危機
ほのかに残酷描写有りです。
「俺の名前は…コウ?」
記憶を辿ろうとすると、急に声が聞こえた。
『目が覚めたか?ID¯29ko。通称“コウ”。』
だが、姿が見えない。探しても声を発するものは見当たらなかった。
「誰だ!?」
今、此奴は俺の事を『ID¯29ko』と言った。それは何故だ?
『私はジャック。この施設の施設長だ。そして科学者でもある。』
「ジャック?」
外国人かと思ったが、日本語の話し方からして慣れていると思った。
『ああ、ジャックだ。コウ。君は何故此処に居ると思う?』
「何故?分かる訳ないだろう!」
『ふふ、期待通りの反応だね。じゃあ教えてやろう。
君は「実験台」として此処に連れてこられたんだ。』
実験台…?そう思った瞬間、ゾッとした。
「ふざけるな!!何故俺…」
『お前は選ばれたんだ。』
話を遮られ、言われた言葉に疑問が浮かぶ。
「選ばれ…た?」
『そうだ。君は選ばれたんだよ。運命にね。』
「はぁ……?」
此奴の言っている事は理解不能だった。話は続く。
『君は日本人でも数少ない「異能者」だったんだ。
それは私の調査の中で分かったんだ。』
俺が、『異能者』………!?
「どうゆう事だ!説明しろ!」
『じゃあ今から「実験」しよう。』
「実験……!!」
解体されてしまうとか脳を調べられてしまうのではとか、色んな考えが
グルグルと回る。そしてジャックは告げた。
『実験は「君が戦う事」だ。コウ。』
俺が戦って実験する?
『君は戦闘において効果を表す異能のハズなんだ。
だから、頑張ってくれよ?』
──ブチッ
ジャックの声が消えた瞬間、ドアから4、5人武装したような格好の
人が部屋に入ってきた。全員が剣と銃を所持していた。
「ヒッ…………!!」
短く悲鳴を漏らす。すると目の前に剣が落ちてきた。
「それを持て。」
目の前の武装した一人が言う。
それに従い、剣を持った。
次の瞬間。
スパンッ
「えっ……」
その剣がぐにゃりと曲がり、俺の右肩を切った。
驚いて剣を投げ捨てると、その剣から「ケタケタケタ」と、
笑い声のようなものが聞こえた。
淡い水色の半袖シャツが赤く染まっていく。
その血と相手の持つ剣の反射した光を見た瞬間。
俺の中の何かが外れた。
to be continue…