしますので」
王は安心した顔になった。
(よし、王様がドジを踏んでくれたおかげで貸しを作ることに成功した、そして今はまだ自分の願い事が叶うタイミングでないのは明らかだからなここは耐えて欲望を押えろ、チレイたん見ていてください、そして僕をお守りください)
そう心で祈りながら王を見た。
「では、また何かあったら呼ばせてもらう」
「はい、今日はお忙しい中ありがとうございます」
こうしてスウは王室を出た。
「王様、不覚ですね、あいつに貸しを作ってしまうとは」
「何か問題でもあるのかね?」
秘書は言った。
「いえ、別に怪しいことがあるわけじゃないんですが、貸しを作ってしまうこと自体を自分の首を絞めてしまうことに気づいた方がいいと言うことです」
「そんなものか?」
「ま、別にいいですけど」
秘書は仕方なさそうに言った。
(王様は、いつも秘書にあんな感じで注意を受けているんだろうか? たぶん聞かなそうだけど、まあ僕的には王様のあの行動を利用して信頼を繋げていくことを考えよう)
すると王子が言った。
「スウさんは、何か企みでもあるんですか?」
「なぜですか?」
(勘のいい王子様だな、お父様とは大違いみたいに頭と勘がキレる)
スウはそう思った。
「いや、なんとなく思ったのですがやはり父を利用しようとしてるのでしょうか? 僕は先生を信じたいのですが」
「いや、企みのない人間がいないわけないじゃないですか、人間は自分の出世とか良い地位に立ちたいとか夢を持ってるんですよ、当たり前じゃないですか」
王子は笑いながら、
「つまり先生も出世を狙ってるんでしょうか」
「いや、今のままでいいですけど」
王子は疑問に思い
「では何を企んでいるのですか?」
「夢をかなえたいだけです、あ、大丈夫ですよ、王様に同行しようとは思っておりませんので」
王子は少し安心して、
「そうですか、ならいいのですが」
と言って話を続けた。
「どんな夢を持っているのですか?」
「信じたい人を証明することですかね」
「信じたい人ですか、誰なんですか?」
王子が聞くと
「叶った時に分かりますよ」
と言ってスウはこの話を終わらした。
こうして、一日は終わり王様との初体面も終わった。
そして、帰りの際ギルーツがいた。
「おや、珍しいギルーツがいる」
「いや、僕も大人なんだから衛兵ですよ」
ギルーツは呆れながら言った。
「王様にはあったのかい、君のことだ、まだあの話はしていないのだろう」
「それはそうでしょう、いきなり話して警戒させたら夢から遠のいてしまう、それだけは避けなければならない、そして僕にはチレイたんが近くにいるので絶対緊張しなかったよギルーツ君」
ギルーツは苦笑いしながら言った。
「そっそれはよかった……」
「ありがとうギルーツよ」
ギルーツはスウに近づいて行った。
「まあ、大変だろうけど頑張れよ」
「大変ではありませんよ、人生に目標を持つことが出来たんだからね」
と言って二人は別れた。
そして、スウは家に帰って行った。




