☆2話 ~うちの妹がかわいいですふんすっ!~
◇
自己紹介おわりですん。
で、もうやることなくなって放課後になったから、みんな教室に残っておしゃべりしたりしてるよ。
よしっ、それじゃわたしも――
「帰るぞ」
「え、ちょ、朱璃っ? お友達つくろうよぉ」
「そのうちできるだろ」
「今つくろうよー」
《……ふぃ?》
《るぅ……?》
あ、サフィーナルヴィニア起きた。「んんぅ~……っ」って感じで体のばしてかわい~。
そういえば他の子たちの使い魔って、大きい子は隣の部屋とか専用の預かり室にいるんだっけ。
「やほー、双子ちゃん」
「お、ここなん」
《ふぃー♪》 カーディガンから出てきてほおずり
「……ふん」
《るー♪》 カーディガンから出てきて肩にちょこん
「おー、その子たち起きたんだー。めっちゃかわいーじゃんー♪」
だっしょだっしょー♪ 髪型もわたしと朱璃にそっくりでさ。
ところでココナさん、さっきはよく見えなかったけど、めっちゃダイタンなカッコしてるね。ブラウスの前あいてるからお胸の谷間がすん~っごいことになってるし、裾はお胸の下で結んでるからオヘソまる見えだし。
うん、せくしーだね!
「サフィーナちゃんは水の翼で、ルヴィニアちゃんは火なんだねー。でも、右と左のかたっぽずつ?」
「そうなの~。生まれた日もいっしょだから、この子たちも双子だよ♪」
「へえ~、双子の魔術師ってはじめて聞いたけど、そういうものなのかな~?」
「たぶんねー」
っていうか、
「もうっ、あかりん! なんでおしゃべりしないのっ。お友達つくろうよっていったじゃんよぉ!」
「ほおずりすんなッ!」
《ふぃっ、ふぃふぃ!》 「おぉっ、あれやろうよ!」的な
《る、るぅ》 ちょっと困りながら「う、うん。いいよ」的な
「てれるなてれるな♪ ちっちゃい頃はよくこうしてむにむにしたじゃん♪」
「てれてねえしッ! いいから離れろぉッ!」
《ふぃふぃぃ~♪》 「えへへ~♪」的な感じでほおずりんぐ
《る、るるぅ》 はにかむ感じで「え、えへへ」
「ちょw 妖精ズかわいすぎっしょっ」
「「「「「すぎっしょ!!」」」」」
お? ここなんだけじゃなくて、他のみんなも見てたんだね。きゃあきゃあいってる。
なんだろ、わたしと朱璃のほうにもけっこう視線がきてるけど――まいっか♪
「あ、そういえばさ、ここなんの使い魔って、えーっと……」
「ティグッタだよー。研究の人はベヒモスだーとか言ってたねー」
うん、ここなんの目がサフィーナルヴィニアに釘付けさんだ。
そうそう、ティグッタちゃんね。べ、べひもす? ていうのはよくわかんないけど。
「見た目はちょっと牛みたいな感じだけど、大きさはもうちょいだけ小さいかなー。あと角が多いね」
「牛みたいって、え、もしかして乗れるの!?」
「真っ先にそれかよ」
そこの朱璃、ジト目しないのっ。自分だってちょびっとぐらい興味あるくせにぃ。
「いつも乗ってるよー。基本ウチとお姉と、あとお母さんしか乗せるのイヤみたいだけどねー」
「ええぇ~~! ざんねんだぁ……」
「あははー。でも使い魔ってほとんど他人にはなつかないじゃん?」
「あー、そういえばサフィーナもルヴィニアも、わたしと朱璃以外には冷たいね」
おかーさんとおばーちゃんにはわりかし普通だけど、それでもけっこうつーんってしてるかな。
「へー。家族にもっていうのは、また珍しいねー。少なくともウチは聞いたことないかなー」
んー、やっぱりちょっと特殊なのかな、うちの子たち。
ま、かわいいから別にいいけどねっ!
「ところでここなんどのっ、しつもんがござるっす!」
ビシッと右手アップ!
「うむ、申してみよっすー」
「ノらんでいい」
《る、るぅる》 「そ、そろそろやめよ?」的な
《ふぃー……ふぃいー》 「えー……もっとしてたいのにー」的な
「お、あかりんがツッコんでくれたー。やはーい、うれしー♪」
「やはーい、おめでとー♪」
《ふぃ? ふぃふぃーい♪》 なんかわかんないけど「やはーい♪」
サフィーナってば、ほんとわたしのマネ好きねぇ♪
ルヴィニアは朱璃のマネばっかりだし、そういうとこもそっくりだわー。
あ、そうそう、しつもんだ。
「えっと、それでね。ここなんのおねーちゃんとおかーさんて、どんなひとなの?」
「んー、そうねー。2人ともウチよりおっきいよー、Hだねー」
「……あ、おっぱいの話?」
「そうそうー」
「「「「「わけろッ! マジでわけろッ!」」」」」
みんな顔がマジだ。
ちょっとこわいっす。
「あいみんとあかりんのお母さんはー? やっぱり若くて美人なのかなー?」
「うん♪ いっつもほんわか笑顔でね、やさしいの! ね、あかりん」
《ふぃふぃー》 「ひまだねー」的な
「……ん」
《るるぅ》 「そうだねー」的な
「そっかー。あ、じゃあお父さん――」
「「親バカ、あとバカ親」」
「……嫌いなんー?」
「「うん」」
「即答かぁ……」
「お父さん……」
「どんまい。どんまい……!」
「ウチはお父さん好きだけどなー」
ほー、それはそれは。いいんじゃないかな、うん。
わたしはヤだけど。
「さてっ、そろそろあかりんがほんとに帰りたそうなオーラを出してきました」
「……最初から言ってんだろ」
「そのわりにはずっと待ってたねー」
て、ここなんがにこにこ(かわいい)。
で、あかりんがあたふた(かわいい)。
「まっ、待ってたわけじゃねえしッ///」
「えー、じゃあなんでー?」
て、ここなんがにやにや(こあくま)。
で、あかりんがわたわた(かわいい)。
「そっ、れは、その……とっ、とにかく違うんだよッ///」
「「や~ん、かおまっかー♪」」
「うっせえバカッ! いいからもう帰るぞッ!」
「おっとと、ひっぱらないでよーわかったからー。あ、みんなまたねー」
「またねー青ちゃん」
「赤たんもバイバイー」
「赤たんてw ほら照れちゃったじゃんw」
「「「かわいー♪」」」
「ウチもいっしょに帰るー。隣にティグッタ迎えに寄っていいー?」
「うんっ、いいよ♪」
「……ちっ」
「あ、お姉ちゃんと2人きりがよかったー? ウチじゃまかなー」
「とっとといくぞ!」
「おー♪ この子がティグッタちゃん?」
「そうだよー」
《ぐぐー♪》 「まってたー♪」的な感じですりすり
ほんとに牛っぽいね。体は――黄褐色? でいいのかな。
それと角がすんごい! いちにーさん……6本もあるよ!
足はゾウさんみたいにぶっとくて、ライオンさんみたいにがっしりだ。あ、爪もあるね。
うしろ頭から背中にタテガミもあってワイルドだー。
「うんうん、かわいいねー♪ ほら、おいでおいでー」
《……ふぃ》 「……むっ」的な感じでほっぺたぷくぅ
《る》 「あっ」的な そしてあわあわ
「……おいバカ姉」
「ん? なにかなカワ妹♪」
『カワイイ妹』の略でーす。
「サフィーナ、ヤキモチ」
「えっ、ああっ、ほんとだ」
《ふぃふぃい!》 「ばかぁ!」的な感じでぷいっ
「もー、心配しなくてもサフィーナが一番かわいいよー。ほら、ほっぺすりすり♪」
《ふぃっ、ふぃぃ~♪》 「ふゎっ、えへへ~♪」的な
よし、なんとかキゲンなおせれたっ。たまにものすごく時間かけないとダメなパターンあるからなぁ。
ん? なんかルヴィニアがうらやましそうにこっち見て――あ、今度は朱璃のこと見た。
「え……や、やれと?」
《るるぅ……?》 「だめ……?」的な感じでちょびっとうるうる
「うっ……ゎ、わかったよ」
で、そろそろ~っとルヴィニアをほっぺたにくっつけるあかりん。
そしてや~んわりとすりすり。ちなみにちょっとテレりんこ。
うちの妹がかわいいですふんすっ!
《るぅん♪》 「わあい♪」的な
「るぅん♪」
《ふぃ~ん♪》 「わあい♪」的な
「って、なんでお前らまでくっついてんだッ!」
楽しそうだからでーす♪
ん、そういえばここなんは――あ、そっちもそっちですりすりしてたのね。
「あふふー♪ やっぱこのすべすべ感、気持ちいいー♪」
《ぐぐぐ~♪》 「えへへへ~♪」的な
ティグッタちゃん、見た目ワイルドだけど甘えんぼさんなんだね。うんうん。
さて、じゃあお迎えもすんだし、帰ろっか!